角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#237 久々参院憲法審査会・・・なんだけれども、最早(未だ)憲法笑劇場。

2018-02-25 06:16:57 | 憲法のハナシ
(参議院憲法審査会 平成30年2月21日/参議院インターネット審議中継よりキャプチャー)


開幕前から政治的に(!)色々あった平昌オリンピックですが、競技が始まると、今度は世間の反応が(!)実に様々あって、しかもネット上ではそれぞれが増幅されてたりしてて、そこら辺も(突き放して見てれば)まあ楽しいです。

その裏でひっそりと(?)参議院憲法審査会がありました。今回は、そこでの笑える「意見」の数々を、そのまま取り上げることにします。
以下、参議院インターネット中継(→http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=4534&type=recorded)からの文字起こしです。


まずは民進党白真勲さんで、8:30くらいから。



しかし、こうした安倍総理主導の憲法改正の動きは、安倍総理の安倍総理による安倍総理のための憲法改正であり、国民を愚弄するものであるという声も聞こえてきます。そもそも憲法改正は、国民の圧倒的多数が「今の憲法ではどうにもならない!」という意見を持ち、憲法改正に対する国民の期待が高まって、初めて憲法審査会で慎重な議論のうえ憲法改正の是非を国民に問うべきものです。

「安倍総理の安倍総理による安倍総理のための憲法改正であり、国民を愚弄するものであるという声」が一体、どこから聞こえてくるんでしょうか?少なくともワタクシめは、ここで始めて聞きました(正確に言うと新聞報道で白真勲さんがそう言ったというのを始めて知りました)。

同じく、9:30くらいから。

安倍内閣誕生から今まで、何処を改正するかという内容がコロコロ変わり、その度にマスコミを含めて国民が踊らされている状況になっています。それでいて安倍総理は「各党が具体的な案を持ち寄り国会において議論を進めていくことを期待する」などと言っていますが、自分達の具体的な案が色々変わっているのに、他党のことを言うのは、余計なお世話だ!と思います。そもそも、先程申し上げましたように、国民の大多数が此処を変えようという声があって初めて案が出るのであって、各党が案を持ち寄ると、案から始めていたら国民議論・・・案から始めて国民議論というふうになるならば、結局、話がアベコベになるんじゃないでしょうか?

「大多数」かどうかは分からないけれど、国民の「此処を変えようという声」を政治家が汲み取って案を出しているからこそ、具体的な案もコロコロ変わっている(ように見える)んじゃないのかしら?政治家・政党を介することなく「国民議論」が成り立つとでも思っているんでしょうか?


お次は社民党福島みずほちゃん、27:40くらいから。



憲法とは何か、と言った時に、2つあると思います。1つは権力者を縛るものです。2つめは、憲法はひとつの理想であり、そこに向かって不断の努力をしなければならない、というものです。

えーっと、ワタクシの記憶が正しければ、憲法は「ひとつの理想」やら努力目標やらなどではなく「最高法規」のはずなんですが、違いましたっけ?

同じく、28:50くらいから。

その点は、憲法9条についても同じです。憲法9条が規定する平和の構築をまさに全力でそのことに向かって努力をしなければならない、現実に合わせて憲法を変えるのではなく、憲法が掲げる理想に向かって、私たち政治は努力をすべきである、そう思っています。憲法9条には沢山の効用があります。最大の効用は、若者が、日本の若者が、日本の人々が、諸外国で戦争で亡くならなかった、ということです。憲法9条は、沢山の人の生命を守ってきました。もし、憲法9条が無ければ、日本は朝鮮戦争、ベトナム戦争などに、日本の若者を送り、まさに、そこで死者が出たかもしれません。まさに憲法9条が日本人の、日本の若者の生命を守ってきました。9条の効用は、戦後70数年にわたり威力を発揮し、それを守らなければならない。そう思います。

福島みずほ節、炸裂、と言う他ありません。目眩がします。「憲法9条が日本人の、日本の若者の生命を守ってきました」と信じるのは勝手ですし、それが間違いだと証明することはできないので、この際、もう良いですが、だったら、かつて田中美知太郎さんが言ってたように台風上陸禁止と憲法に明記する方向で、さらなる効用を期待したいです。何なら、地震雷火事オヤジ、全て禁止にしてくださると、なお良いですね。

さらに、30:50くらいから。

9条3項に自衛隊を明記することは、まさに戦争改憲です。この戦争改憲を何としても止めなければならない、そう思っています。戦争改憲が行われれば、まさに戦争の発動が行われるでしょう。それは専守防衛の自衛隊ではありません。アメリカとともに、多国籍軍とともに、世界で戦争する自衛隊をつくるために、憲法を変えることに、私たちは力を貸してはならない、そう思います。

うん、頑張れ、福島みずほちゃん。


立憲民主党風間直樹さん、33:50くらいから。



立憲民主党は、安倍総理の9条改憲案には反対です。

立憲民主党お得意のこの理屈、ほんっとに意味不明なんだけれども・・・


こちら人気者、民進党小西洋之さん、1:02:15くらいから。



かつての沖縄の地上戦のことを考えますと、日本国を守るために、日本軍とともに、つまり政府とともに、住民が戦うことまで協力をされたわけでございます。あくまでも、国民の命、自由と権利を守るために国家権力を制限し国家権力の暴走を歯止めをかける立憲主義、近代立憲主義の考えはもう、それに尽きると、それが私は、そういうことを皆様とともに共有させていただかないといけないというふうに思います。〜〜〜日本国憲法は自由選挙によって選ばれた国会の議論において正当に成立をした憲法であり、生存権の規定、そして教育を受ける権利、男女の平等権の明文化規定、アメリカ合衆国憲法をはるかに凌駕する、今なお世界でも有数の人権法典であるというふうに考えているところでございます。

事実として、日本国憲法制定時、日本は連合軍占領下、主権制限されてたんですけどね。ワタクシなんぞは、その一点をもってしても「正当に成立をした憲法」だなんて恥ずかしくて言えません。それを「アメリカ合衆国憲法をはるかに凌駕する、今なお世界でも有数の人権法典である」と評価してしまう小西さんを見てると、こっちが赤面しちゃいます。


日本共産党吉良よし子さん、1:11:55くらいから。



変わるべきは憲法ではありません。沖縄の現実、核兵器など、安倍政権の下で広がっている憲法に反する現実こそ変えるべきです。憲法の理想こそ本当に実現するための真摯な努力が今政治に求められているということを強く申し上げまして、この場での発言といたします。

ここにも「憲法=理想」論者がいましたよ。そしたら、まず貴方ご自身が、現実を変え理想を実現するための真摯な努力をして見せてくださいな。


民進党宮沢由佳さん、1:22:40くらいから。



自民党の委員にお聞きしたいと思います。自衛隊明記の国民投票が否決された場合、自民党は自衛隊員に対して「自衛隊明記の国民投票は否決されたが生命を賭して任務を遂行してくれ」というのでしょうか。

っていうかさ、「自衛隊は憲法違反かもしれないけれど生命を賭して任務を遂行してくれ」とずっと言い続けてきたわけで、そこを変えていきましょうという話をしてるんじゃないの? 優しいフリして混ぜっ返して、話をややこしくするのは止めてほしいです。あ、でも発言が短いのは素晴らしい。


最後に、自民党の松川るいさんが、諸外国の例を引きつつ自衛隊を明記すべきだという趣旨の発言したことを受けてですが、再び白真勲さん、1:58:35くらいから。



松川委員のように各国のスタンダードと比べて憲法に軍隊の明記がないことを強く疑問視して、それだけの規模の軍隊を持つとなると、論理的には日米安保、日米地位協定の破棄にも繋がりかねないんではないかと私は危惧しております。私も、我が民進党もですね、日米安保は我が国の安全保障の根幹であって揺るぎないものであると考えております。そこで松川委員にもう一回お聞きしますけれども松川委員の「憲法に軍隊を明記すべき」というスタンスからは、当然の帰結として、理論の帰結として、日米安保、日米地位協定の改定ということになりますが、如何でしょうか。

普通の(!)規模の軍隊を持つと「日米安保、日米地位協定の破棄にも繋がりかねない」の? 論理的に? 憲法に軍隊を明記すべきというスタンスは「日米安保、日米地位協定の改定ということに」なるの? 当然の帰結として? 理論の帰結として? 白真勲さんの頭ン中、謎です。


他にも、ちょこちょこ面白発言があったんですが、とりあえず、このくらいで。


それにしても、参議院憲法審査会、「部屋の中の飽きない人々」と言いましょうか、未だに皆さんそれぞれ言いたいこと言ってるだけなんですね。いつまでも紙を読んでないで「白熱審査室」を見せてくれると「国民議論」も盛り上がるんですけど、まあ、本音のところは(特に野党の皆さんは)憲法論議自体やらずにいたいんでしょうから、それは無理筋ってもんでしょうか。そんなんだから(ワタクシ的に)オリンピックの裏番組扱いなんですよ。

ま、多少弁護するなら、この日は「憲法に対する考え方について意見の交換」をしただけらしいから、それでも良いのかな? 

(次は何時だか分からないけれど)今後に(一応)期待します。


*参議院:憲法審査会委員名簿
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/konkokkai/current/list/l0905.htm

*参議院憲法審査会:審査会の経過/発言項目
http://www.kenpoushinsa.sangiin.go.jp/keika/hatsugen_196.html#d1_hatsugen


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