猫ってのは賢いもので、ひとが何をしたいのかよく分かっているのですね。
本を開けばその上に寝そべるし、パソコンをたちあげればキーボードに横たわる。
風呂に入っている間にも脱衣所の洗濯機の蓋の上に香箱を組んでじっと座っていまして、
いつかそのうちプラスチック製の蓋が割れてしまうんじゃないかとひやひやします。
特にお気に入りなのは弓道で使う矢の羽根のようです。
手入れをしていた先日、羽根を抱え込んでウットリしていました。
・・・・・・食べないでね。
今日の一冊
『黒猫の接吻あるいは最終講義』 森晶麿
24歳の大学教授、通称『黒猫』とその付き人のミステリ。
設定が痛くはないか? と不安に感じつつもシリーズ2作目の本作に手を出してしまった。
表紙の絵がかわいらしく、ページを開くのが楽しみでした。前作は赤、今回は青。
美学とかマラルメとかまるでギリシャ語なんですけど、今回はそれでもバレエを扱って
いたのですんなり読めました。
物語は『ジゼル』を中心に進む。
クラシックバレエの古典作品である『ジゼル』はまだ観たことがなく、『海賊』や『ドン・
キホーテ』と並んでいつかは観たい作品のひとつです。
悲恋と見るか浮気男アルブレヒトと見るか、解釈はひとそれぞれでしょうが私としては後者。
いや、そうではなくて。
5年前と同じ舞台、同じ演目の中で起きる、プリマに関する事件。
見栄や誤解、すれ違いというのは悲劇を引き起こし、1種の自己満足ももまた、それをもたらす
のでしょうかね。
大切なことは言葉にしないと伝わらないのだと思いますよ。