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『書楼弔堂 破曉』 京極 夏彦

2017-10-27 | 著者別・あ~の
こう、図書館や本屋などで並ぶ背表紙を眺めていると、『わたしを読んで』と
話しかけてくる本が時折あります。

今日の一冊
『書楼弔堂 破曉』 京極夏彦


これもその一冊。
シリーズ第一弾。

御一新後、東京の外れが舞台。
主人公は武家の出身であり、現在は病気療養中である高遠彬。
これが知人の話にあった書舗をふらりと訪ねたことから始まる、
不思議な ーーいや、この世に不思議な事などないのでしたねーー 物語。

薄暗い書舗店内にたたずむ白い着流しの主の言うことが面白い。
曰く、本は墓のようなものであり読むことが本にとっての供養になる。
本はその内容ではなく読んで読者が何かを感じ取ることに価値がある、
(人間として、かな?)未完のままで構わない、
本は読みさしでその良し悪しを判断せず、きちんと読み終えるのが良い、
などなど。
本好きの方々だけでなく、人生に迷う方々にも手にとっていただけたらな
と思わせる本。

ところで本というものは、その時の読み手の心身状況によってもその
語りかけてくる内容を変化させはしませんか?
一種の生き物でもあると、私は思いますよ。

この最終章で作者の仕掛けにニヤリとしてしまうのは当然のことで。
弔堂は高遠と共に、高遠が預かっていた猫を里親希望の某神職さんの元へ
届けに行く他大切な用事で中野にある神社へ向かう。
その神社、武蔵晴明社宮司の中禅寺輔と交わす会話がまた面白いけれど、私が
注目し想像してしまったのはむしろ、この神社の数十年後なんですよね。

石榴がいるのも、その影響なのかしら?

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