人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
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東京オラトリエンコール第16回演奏会

2009-05-27 05:19:03 | 音楽
5月24日(日)、晴海トリトンスクエアの第一生命ホールで、岡本俊久指揮、バッ
ハ「ヨハネ受難曲」(*)を聴いた。この日の演奏会は昨年の早稲田大学グリーク
ラブ定期演奏会で知ったものである。
こちら

(*)以前、「マタイ受難曲」と書いたが、行ってみたら「マタイ」ではなく、
  「ヨハネ」だった。(そそっかしいですネ~。)

指揮;岡本俊久
エヴァンゲリスト(福音史家)・テノール;鈴木准
イエス;小原(おばら)浄二
ペテロ・ピラト・バス;原田圭
ソプラノ;天羽(あもう)明惠
アルト;栗林朋子
オルガン;小林英之
チェンバロ;大西ますみ
管弦楽;アンサンブル・アルス・ノヴァ
合唱;東京オラトリエンコール

マタイもそうだが、「ヨハネ受難曲」は、キリストの逮捕から磔刑(たっけい。は
りつけのこと)、埋葬までを描いた壮大なドラマである。30年以前、バッハゆかり
の聖トーマス教会合唱団による「マタイ受難曲」の演奏会を聴いた時(東京厚生年
金だったかしらん。)は、感動のあまり聴き終わってグッタリしたことを思い出す。

「マタイ」は全68曲、演奏時間は約3時間であるのに対し、「ヨハネ」は全40曲、
登場人物も少なく、それだけ合唱のウェイトが大きい。


Nr.1~Nr.7   裏切りと逮捕
Nr.8~Nr.14  ペテロの否定
<休憩>
Nr.15~Nr.20 尋問、そして鞭打ち
Nr.21~Nr.26 死刑判決と十字架への磔(はりつけ)
Nr.27~Nr.32 イエスの死
Nr.33~Nr.40 埋葬
このあたり(の世界)は「僕のことならほっといて」さんがお詳しいのではないだ
ろうか。→こちら


ソリストは一流だけあって、無論よかった(--今日のソリストを聴いたのはいず
れも初めて。)が、中でもエヴァンゲリストの鈴木准は、「頭声」といい独語の発
音といい見事だった。彼をエヴァンゲリストに起用したのは大成功。(鈴木さんの
追っかけになりたい。)イエスの小原もよかった。
天羽(Sop)の"Mein Lichit"、"Dein Yesus ist Tot!"等々、ソリストの独語はい
ずれも聴き取りやすく、母音と子音の発音、語感もよかった。よくこれだけのソリ
ストをそろえられるものである。

ソリストのお一人原田圭さんのブログもご参照ください。→こちら


岡本さんは、当日のステージすべてを「コントロール」していた。早稲田グリーの
「土の歌」の時もそうだったが、岡本さんの左手(の動き)がすばらしかった。

冒頭、20数人のオーケストラによる前奏がインテンポではじまるとそこはもうバッ
ハの世界である。泣きそうになる。続く合唱は50人強。総じて<もう少し>子音が
強くてもよかったのではないかと思うが、独語もなかなかよかった。ブレスがうし
ろに入るともっといいかもしれない。アインザッツがきっちりしていた。だからこ
そアインザッツである。2時間半(そのうち休憩15分を含む。)の長丁場をよく歌
っていた。

休憩後の後半はじわじわと盛り上がりを見せた。表情はどちらかといえば感情を大
切にしたロマン主義的な演奏。Nr.28.のコラール「おお人よ、~神と人を愛しなさ
い」のなんと感動的なことか。"O Mensch"の合唱が意味を持って迫ってくる。終曲
Nr.40のコラール「その日には私を死から目覚めさせて下さい」のフォルテには本
当にじーんときた。やはりバッハの「ヨハネ受難曲」。大変な精神浄化作用だった。


終演後ブラボーを叫び、興奮した私は楽屋に直行。「岡本先生」と貼り紙のある楽
屋をノックして、「いや~、よかったです」と飛び込んだら、岡本先生は下着一枚
で着替え中。バタバタされているところ2、3分感想を述べて帰路に着いた。(大
変失礼しました!)来年の演奏会もぜひ聴きに行こう。
(*)岡本先生は、私の所属したワグネルとお付き合いのあった早稲田グリーの学
   生指揮者。学年は1年先輩というだけで、学生時代はお話したこともなかった。



<追記>
1.前々からエヴァンゲリスト(福音史家)というのが分からなかったが、要するに
 聖ヨハネのことである。(「マタイ受難曲」の場合は、聖マタイ。)語り部とい
 ってもいいのだろうか。
2.字幕は正面上方に大きく写され読みやすかったし、それとは別に対訳の冊子も配
 布された点は大変親切でよかった!



最後に岡本先生のプロフィールを・・・・・・
  早稲田大学在学中より同大学グリークラブの学生指揮者として、定期演奏会や
 アメリカ演奏旅行などで活躍。指揮法を手塚幸紀、小林研一郎の両氏に師事。
  1974年「日本合唱協会」に入団し合唱歌手として活躍する傍ら、NHK東京放送
 合唱団を指揮するなど指揮者としての活躍の場も広げ、多くの邦人合唱曲の初演
 を手掛ける。また、オーケストラとの共演も多く、バッハやモーツァルトなどを
 得意のレパートリーとしている。
  武蔵野合唱団常任指揮者、日本フィルハーモニー協会合唱団常任指揮者を経
 て、1995年東京オラトリエンコールを結成。以来、同団を率いて4回のドイツ演
 奏旅行を行う。特に3回目の2000年8月には、ライプツィヒの聖トーマス教会の礼
 拝の合唱を指揮する。また2005年元旦には、聖ニコライ教会において「クリスマ
 ス・オラトリオ」を、2008年7月には聖ペーターズ教会において「ミサ曲ロ短
 調」を演奏し、好評を得ている。
  現在、「日本合唱協会」指揮者、「NS-4クワトロ」メンバー。その他、各
 地の合唱団の指揮、指導にあたる。



トリトンスクエア



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