人生ブンダバー

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田中克彦『ノモンハン戦争-モンゴルと満洲国』(岩波新書)★★★★

2009-11-03 08:02:24 | 近現代史
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今年はノモンハン事件70周年である。ノモンハン事件に関する新刊書が何冊か刊行
されているが、本書もその一つである。

司馬遼太郎はノモンハン事件について書こうと、例によって膨大な資料を集めヒア
リングを重ねたが、とうとう書かなかった。半藤一利さんが書いた『ノモンハンの
夏』(文春文庫)がいい。(A.D.クックスの『ノモンハン』(朝日文庫、全4冊は
細かな事実を積み重ねているが、ちょっと大書に過ぎるかしらん。→こちら

著者はp24~25に次のように書いている。
  この戦争がいかに発生したかに対するソ連・モンゴル側の公式見解は、1927
 年、時の総理大臣が天皇に上奏したという、アジアからソ連領東部シベリアにま
 で及ぶ大規模な侵略計画にもとづいていて、ハルハ河での日本軍の攻撃は、その
 一歩でしかないというものだ。1931年、ソ連は、この上奏文の内容を「田中メモ
 ランドゥム」(*)と題してコミンテルンの機関紙を通じて大々的に宣伝した。
 そのためにソ連側は、ノモンハン戦争は、日本がその一大侵略計画を実行に移す
 第一歩だと見る前提で、この戦争を語ってきたけれども、私はそれを信じること
 はできない。
  そのときの関東軍のかまえは、一部の参謀たちによる単に思いつきの好戦的な
 冒険主義に近い、定見のないずさんなものだったというのが私の考えである。

このように書いているが、まあまあそんなところであろうか。あのあたりは清国・
ロシア帝国の時代から羊が牧草を食べに行ったり来たりしていたようだ。*印の
「田中メモラントゥム」(田中上奏文)は、当時の日本が中国等を侵略する手順を
田中義一首相が上奏したという一種の怪文書(偽書)であって、控えめに言っても
本物との証明はされていない。



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