昭和史関連本を2冊読んだ。
1.『佐高信の昭和史』(角川ソフィア文庫)と2.井上寿一『論点別昭
和史』(講談社現代新書)である。
1.『佐高信の昭和史』(角川ソフィア文庫)
これは、昭和史を理解するというよりも、佐高信という人を理解する
本と言えるかもしれない。
一読すれば分かるが、氏は、真面目だが、〇×式思考の持ち主だ。
本書には多くの人が登場するが、それに対して、氏は「絶賛」(〇)
か「批判」(×)のどちらかしかない。例えば、前者は羽仁五郎、久
野収(--氏は先生と呼んでいる。)、土井たか子等だ。
土井さんは立派な人かもしれないが、「北朝鮮による拉致問題は存在
しない」という姿勢だった、まったくの汚点には「まったく」触れて
いない。
私は〇×式思考の持ち主ではないから、本書に評価を付けるとしたら
むろん「×」ではないが、「50点」というところかしらん。
そもそも『誰々の昭和史』とか『誰々の日本史』というものは、読み
物としてはおもしろいかもしれないが、それはある種のマーケット向
けの物であり(マーケット先にありき?)、最近は「如何なものかし
らん?」と思ってしまう。
『佐高信の昭和史』★×2
2.井上寿一『論点別 昭和史』(講談社現代新書)
さすが井上先生!学界の最新研究を踏まえた着眼点がすばらしい。もっ
とも、読者にとって、それこそ戦前の「昭和史」に対する基礎的な学習
がなければ、何が論点なのかもピンと来ないのかもしれない。
多くのことが学べる一冊だ。私の評価は90点以上。
<目次>
1.天皇--なぜ立憲君主が「聖断」を下したのか?
2.女性--戦争に反対したのか協力したのか?
3.メディア--新聞・ラジオに戦争責任はなかったのか?
4.経済--先進国か後進国か?
5.格差--誰が「贅沢は敵だ」を支持したのか?
6.政党--なぜ政党内閣は短命に終わったのか?
7.官僚--なぜ官僚が権力の中枢を占めるようになったのか?
8.外交--なぜ協調外交が戦争を招いたのか?
9.日米開戦--なぜ回避できなかったのか?
10.アジア--侵略か解放か?
井上寿一『論点別昭和史』★×5