ーはじまりのうたーBEGIN AGAIN
2013年 アメリカ 104分
ジョン・カーニー監督 キーラ・ナイトレイ (グレタ)マーク・ラファロ (ダン)ヘイリー・スタインフェルド (バイオレット)アダム・レヴィーン (デイヴ)ジェームズ・コーデン(スティーヴ)キャサリン・キーナー(ミリアム)
【解説】
第80回アカデミー賞歌曲賞を受賞した『ONCE ダブリンの街角で』のジョン・カーニー監督が、同作に続いて音楽をテーマにして放つヒューマンドラマ。恋人に裏切られた失意を抱えながらバーで歌っていた女性が、音楽プロデューサーを名乗る男との出会いを通して思わぬ運命をたどる。主演は『つぐない』、『プライドと偏見』などのキーラ・ナイトレイと『キッズ・オールライト』などのマーク・ラファロ。キーラが披露する歌声や舞台となるニューヨークの街並みや、人気バンド・Maroon 5のアダム・レヴィーンの出演も見どころ。
【あらすじ】
ミュージシャンの恋人デイヴ(アダム・レヴィーン)と共作した曲が映画の主題歌に採用されたのを機に、彼とニューヨークで暮らすことにしたグレタ(キーラ・ナイトレイ)。瞬く間にデイヴはスターとなり、二人の関係の歯車に狂いが生じ始め、さらにデイヴの浮気が発覚。部屋を飛び出したグレタは旧友の売れないミュージシャンの家に居候し、彼の勧めでこぢんまりとしたバーで歌うことに。歌い終わると、音楽プロデューサーを名乗るダン(マーク・ラファロ)にアルバムを作ろうと持ち掛けられるが……。(シネマトゥデイ)
【感想】
友達が「はじまりのうたを初日に見たけど、よかったよ!」とメールしてくれました。
確かに!
いい映画でしたよ。
音楽についての考え方。
音楽に携わっている人たちは、「売るために作っているんじゃないよ。聞いてくれる人の心に届けるために作っているんだ」と言うでしょう。
でも、現実は…。
そんなことを考えさせてくれる作品でした。
ニーュヨークの片隅のライブハウスで、人生最悪の時を過ごしていたグレタ(キーラ・ナイトレイ)とダン(マーク・ラファロ)が出会います。
まず、この二人がなぜここにいることになったのか、その事情をさらっと見せてくれます。
グレタは、恋人のデイヴ(アダム・レヴィーン)と一緒に曲を作って活動していました。
ある時、デイヴが歌った二人の歌がCMソングとして採用され、それからデイヴはスターへの階段を上り始めました。
レコード会社が用意してくれた高級マンションに住み、チームのスタッフとともに新しいアルバムを作り始めました。
いままではいつも一緒だったグレタ、どんどんお留守番が増えて行きます。
暇なので、友達のストリートミュージシャンのスティーブ(ジェームズ・コーデン)と昔話をしたりして過ごしていました。
デイブが旅から帰ってきて、デモテープを聞かせてくれたとたん、グレタにはわかりました。
デイブが浮気をしたことが。
思わず飛び出してスティーブのところへ。
スティーブは、自分が出演するライブハウスにグレタを連れて行き、彼女に1曲歌わせた。
ダンは、音楽プロデューサー。
グラミー賞を2度受賞した敏腕プロデューサーで、レーベルも立ち上げていますが、最近はヒット曲や新人確保に恵まれず、酒浸りで、妻と娘のいる家も出て一人暮らしのていたらく。
とうとう、会社からも解雇を言い渡されてしまいました。
八つ当たりしながらこのライブハウスできついお酒を飲んでいるときでした。
グレタの声が聞こえてきました。
そうすると美しいアレンジが浮かび、音楽プロデューサーとしての感覚が甦りました。
二人はダンのレーベルに乗り込み、アルバムを作る話をしますが、新社長は「デモテープを聞いてから」と譲りません。
スタジオを借りるのももったいない二人は、街角やオープンスペースで演奏し、アルバムを作ることにしました。
スティーヴをはじめ、才能はあるけど不遇な立場のミュージシャンたちを集め、あるときは町の路地で子供たちを合唱に加えたり、雨の広場の軒下で雨の音と一緒に録音したりと、グレタの世界とダンの世界が融合する音楽を作って行きました。
この曲作りのシーンがとても楽しいです。
いまや大ブレイクしたデイヴがグレタに会いにきました。
新曲を聴かせてくれますが、グレタはこのアレンジは自分の曲ではないと失望します。
グレタたちのアルバムはレーベルからは売り出さず…。
ダンは過去の傷から立ち直り、妻や娘と復調の兆し。
デイヴもグレタの言う意味はよくわかった様子で…。
とてもいい感じの終わり方でした。
デイヴ役のアダム・レヴィーンは人気バンドマルーン5のヴォーカル。
彼のパフォーマンスはさすがに圧巻です。
本職のアダムと歌の対決となったキーラもすごいですね。
とても素朴な歌い方、アダムとは対照的で好感が持てました。
酔いどれのマーク・ラファロは、あまり似合ってなくてびっくりしましたが、事情はとても繊細な話だったので納得しました。
やはり彼は善人役がハマります。
ダンの娘を演じたヘイリー・スタインフェルド。
可愛かったです。
彼女にも奇跡が起こるのをお見逃しなく。
私は音楽って、自分がいいと思ったものを聞けばいいと思っていて、はやりの歌には興味がない方なので、この作品の言いたいことがよくわかりました。
音楽作りの原点を思い出させてくれるいい作品です。
オススメ。