ーしあわせの雨傘ーPOTICHE
2010年 フランス
フランソワ・オゾン監督 カトリーヌ・ドヌーヴ(スザンヌ・ピュジョル)ジェラール・ドパルデュー(モリス・ババン)ファブリス・ルキーニ(ロベール・ピュジョル)カリン・ヴィアール(秘書ナデージュ)ジュディット・ゴドレーシュ(ジョエル)ジェレミー・レニエ(ローラン)
【解説】
ジョギングが日課の裕福な妻が、心臓発作で倒れた夫の代わりに雨傘工場を任されたことで意外な才覚を発揮していく人間ドラマ。フランソワ・オゾン監督とカトリーヌ・ドヌーヴが『8人の女たち』以来のタッグを組み、一人の主婦が問題を乗り越えながら自分の居場所を見つける姿を、コミカルな演出を交えながら描く。ジャージ姿や歌声を披露する大女優カトリーヌのコケティッシュな魅力満載で、涙あり笑いありの女性賛歌に共感必至。
【あらすじ】
スザンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は毎朝のジョギングが日課の幸せなブルジョワ妻だったが、ある日、雨傘工場を運営する夫ロバート(ファブリス・ルキーニ)が心臓発作で倒れ、雨傘工場を切り盛りすることに。亭主関白の夫の下で押し黙る日々を送っていた彼女だったが、子ども、昔の恋人、工場の従業員たちの協力を得て予想外の本能が目覚めていく。(シネマトゥデイ)
【感想】
フランソワ・オゾン作品は、好き嫌いがあったし、コメディーも一皮肉がきついんじゃないかと危惧しながら見ましたが-。
面白かったですよー。
くすくす笑いがいっぱいでした。
まず最初から、真っ赤なジャージーを着て鼻歌まじりでジョギングするスザンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)。
彼女の父の後を継いで雨傘工場を経営する夫・ロバート(ファブリス・ルキーニ)のために朝食を用意しても、夫は「使用人に任せておけばいい、君は飾り壺でいいんだ」と侮辱的。
時は、1979年。
フランスでも、男の人の意識はこんな感じだったのですねー。
娘のジョエル(ジュディット・ゴドレーシュ)は結婚して子供が2人いるけど、夫は仕事が忙しく不在がちで離婚まで考えています。
息子のローラン(ジェレミー・レニエ)は学生でアートに関心を持ち、経営には無関心です。
☆ネタバレ
そんなときに、工場では労働争議が起き、ロバートは労働者と対立し、監禁され、そんな中で脳の発作を起こして入院を余儀なくされました。
急遽経営者として工場に関わることになったスザンヌ。
父の経営を幼い頃から見ていたこともあって、自分でも気づかなかった経営の才能に目覚めます。
昔の恋人で今は市長になっているモーリス・ババン(ジェラール・ドパルデュー)の協力も得て、労働争議も治まりました。
子供たちも適材適所に配置して、経営は順調。
ロバート(左)とババン
でも、ロバートはババンを思想的な敵と憎んでいるし、ローランはロバートの隠し子を婚約者と言うし、問題は山積み。
いよいよ、ロバートが退院してきて、それぞれの問題が思いがけない方向へと展開して行きます。
経営方針が違うスザンヌは、夫と対立しても工場の経営権を得ようとしますがー。
ほんと、波乱に継ぐ波乱で飽きないです。
スザンヌのバイタリティーはすごいです。
いいなあ、カトリーヌ・ドヌーブ。
私は見損なったのですが、「徹子の部屋」に出ておられたようですね。
この邦題は明らかに「シェルブールの雨傘」を意識しているのでしょうが、原題の「POTICHE」は飾り壺という意味のようです。
何度も繰り返される飾り壺というキーワード。
スザンヌを表している言葉ですが、最後にロバートは「飾り壺だけど、中身が詰まっている」と言いました。
とうとう自分の個性を夫に認めさせたスザンヌ、ほんとすごい女性でした。
男がバカに見える作品。
女性必見です。