マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

瞳の奥の秘密

2010-09-23 15:42:05 | 映画ー劇場鑑賞

ー瞳の奥の秘密ーEL SECRETO DE SUS OJOS/THE SECRET IN THEIR EYES

2009年 スペイン/アルゼンチン

フアン・ホセ・カンパネラ監督 エドゥアルド・サチェリ原作 リカルド・ダリン(ベンハミン・エスポシト)ソレダ・ビジャミル(イレーネ・メネンデス・ヘイスティングス)パブロ・ラゴ(リカルド・モラレス)ハビエル・ゴディーノ(イシドロ・ゴメス)カルラ・ケベド(リリアナ・コロト)ギレルモ・フランセーヤ(パブロ・サンドバル)

 

【解説】

長年勤めた刑事裁判所を退職した男が、25年前の未解決殺人事件をモチーフに小説を書き出すものの、過去の思い出に支配され苦悩するサスペンス・ドラマ。アルゼンチンを代表する名監督ファン・J・カンパネラが1970年代の祖国の姿を背景に、過去と現在を巧みに交差させ、一人の人間の罪と罰や祖国の軌跡を浮き彫りにする。また、本作は第82回アカデミー賞外国語映画賞を受賞。主演は、カンパネラ監督作品の常連リカルド・ダリン。衝撃的な秘密が暴かれるラストに言葉も出ない。

 

【あらすじ】

刑事裁判所で働いていたベンハミン(リカルド・ダリン)は、定年を迎え、25年前に起きた忘れ難い事件をテーマに小説を書くことにする。それは1974年、新婚生活を満喫していた女性が自宅で殺害された事件で、担当することになったベンハミンが捜査を始めてまもなく、テラスを修理していた二人の職人が逮捕され……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

この作品はアルゼンチンの司法制度が背景になっているし、25年前と今を行ったり来たりするので、たぶん社会情勢も変わっているのだろうと思います。

日本とは違うので、驚かされるところもありました。

 

ベンハミン(リカルド・ダリン)は連邦刑事裁判所の検察官だったが、定年を迎え、年金暮らしになった。

妻とも離婚して一人暮らし。

25年前の気になっている事件を小説化しようと思い立って、ペンを持つがなかなか進まない。

 

今は、検事となっているかつての上司イレーネ(ソレダ・ビジャミル)を訪ねる。

相変わらずの美貌だが、人妻となり母となっていた。

 

25年前の事件とは、新婚間もない美しい人妻が自宅でレイプされ殺された事件。

ベンハミンはその遺体に衝撃を隠せなかった。

 

犯人として最初に上がったのは、移民の職人たち。

ベンハミンのライバルのチームが、拷問ででっち上げた犯人だった。

 

若いベンハミンはこの不正行為に憤り、犯人逮捕に執念を燃やした。

しかし、1年が経ち、捜査本部は活動停止状態だった。

そんなときに、犯人逮捕を諦めることなく、独自の方法で犯人を捜していた被害者の夫のモラレス(パブロ・ラゴ)と出会い、彼の愛の深さに感動する。

 

自分自身もイレーネに思いを寄せているが、身分違いの恋に告白する勇気はなかった。

 

ベンハミンは、被害者のアルバムから被疑者をゴメスと特定して、裁判所の意向に反して独断で犯人を捜し続ける。

サッカー場での激しい逃走劇の末、犯人逮捕につなげるが、ゴメスは犯行を認めない。

イレーネの機転で犯人を自白に追い込み、これで一件落着かと思われた。

 

しかし、最初の犯人のでっち上げを暴いたことに腹を立てていたライバルチームは、この犯人が闇の組織と通じていることを利用するためにスパイとして無罪放免してしまった。

 

さらに、ベンハミンは命を狙われ、同僚のパブロが身代わりに殺された。

イレーネのはからいでベンハミンはブエノスアイレスを離れ、地方都市の検察官として働くこととなった。

 

ようやくこの事件を一冊の本にまとめ、モラレスを訪ねる。

モラレスは、田舎の一軒家でひっそりと暮らしていた。

ベンハミンはモラレスに「この事件の決着を、自分なりにどうつけたのか」とモラレスを問いただすと、モラレスは、「ゴメスを殺した」と告白する。

 

一旦は納得してモラレスの家を出たが、思い直して密かにモラレスの家に戻った。

そこでベンハミンが見たものとは…!!

 

ベンハミンはようやく25年前の出来事に結論を得て、いよいよイレーネに向き合う決心をする。

イレーネは自分の部屋に招き入れ、そこでかわされる愛の結論はどうなるのでしょうか???

 

私には、二人が愛し合う結末は考えられませんが。

だって、イレーネには夫と子供がいるもの。

25年前に告白すべきだったと思いますが。

 

モラレス

 

それはともかく、被害者の夫であるモラレスの心情はとても辛い。

モラレスは「死刑は望まない」という。

「死んで罪が消えると言うものではない。終身刑を望む」。

司法が裁いてくれないのなら、個人で裁くということになるかもしれない。

アルゼンチンの当時の国情もあるのでしょうが、あまりにも人命を軽く扱うことに愕然としました。

 

犯罪と被害者やその遺族と司法の関係。

100パーセント納得いく罰なんてありえないけど、どこかで納得しないといけない。

あんなに冷静に耐えていたモラレスが、最終的に選んだ罰。

それは、衝撃的なものでした。

 

映画の冒頭の美しい死体を思い出さずに入られません。

美しい妻を奪った犯人は、許せません。

モラレスの強い気持ちが伝わってきました。

 

俳優さんたちは、25年前も現在も同じ人が演じていました。

顔のアップが多かった作品ですが、メイクの技術はすごいですね。

現在のベンハミン


96時間

2010-09-23 15:37:38 | 映画ーDVD

96時間ーTAKEN

2008年 アメリカ

ピエール・モレル監督 リュック・ベッソン 、ロバート・マーク・ケイメン監督

リーアム・ニーソン(ブライアン)マギー・グレイス(キム)リーランド・オーサー(サム)ジョン・グライス(ケイシー)デヴィッド・ウォーショフスキー(バーニー)ケイティ・キャシディ(アマンダ)ホリー・ヴァランス(シーラ)ファムケ・ヤンセン(レノーア)ザンダー・バークレイ(スチュアート)オリヴィエ・ラブルダン(ジャン=クロード)ジェラール・ワトキンス(パトリス・サンクレア)

 

【解説】

『トランスポーター』シリーズなどのヒットメーカー、リュック・ベッソンが製作を務めた本格アクション・スリラー。96時間というタイムリミットの中、娘を誘拐された父親が警察の助けを借りず、たった一人で異国の敵からの奪還を試みる。名優リーアム・ニーソンが元工作員にして、娘を思う父親でもある主人公を演じる。怒とうのカーチェイスや銃撃戦、そしてマーシャルアーツなど、ノンストップで繰り広げられるアクションに注目だ。

 

【あらすじ】

17歳のアメリカ人少女キム(マギー・グレイス)が、初めての海外旅行で訪れたパリで何者かに誘拐される。その事件のさなかにキムと携帯電話で話していた父ブライアン(リーアム・ニーソン)は、自らの手で犯人たちから娘を奪還しようと決意。アルバニア系の人身売買組織だと判明した犯人一味のもとへ単身で乗り込む。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

娘を思うお父さんのお話。

年頃の娘を心配しつつも、コミュニケーションに悩むお父さんがこの作品を見たら、泣くでしょう!!

そういう心情にストーレートに迫って来る作品です。

 

ブライアン(リーアム・ニーソン)は元CIAの工作員。

忙しくて家庭を顧みなかったせいで、娘が5歳のときに離婚してしまう。

でも、年とともに娘への思いは募るばかり。

 

いまでは、大富豪の後妻となった元妻(ファムケ・ヤンセン)。

今日は娘のキム(マギー・グレイス)の17歳のお誕生日です。

娘が気に入るだろうとカラオケの機会をプレゼントしたら、なんと継父からはサラブレッドのプレゼント。

負けたね~。

娘の写真をアルバムに貼って、娘の幸せだけを祈る父でした。

 

 

あるとき、娘から夕食の誘い。

あらうれしやと出かけてみると、未成年なので海外旅行の許可が両親揃って必要ということ。

頑固親父は「友達と海外旅行なんて危な過ぎる」と反対しますが、かわいい娘の膨れっ面には勝てず許してしまいました。

 

☆ネタバレ

キムはパリに着く早々、若い男性に声をかけられて泊まるホテルを知られてしまいます。

この男は、なんと、アルバニア系の人身売買グループの一人でした。

父親と電話中に、友達が襲われ、キムも拉致されてしまいました。

この時の電話の少ない情報からブライアンは犯人組織に目星を付け、単身パリへ乗り込みました。

 

過去の犯罪履歴から、キムを助けるのは96時間がリミットです。

これが邦題の「96時間」の由縁。

 

ここから、はっきりいって、乱暴過ぎる、危な過ぎるブライアンの追跡が始まります。

リュック・ベンソンらしい、ノンストップアクションです。

思いは、キムを時間内に助け出すことなので、ほとんどのことには目をつぶれますが、かなり残酷な拷問もありました。

 

結論はもちろんキムを危機一髪のところで助け出すのですが、だからといって、キムと一緒に暮らせるとか、元妻とやり直せるとかという話ではないところが、なかなか切ない映画でした。

 

世の中のお嬢さん。

今はうざい父親でしょうが、思いはブライアンと同じです。

たまには、優しい言葉をかけてあげてね。

 

でも、妻の立場から見ると、娘は思春期を過ぎたらすでに女で、母と娘はそんな甘い関係じゃないし、家庭を顧みなかった代償はかなり大きいと思います。

ブライアンは確かに立派だったけど、「ありがとう」で終わってしまうわ。

父親って、母親よりずっとロマンチストなのかもしれませんね。

 

この映画、すごく評判がいいので、続編が決まったそうです。

楽しみです。

 

それにしても、妻の再婚相手がたいてい自分より金持ちか社会的地位の高い人というのが、ハリウッド映画ではお定まりのようですが、なんで?

日本ではあまり聞かない話ですよね。

アメリカではそれが普通なのかな?

再婚、ちょっとうらやましかったりして…

 


2012

2010-09-23 15:28:10 | 映画ーDVD

20122012

2009 アメリカ

ローランド・エメリッヒ監督 ジョン・キューザック キウェテル・イジョフォー アマンダ・ピート オリヴァー・プラット タンディ・ニュートン ダニー・グローヴァー ウディ・ハレルソン

 

【解説】

マヤ暦による2012年終末説を題材に、『インデペンデンス・デイ』『紀元前1万年』のローランド・エメリッヒが手掛けるディザスター・ムービー。地球滅亡を目の前になすすべもない人々が、巨大な自然災害から必死に逃げまどう姿を描く。偶然にも地球の危機を知ってしまうリムジン運転手に『ハイ・フィデリティ』のジョン・キューザックがふんし、大事な家族を守るために奔走する。大地震、火山噴火、津波など最新CG技術による迫力ある映像に注目。

 

 

【あらすじ】

2009年、リムジン運転手のジャクソン・カーティス(ジョン・キューザック)は、子どもたちとの旅行を楽しんでいた。ところが、偶然湖底に沈む巨大な研究施設を発見し、地球が滅亡に向かっていることを知る。この危機から逃れる手はないものかと模索するジャクソンだったが、すでに天災は地球上の至るところで起こり始め……(シネマトゥデイ)

 

【感想】

終末もののハリウッド映画で、いつもアメリカが舞台で、世界はたいてい悲惨なままほっとかれるのが不満だったので、そういう意味では、この映画は世界各地にも配慮はあったと思ういます。

 

でも、この映画はいくらなんでもエゴイストだなあ。

 

☆ネタバレ

太陽のフレア現象で地球の核が熱せられて地殻変動が起きることを、2010年にインドの科学者が発見します。

それをアメリカ人の科学者(キウェテル・イジョフォー)が上院議員(オリヴァー・プラット)を通じてホワイトハウスに持ち込みます。

密かに始まる「ノアの方舟」計画。

各国の政府要人と、優勢遺伝子の持ち主と、各種類の動物、それに10億万ドルの乗船券を買える人たちが乗れる船です。

 

優性遺伝子の持ち主って何だろう。

金持ちだけってどういうことかしら?

まったくひどい計画です。

 

主人公(ジョン・キューザック)は作家で、離婚していて、今は大金持ちの運転手です。

ある日、子供たちとキャンプの約束の日、イエローストーン国立公園に来て不思議な予言をする男(ウディ・ハレルソン)に会います。

奇妙な現象が起きていて、政府のものものしい観測隊もいました。

予言の男は「地球の終末」を予言していますが、そのひとつひとつが当たって行きます。

 

主人公は決心して、その男の言う通り、子供たちと元妻とその恋人とともに、方舟に乗るために中国を目指すのですがー。

 

映画館で見たら、迫力だけで満足できるのかもしれませんが、とにかく全世界のほとんどが死ぬと言うのに、生き残る彼らの行動はすごく自分勝手に見えました。

「お先にどうぞ」という奥ゆかしさなんか、全然ないのね。

当たり前ですが…

私なんかは、ぼーっとしているから真っ先に死ぬ人のひとりでしょう。

そう思ってしまうので、なかなか映画の人たちに感情移入ができません。

 

科学者の言う通り、2年前に公表していたら、結局武器を持った強い人が脅してでもチケットを手に入れたでしょうし、その殺し合いの結果、人類が滅亡したかもしれません。

くじ引きで決めても同じことだったでしょう。

 

人間のむき出しの欲望なんて、わかりきっているので、見たくもありません。

 

いままでの終末ものは、それでも、自分を犠牲にしてでも他人を助ける人間の精神の気高さに感動したものでした。

 

この映画は、ただ自分勝手な人たちだけが生き残った感じがしました。


なくもんか

2010-09-23 15:25:00 | 映画ーDVD

ーなくもんかー

2009年 日本

監督=水田伸生 脚本=宮藤官九郎 キャスト=阿部サダヲ(下井草祐太)瑛太(下井草祐介)竹内結子(山岸徹子)塚本高史(金城大介)皆川猿時(トシちゃん)片桐はいり(みどり)鈴木砂羽(下井草祐子)カンニング竹山(山岸正徳)高橋ジョージ(桜井)陣内孝則(桂谷壮一郎)藤村俊二(ボーダーシャツの男)小倉一郎(中やん)光石研(加々美昌弘)伊原剛志(下井草健太)いしだあゆみ(山岸安江)

 

【解説】

幼いころに生き別れ、互いの顔も知らずに育った兄弟と、二人を取り巻く周囲の人々が織り成す人情コメディー。『舞妓 Haaaan!!!』の水田伸生監督、主演の阿部サダヲ、脚本の宮藤官九郎のトリオが再び顔を合わせ、不幸な生い立ちの兄弟の再会劇を、笑いと涙を交えて描く。お人好しの兄を阿部が演じるほか、人気お笑い芸人の弟を瑛太が、兄の幼なじみに竹内結子がふんする。家族のきずなをテーマにした、ハートフルな物語が感動的。

 

 

【あらすじ】

無茶苦茶な父に捨てられ、幼少期に生き別れた兄・祐太(阿部サダヲ)と弟・祐介(瑛太)は、互いの顔も名前も知らずに成長する。祐太は、東京下町の商店街でハムカツが名物の店を切り盛りし、祐介はお笑い芸人として超売れっ子になっていた。そんなある日、祐太のもとに、初代店主の一人娘・徹子(竹内結子)が突然帰って来る。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

クドカン(宮藤官九郎)ワールド炸裂の楽しい人情劇でした。

人情劇は大好きだけど、サービス過剰だなあ。

そこまで小ネタで笑いを取らなくても…と思いました。

 

キャストもはまっていました。

竹内結子はコメディもうまいですね。

あと、脇役も適材適所、面白かったです。

 

ただ、クライマックスの漫才シーン。

内輪の話をマジで舞台でやっても、ちょっとしらけると思いました。

うまくまとめてほっとしましたが、あそこをもう少しスマートにやったらよかったのになあ。

クライマックスなのに、引きそうでした。

 

不幸の固まりのような祐太(阿部サダヲ)が、「他人の家では甘えない、泣かない」を自分に戒めて、明るく生きている姿がとてもよかったです。

八方美人と言われても、いいじゃないか。

こういうところに幸せがやってくるものです。

今は逆境と思っても、心を明るく、周りも明るくして生きていきたいと思いました。

 

でも、祐太の唯一のストレス発散がオカマバーのママ「ゆうこ」というのが、私には理解しがたいことでした。

お客さんにサービスするなんて、八方美人と同じように疲れると思うけどね。

それだったら、女装してオカマバーの客になるほうがいいと思うけどなあ。


女の子ものがたり

2010-09-23 15:18:56 | 映画ーDVD

ー女の子ものがたりー

2009年 日本

監督=森岡利行 原作=西村理恵子 キャスト=深津絵里(高原菜都美)大後寿々花(なつみ(高校時代))福士誠治(財前静生)風吹ジュン(藤井里美)波瑠(きみこ(高校時代))高山侑子(みさ(高校時代))森迫永依(なつみ(小学生時代))三吉彩花(きみこ(小学生時代))佐藤初(みさ(小学生時代))大東俊介(たか)佐野和真(しん)賀来賢人(片桐俊夫)落合恭子(あき)板尾創路(高原房蔵)奥貫薫(高原光代)

 

【解説】

スランプから抜け出せず自堕落な日々を過ごすアラサーの漫画家が、少女時代の友だちとの思い出に励まされ生きる元気を取り戻していくガールズ・ムービー。漫画家・西原理恵子の同名ベストセラーを原作に、『子猫の涙』の森岡利行が脚本と監督を手掛け、ノスタルジックなドラマを紡ぐ。人生の絶不調から立ち上がる主人公を『博士の愛した数式』の深津絵里が好演。彼女の透明感あふれる演技と、風光明媚(めいび)な愛媛県の自然がさわやかな感動を呼ぶ。

 

【あらすじ】

36歳の漫画家の高原菜都美(深津絵里)は、昼間からビールを飲み、たらいで水浴、ソファで昼寝をするなどスランプから抜け出せない生活を送っていた。新米編集者の財前(福士誠治)にも愛想を尽かされ、キツイ一言を言われてしまうが、幼いころに過ごした友だちとの思い出にふけるうちに、菜都美の心が徐々に変化し始める。(シネマトゥデイ)

 

【感想】

思っていた内容とずいぶん違いました。

もう少し、残酷だけど女の子らしいファンタジックな物語だと、勝手に想像していました。

この作品は、女の子の現実の厳しさがテーマでした。

 

主人公なっちゃんとその友達のきいちゃんとみさちゃんの、小学校から高校までのエピソードを、36歳の漫画家である高原菜都美が思いだす形で語られます。

 

まず、漫画家、高原菜都美は大スランプ。

何年か前に描いたマンガがヒットしたものの、あとはぱっとしない。

新作もなかなか筆が進まない。

新米編集者の財前(福士誠治)があきれるほどのだらしない生活。

犬と散歩して、帰ったらビールを飲んでお昼寝ー。

 

「そんなだから、友達も恋人もいないんだ!!」と財前に叱責され、「友達はいるよ」と思いだしたのが、きいちゃんとみさちゃんのことでした。

 

☆ネタバレ

なっちゃんの母は、離婚して小学生のなっちゃんをつれて新しいお父さんと田舎で暮らし始めました。

継父は「おまえは人と違う生き方をすると思う」と、折々に言っていました。

母は、「私のようにならないように」とか「友達は選びなさいよ」と意見していました。

 

でも、なっちゃんにはすぐに友達ができました。

貧乏でいじめられているきいちゃんと、貧乏人の子だくさんのような家庭のみさちゃん。

それでも子供時代はいじめにも負けず、3人は元気です。

ただ、きいちゃんもみさちゃんもかわいく、服もかわいくて、あまり貧乏人と言うリアリティは感じられませんでした。

きいちゃんの家も「見たらわかるほどの貧乏」と言いたげでしたが、ただ散らかっているだけにしか見えませんでした。

 

なっちゃんの家も継父が事業に失敗して失踪してしまいますが、3人とも無事に地元の高校へ行けたようでした。

 

きいちゃんは暴走族風のお兄さんを好きになって彼の家に家出をしてしまい、それを連れ戻そうと、なっちゃんとみさちゃんはきいちゃんと一緒にドライブに行きます。

ガソリン泥棒をしているところを警察に見つかり、山の中で置き去りにされます。

3人は自力でふもとまで帰ってくるのですが、これが小さな冒険物語になっています。

3人の絆を強くした最大のエピソードです。

 

「この町の若者は町を出て行く。男の子はヤクザになって帰って来るけど、女の子は帰って来ない」というセリフがあり、なっちゃんは納屋の壁に旅に出る女の子の絵を書きました。

これが、なっちゃんのマンガの原点です。

 

みさちゃんの親は犯罪に手を染め、みさちゃんは幼い兄弟とともに取り残され、生活のために水商売に入ったようです。

きいちゃんは結婚しますが、夫はDVで生傷が絶えません。

 

きいちゃんの新居で集まった時は、みさちゃんも夫から暴力を受けていて、頭を怪我していました。

高価なものばかりを身に付けている割には、借金を申し込んできて、お金に困っているようでした。

 

なっちゃんはこんなふたりの生き方を批判して、町を出ます。

それ以来、会うこともありませんでした。

 

漫画家、高原菜都美の原点を思いだし、ふるさとに帰ることにしたなっちゃん。

きいちゃんは、病気で亡くなり、みさちゃんは借金で行方不明でした。

きいちゃんのお母さん(風吹ジュン)と一人娘に、自分の書いた絵の前で会い、もう一度原点に戻ってマンガを書こうと決心したなっちゃんでした。おわり

 

3人の女の子の母親は、男の人に引きずられて不幸になるタイプの女性ばかり。

そして、きいちゃんもみさちゃんも同じ道を歩むのでは、進歩がないなあと暗い気持ちになりました。

貧乏と言っても、身なりはいいし、高校まで進学するわけだし、きいちゃんの母親の風吹ジュンさんはこぎれいな格好をしているし、現在、訪ねたきいちゃんの実家は大きくないけどきれいに片付いてお仏壇もありました。

あの小学生の時の家は、なんであんなに散らかっていたのでしょう。

お母さんが片付けが下手なんだったら、いまも散らかっているはずですけどね。

孫の面倒も見ているし、そんなに貧乏と言うほどではないと思いました。

 

つまり、きいちゃんの母親は、やはり何かで収入を得て子供を育てていたわけでしょう。

お父さんがいなくて大変だっただろうとは思いますが、立派なお母さんだと思いました。

 

なっちゃんのお母さんも、事業に失敗して死んだ継父のお葬式もあげていたし、喪服もあったし、なっちゃんが町に出て行く日、お小遣いも渡していました。

こちらも立派なお母さんだと思いました。

 

それに比べて、きいちゃんは暴走族といい、DV男といい、男を見る目がなさそうだし、みさちゃんはお金に釣られたみたいに見えます。

 

それで、なっちゃんがふるさとに帰って得たものは、まさか優越感ではないでしょう。

みんなが求めたしあわせ。

でも、自分が努力しないと、道は開けないよね。

田舎だからとか、貧乏だからとか、女だからと言っていては、道は開くことはできないでしょう。

なっちゃんは、自分が行動した意味を、やっと今、理解したのでしょうか?

それって、遅くないかなあ?

 

どうも、主人公たちにひたむきさとか、無邪気さとかが感じられなくて、私はこの作品に共感できませんでした。

 

貧乏だけど、心は豊かだということをどう描くか、難しいなあと思いました。