マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

ハート・ロッカー

2010-03-22 21:08:54 | 映画ー劇場鑑賞
ーハート・ロッカーーTHE HURT LOCKER
2008年 アメリカ
キャスリン・ビグロー監督 ジェレミー・レナー(ウィリアム・ジェームズ二等軍曹)アンソニー・マッキー(J・T・サンポーン軍曹)ブライアン・ジェラティ(オーウェン・エルドリッジ技術兵)レイフ・ファインズ(請負チームリーダー)ガイ・ピアース(マット・トンプソン軍曹)デヴィッド・モース(リード大佐)エヴァンジェリン・リリー(コニー・ジェームズ)クリスチャン・カマルゴ(ケンブリッジ大佐)

【解説】
イラクに駐留するアメリカ軍の中でも、最大の危険を伴う爆発物処理班の兵士を描き、2009年の賞レースを席巻した戦争アクション。命知らずの兵士と仲間との確執と友情を軸に、緊張感あふれる爆発物処理の現場をリアルに映し出す。監督は『ハートブルー』『K-19』のキャスリン・ビグロー。レイフ・ファインズやガイ・ピアースらが脇を固める中、『28週後…』のジェレミー・レナーが任務に命を懸ける主人公を熱演。迫力ある戦場の描写と、兵士の勇気の裏にひそむ心理の繊細な描写に驚がくさせられる。

【あらすじ】
2004年夏、イラク・バグダッド郊外。アメリカ軍爆発物処理班・ブラボー中隊のリーダーに、ウィリアム・ジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)が就任する。まるで死への恐怖などないかのように遂行されるジェームズの爆発物処理の様子に、仲間のサンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)らは不安を抱くようになり……。

【感想】
今年のアカデミー賞で、夫婦対決、と騒がれた「アバター」ジェームズ・キャメロン監督と、「ハート・ロッカー」キャスリン・ビグロー。
結果は、ご承知の通り、作品賞も監督賞も「ハート・ロッカー」に軍配が上がりました。

でも、この2本の作品、全く違うので、比べようもない。
「アバター」は、「タイタニック」を抜いて興行成績が歴代1位。
あくまでエンタメ重視の大掛かりな作品です。
それに対してこの「ハート・ロッカー」はイラクでの爆弾処理班の日常を克明にとらえた、爆発シーンはド派手だけど、内容は地味な作品でした。
名のあるスターが主役というわけではありません。

「フル・メタル・ジャケット」「リダクテッド」の流れにある作品でした。

☆ネタバレ
イラクの爆弾処理班にやって来たアメリカ軍のウィリアム・ジェームズ軍曹(ジェレミー・レナー)。
爆死したブラボー中隊のリーダーの後任としてやって来た。
チームは、サンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)とエルドリッジ技術兵(ブライアン・ジェラティ)。
エルドリッジは、目の前でチームリーだが爆死したので少し精神が弱っている。

仕事はできるジェームズだが、単独行動に走りやすい。
サンボーンはそんなジェームズの態度に激しく苛立つ。

物語は、この3人の濃密な時間を克明に映し出して行きます。
顔を這い回る虫や、砂漠を渡る風など、細かい描写が続きます。
純文学みたい、と思いました。
これが、アカデミー好みだったのかなあ?

冒頭に防爆服を着ていても死んだリーダーのことを描いてあるので、ジェームズが防爆服を着て爆弾処理をしていても、私たちはそんなものがたいした役に立たないことを知っています。
ジェームズがどんどん爆弾に近づいて行くのを、サンボーンとともに苛立ちながら見ているしかないのです。

そして、どんなに汗まみれ、血まみれになっても、基地に戻れば本国と代わらない文明生活が待っています。
そこが、すごい違和感でした。

ブラボーチームは無事に任務を終え、ジェームズも妻子の元へ戻ります。
でも、ジェームズには居心地が悪いのでしょうね、また、戦争の中へ出かけて行くのです。

「戦争は麻薬だ」と最初にテロップが流れますが、そういうことか、と思わされました。

ビグロー監督はアカデミー賞のスピーチで「イラクの兵士を家庭に帰しましょう」と言っていました。
もうアメリカ人もイラク戦争にはうんざりなのでしょう。

この映画がアカデミー賞の作品賞を取ったのを見て、「アカデミー賞ってアメリカの賞なんだなあ」とつくづく感じた次第です。


コネクテッド

2010-03-22 21:01:31 | 映画ーDVD
ーコネクテッドー保持通話/CONNECTED
2008年 香港
ベニー・チャン監督 ルイス・クー(アボン)バービー・スー(グレイス・チャン)ニック・チョン(ファイ刑事)リウ・イエ(誘拐犯)

【解説】
ハリウッドで製作されたデヴィッド・R・エリス監督作『セルラー』を、『香港国際警察/NEW POLICE STORY』のベニー・チャン監督が香港でリメイクした手に汗握るサスペンス・アクション。見知らぬ女からの電話を受けてある重大な事件に巻き込まれるさえない中年を『エレクション』のルイス・クー、監禁されるシングルマザーを人気テレビドラマ「流星花園 ~花より男子~」シリーズのバービィー・スーが熱演。香港の雑踏を駆け抜けるカー・アクションや、悲哀が混じる親子愛など、最後まで存分に楽しませてくれる。

【あらすじ】
娘を学校に送った帰り、何者かにより監禁されたグレイス(バービィー・スー)。壊れた電話を修理してつながったのは、借金取り立て屋のアボン(ルイス・クー)の携帯電話だった。助けを求められたアボンはあろうことか発砲騒ぎを起こして指名手配されるが、アボンのニュースを知った警官のファイ(ニック・チョン)は事件のきなくささを直感する。

【感想】
「セルラー」も面白かったけど、それを香港映画がリメイクしたこの作品。
登場人物の個性を際立たせることでストーリーが豊かになり、アクションシーンも素晴らしかった。
甲乙付けがたいとは、このことです。

☆ネタバレ
夫を亡くして小学生の娘と暮らす、会社経営のグレイス。
娘を自家用車で学校へ送り届けた帰り道、数人の男たちに車をぶつけられて、そのまま誘拐されてしまいます。

被害に遭う心当たりのないグレイスですが、男たちの狙いはグレイスの弟ロイの持っているもののようです。
ロイの居場所を言うよう脅かされますが、電話もつながらず、グレイスにもその行方がわかりません。
それを信じない男たちは、ロイの友達も連れて来て、グレイスの目の前で殺し、さらに、グレイスの娘を誘拐すると脅かして出て行きました。

グレイスは壊された電話をなんとか通じさせ、やっとのことで借金取り立て業者のアボンにつながりました。

アボンは、仕事にも行き詰まり、一人息子にや姉から「約束を守らない無責任なダメ父親」と思われていました。
信頼できる父親だということを示すためにも、息子が待っている空港へ、待ち合わせ時間までに着くことが大切でした。

そこへグレイスからの切羽詰まった電話。
「切らないで、信じて」
人が殺される様子も電話口から聞きました。

アボンはグレイスの娘を救うため、小学校へと急ぎますが…。

ここから、ダメ男の人生を送ってきたアボンが、グレイスのために悪人たちに立ちはだかって、傷だらけでぼろぼろになりながらも、なんでそこまでと思うほど、必死に闘います。

でも、それは息子のために、自分の人生を変えるということだったのです。

事件が解決して、アボンが息子を抱きしめたとき、そこには息子のヒーローとして生まれ変わったアボンがいたのでした。

ダメな父親が、見知らぬ人のために極限まで命をかけるストーリー。
見終わって、とてもさわやかな映画でした。

アクションシーンも面白いし、カーアクションもすごい。
愛妻家の警官もいいところで活躍して、いいスパイスになっていました。