マダムようの映画日記

毎日せっせと映画を見ているので、日記形式で記録していきたいと思います。ネタバレありです。コメントは事前承認が必要です。

その名にちなんで

2009-05-09 16:24:04 | 映画ーDVD
ーその名にちなんでーTHE NAMESAKE
2006年 アメリカ/インド
ミーラー・ナイール監督 ジュンパ・ラヒリ原作 カル・ペン(ゴーゴリ)タブー[女優](アシマ)イルファン・カーン(アショケ)ジャシンダ・バレット(マクシーン)ズレイカ・ロビンソン(モウシュミ)

【解説】
インド人の両親の元アメリカで生まれ育った若者が、家族との体験やきずなを通して自らのアイデンティティーに気付いていく家族ドラマ。原作はピュリツアー賞作家ジュンパ・ラヒリの小説。『モンスーン・ウェディング』のミーラー・ナーイルが、巧妙なストーリー運びと情感たっぷりな演出で映像化した。息子の名前にある思いを込めた夫婦の愛は感動的で、命についても考えさせられる秀作。(シネマトゥデイ)

【あらすじ】
寛容な父アショケ(イルファン・カーン)と思いやりあふれる母アシマ(タブー)の息子として、アメリカで生まれ育ったインド人のゴーゴリ(カル・ペン)。2つの国の文化、2つの名前に翻弄(ほんろう)されながらも、ロックを聴きアメリカ人のガールフレンドもできた。ある日、その珍しい名前に込めた思いを父親に聞かされ、彼の中で何かが少しずつ変化していく。(シネマトゥデイ)

【感想】
名前ー自分の名前込められた親の思い。
ふーん、考えてみると、アイデンティティの問題にまでつながりそうですね。

「スラムドッグミリオネア」の私のブログを読んだ知人が「インドがテーマの、とてもいい映画がありますよ」と教えてくださいました。

この映画は、両親がインド(ベンガル)人だけれども、ニューヨークで生まれ育ったのに、名前をロシアの文豪から付けられたゴーゴリ(カル・ペン)を中心にした移民家族のお話です。
これは、インド人の家族だけれど、どんな家族にもある世代間の葛藤や親子の問題が、ゆったりとした時間の中で語られていました。

☆ネタバレ
若いときの父アショケ(イルファン・カーン)は、インドから外国に行くなんて考えたこともない、読書家の青年でした。
祖父のところに行く汽車の中で知り合いになった人から、「ぜひ外国を見てきなさい。枕と毛布を持って」と言われました。
そのときに読んでいた本がゴーゴリの「外套」。
突然、汽車が脱線転覆。
九死に一生を得たアショケは、その言葉を胸にニューヨークへ。
ニューヨークの大学で職を得て、故郷でアシマ(タブー)とお見合いし、出会ってからたった3週間で極寒のニューヨークへ花嫁を連れて帰ったのでした。

そして、妊娠出産。
アシマは、アショケのやさしさだけを頼りに、ニューヨークで必死にゴーゴリとソニアを育ててきました。

ゴーゴリという奇妙な名前のおかげで、友達からはからかわれ、ゴーゴリはインド人というだけで目立ってしまうのに、とても迷惑に思っていました。
そこで、大学へ進学するのを機会に、本来の名前であるニキルという名前にしました。
大学では、ニッキーとアメリカ的に呼ばれ、両親の故郷のタージ・マハルを旅行したときにインスピレーションを受けて、建築を専攻していました。

大学では、マクシーン(ジャシンダ・バレット)という美術専攻の学生と恋をして、彼女の両親にも受け入れられ、入り浸り、自分の両親のところにも寄り付かなくなっていました。
この頃のゴーゴリは、自分がインド人だということも忘れていたことでしょう。
父から、その名前の由来を聞いても、さほど気に留めませんでした。

ところが、父が単身赴任中に急死してしまう。
突然、自分がインド人で、父がくれた名前には深い思いが隠されていたということに気づき、その戸惑いの大きさに没頭して、マクシーンとの関係までもが壊れてしまいました。

同じベンガル人で幼なじみのモウシュミ(ズレイカ・ロビンソン)と再会し、インド式の結婚式を挙げました。

普通の映画なら、ここでハッピーエンドの所でしょうが、まだ続きます。

モウシュミにはパリにピエールという恋人があり、別れられなかったようです。
それを知ったゴーゴリは、もちろん傷つきますが、ここからがスタートと、晴れやかな気持ちで旅に出ます。
アシマはインドへ帰り、ソニアはアメリカ人と結婚する、という結末でした。

ストーリー的には無理がなく、ほんとうにいい家族だなあという感じなのですが、映像がなかなか素敵です。
インドのシーンもアメリカのシーンも、優しい気持ちになりました。
インド式の結婚式が2回とお葬式、ガンジス川への散灰の様子なども印象に残りました。

若いアシマが、会う前の未来の夫の靴に足を入れてふざけてみるシーンや、ゴーゴリとモウシュミの初夜のホテルの部屋でのインド風のダンスとか、心に残る印象的なシーンがありました。

いい作品でした。
お薦めです。


ムッソリーニとお茶を

2009-05-09 16:14:06 | 映画ーDVD
ームッソリーニとお茶をーTEA WITH MUSSOLINI
1998年 イタリア/アメリカ

フランコ・ゼフィレッリ監督 シェール ジュディ・デンチ ジョーン・プロウライト マギー・スミス リリー・トムリン

【解説】
1930年代のイタリアのフィレンツェで、異邦人でありながら、自由奔放に生き、人生を謳歌した5人の女性たちと、一人の孤独な少年とのふれあいを描いたヒューマン・ドラマ。1935年、イタリアのフィレンツェにレディ・ヘスターをリーダーとする英国夫人たちのグループがあった。孤児院を脱走した幼いルカはメアリーに託され、ここで育てられ、彼女たちから愛と芸術の素晴らしさを教えられる。やがて、少年は“紳士”に成長する。が、その頃イタリアにはファシズムが台頭していた……。(allcinema ONLINE)

【感想】
出演者が豪華です。
イタリアに暮らす英国婦人の中心人物が、亡き夫が駐在大使というレディ・ヘスター(マギー・スミス)。
芸術家のアラベラ(ジュディ・デンチ)、イタリアの服地会社で社長秘書をしているメアリー(ジョーン・プロウライト)や考古学者のジョージ(リリー・トムリン)がいます。

そこにアメリカ人で富豪と浮き名を流している、イタリア美術のコレクターのエルサ(シェール)がからんでくる。
レディー・ヘスターは、もと踊り子のエルサの生き方が気に食わない。

メアリーの働いている会社の社長の私生児のルカが、孤児院から逃げ出してきて、社長から英国紳士に育ててくれ、などと勝手なことを言われるが、エミリーは仲間たちの協力を得て、ルカの面倒を見始める。
ルカは、エルサの親友の息子でもありました。

そのルカの目から彼女たちの生き様が語られるというドラマでした。

ヨーロッパで戦争が激化していき、やがて、独裁者ムッソリーニもドイツに組して参戦するのではないかと言われる中、レディ・ヘスターはムッソリーニに面会をして、一緒に英国風のお茶を飲み、自分たちの身は安全であると言うお墨付きをもらったと思っていました。
ところが、いざ参戦となると、彼女たちは敵性国の人間として、軟禁されてしまいます。
誇り高き英国婦人にとっては屈辱でした。

やがて、彼女たちは居心地のいいホテルに移されました。
レディー・ヘスターは「ムッソリーニの配慮」だと思っていましたが、真相はエルサがお金を出していたのです。

そして、アメリカも参戦。
エルサも軟禁状態に置かれます。

エルサはユダヤ人でもありました。
愛するイタリア人弁護士を頼って、国外に脱出しようとしますが、それは裏切りでした。
恋人はエルサの全財産を奪い、ゲシュタポにエルサの居所を教えていたのでした。

それを知ったルカは、真相をみんなに話し、レデイー・ヘスターも反目していたエルサの救出に協力したのです。

情けは人のためならず、というストーリーですが、これぞ本当の反戦映画だと思いました。

普通に暮らしている外国の老婦人まで軟禁してしまうなんて、ほんとうにひどい。
アメリカでは、日系人もこういう目にあったんですね。
戦争によって失われるものが大きすぎることは、みんなわかっているでしょうに、戦争へ戦争へと流れていくのは、どうしてかと思います。
日本は平和に見えるけど、多くの人が油断なく目を配り、戦争への流れを小さいうちに断ち切らなくてはいけませんね。