ーハンニバル・ライジングー
2007年 アメリカ/イギリス/フランス ピーター・ウェーバー監督 トマス・ハリス原作・脚本 ギャスパー・ウリエル 、コン・リー 、リス・エヴァンス 、ケヴィン・マクキッド 、スティーヴン・ウォーターズ 、リチャード・ブレイク 、ドミニク・ウェスト 、チャールズ・マックイグノン 、アーロン・トーマス 、ヘレナ・リア・タコヴシュカ 、イヴァン・マレヴィッチ 、ゴラン・コスティッチ
【解説】
ベストセラー作家トマス・ハリスの生み出した“世界で最もインテリジェントなシリアルキラー”ハンニバル・レクターの過去に迫るシリーズ最新作。監督は『真珠の耳飾りの少女』のピーター・ウェーバー。原作者のトマス・ハリス自身が脚本を手がけ、レクター博士が“人喰いハンニバル”となるまでを描く。主人公ハンニバルを演じるのは『ロング・エンゲージメント』のギャスパー・ウリエル。シリーズの原点ともいうべき衝撃の展開に息をのむ。
【あらすじ】
1944年のリトアニア。名門貴族の家系に生まれたハンニバルは戦争の悲劇により両親を失う。幼い妹ミーシャを連れて山小屋で生活を始めたハンニバルだったが、逃亡兵たちがやって来て2人を監禁。そこでのある出来事を経て孤児院に送られ、成長したハンニバル(ギャスパー・ウリエル)は、やがて逃亡兵たちへの復しゅうを誓う。 (シネマトゥデイ)
【感想】
「羊たちの沈黙」ーもう何回見たことでしょう。プロファイリングという言葉を初めて聞いた、新しい形のサスペンスでした。ジョディ・フォスターがかっこよかった。
アンソニー・ホプキンスのレクター博士像が、生まれた映画です。
「ハンニバル」ー「レッドドラゴン」を見たいがために、手で顔を覆って、薄目を開けてみました。カニバリズムなんて、考えただけで寒イボが立つほど嫌いです。
そして、一番のお気に入り「レッドドラゴン」。レイフ・ファインズのくりからもんもん姿と、F・S・ホフマンの火だるまのシーン、忘れられません。
そして、エドワード・ノートンとアンソニー・ホプキンスの丁々発止。
レクターの頭脳が冴え渡っていました。
そのハンニバル・レクター博士の生い立ち、人喰い殺人鬼となる秘密がわかる、と楽しみに見に行きました。
ところが…。
この作品、単独で見れば、退屈もしなかったし、残酷すぎることもなく、主人公のハンニバル・レクターを演じたギャスパー・ウリエルにも満足したでしょう。
でも、これはハンニバル・レクターシリーズの新しいエピソードという宿命も持っているのです。
そう考えると、これは前の3作品と肩を並べるとはできないでしょう。
観客の少なさも納得できる気がしました。
解説を読むと原作者のトマス・ハリスが脚本を手がけていることで、少し、謎が解けたような気がします。
無理があったのでしょうね。
映画の脚本は、いかに原作から芯を取り出すかという作業ですものね。
作品に思い入れのありすぎる人は難しかったのでしょう。
戦争は弱い立場のものはさらに弱く、強いものからも一瞬にしてその強さを奪うものです。
そこが戦争の恐ろしさではないでしょうか。
疑心暗鬼や人間性の崩壊。
ここに、ハンニバルの原点があり、心を失いモンスターと化した彼は、復讐に邁進するというストーリーです。
そのことで、観客は妙に彼に同調してしまい、復讐を正統化して納得してしまう。
でも、待って、このシリーズの醍醐味は、理解しがたい、言いようもない違和感だったはず。
猟奇的殺人を犯しながら、自信満々のレクターと、追いつめきれない捜査官。
そのあやういバランスが魅力でした。
この作品に、その部分が足りなかったのが残念でした。
それから、付け加えるなら、レディムラサキ。
なんで、コン・リーなの?
この人、「マイアミバイス」でもスパニッシュを演じていましたね。
ちょっと安易すぎるキャスティングじゃないでしょうか?
鎧兜を拝んでいるシーンも不自然でした。
あんなことはしないよ。
お面がいっぱい吊ってあったのも、違うでしょう、と思いました。
「SAYURI」の時は、あれはあれ、と割り切れたけど、ここでは、その精神がレクターの根本をなすという扱いでしたから、もう少し、武士道について納得できるものが欲しかったです。
さらし首と骨を断つ日本刀の切れ味だけを言いたいためなら、日本文化を引き合いに出すまでもなかったでしょう。
ハンニバルが兜のアゴの部分を自分のアゴに当てるシーン、ポスターにもなっていますが、もっと意味のあるシーンかと思っていましたが、意味不明でした。
将来の姿を予知したとか?
まさか、ね。
怪優リス・エヴァンスの上を行くギャスパー・ウリエルの怪演ぶり。
グロさが押さえてあったのも、助かりました。
エンタメ作品としては、よくできていたけど、レクター博士に会いに行った人たちは、ちょっとがっかりしたのではないでしょうか。
このお話から、次の「レッドドラゴン」までに、もうひとつエピソードがありそうですね。
レクターの内面はこれだ、というのを期待したいです。
2007年 アメリカ/イギリス/フランス ピーター・ウェーバー監督 トマス・ハリス原作・脚本 ギャスパー・ウリエル 、コン・リー 、リス・エヴァンス 、ケヴィン・マクキッド 、スティーヴン・ウォーターズ 、リチャード・ブレイク 、ドミニク・ウェスト 、チャールズ・マックイグノン 、アーロン・トーマス 、ヘレナ・リア・タコヴシュカ 、イヴァン・マレヴィッチ 、ゴラン・コスティッチ
【解説】
ベストセラー作家トマス・ハリスの生み出した“世界で最もインテリジェントなシリアルキラー”ハンニバル・レクターの過去に迫るシリーズ最新作。監督は『真珠の耳飾りの少女』のピーター・ウェーバー。原作者のトマス・ハリス自身が脚本を手がけ、レクター博士が“人喰いハンニバル”となるまでを描く。主人公ハンニバルを演じるのは『ロング・エンゲージメント』のギャスパー・ウリエル。シリーズの原点ともいうべき衝撃の展開に息をのむ。
【あらすじ】
1944年のリトアニア。名門貴族の家系に生まれたハンニバルは戦争の悲劇により両親を失う。幼い妹ミーシャを連れて山小屋で生活を始めたハンニバルだったが、逃亡兵たちがやって来て2人を監禁。そこでのある出来事を経て孤児院に送られ、成長したハンニバル(ギャスパー・ウリエル)は、やがて逃亡兵たちへの復しゅうを誓う。 (シネマトゥデイ)
【感想】
「羊たちの沈黙」ーもう何回見たことでしょう。プロファイリングという言葉を初めて聞いた、新しい形のサスペンスでした。ジョディ・フォスターがかっこよかった。
アンソニー・ホプキンスのレクター博士像が、生まれた映画です。
「ハンニバル」ー「レッドドラゴン」を見たいがために、手で顔を覆って、薄目を開けてみました。カニバリズムなんて、考えただけで寒イボが立つほど嫌いです。
そして、一番のお気に入り「レッドドラゴン」。レイフ・ファインズのくりからもんもん姿と、F・S・ホフマンの火だるまのシーン、忘れられません。
そして、エドワード・ノートンとアンソニー・ホプキンスの丁々発止。
レクターの頭脳が冴え渡っていました。
そのハンニバル・レクター博士の生い立ち、人喰い殺人鬼となる秘密がわかる、と楽しみに見に行きました。
ところが…。
この作品、単独で見れば、退屈もしなかったし、残酷すぎることもなく、主人公のハンニバル・レクターを演じたギャスパー・ウリエルにも満足したでしょう。
でも、これはハンニバル・レクターシリーズの新しいエピソードという宿命も持っているのです。
そう考えると、これは前の3作品と肩を並べるとはできないでしょう。
観客の少なさも納得できる気がしました。
解説を読むと原作者のトマス・ハリスが脚本を手がけていることで、少し、謎が解けたような気がします。
無理があったのでしょうね。
映画の脚本は、いかに原作から芯を取り出すかという作業ですものね。
作品に思い入れのありすぎる人は難しかったのでしょう。
戦争は弱い立場のものはさらに弱く、強いものからも一瞬にしてその強さを奪うものです。
そこが戦争の恐ろしさではないでしょうか。
疑心暗鬼や人間性の崩壊。
ここに、ハンニバルの原点があり、心を失いモンスターと化した彼は、復讐に邁進するというストーリーです。
そのことで、観客は妙に彼に同調してしまい、復讐を正統化して納得してしまう。
でも、待って、このシリーズの醍醐味は、理解しがたい、言いようもない違和感だったはず。
猟奇的殺人を犯しながら、自信満々のレクターと、追いつめきれない捜査官。
そのあやういバランスが魅力でした。
この作品に、その部分が足りなかったのが残念でした。
それから、付け加えるなら、レディムラサキ。
なんで、コン・リーなの?
この人、「マイアミバイス」でもスパニッシュを演じていましたね。
ちょっと安易すぎるキャスティングじゃないでしょうか?
鎧兜を拝んでいるシーンも不自然でした。
あんなことはしないよ。
お面がいっぱい吊ってあったのも、違うでしょう、と思いました。
「SAYURI」の時は、あれはあれ、と割り切れたけど、ここでは、その精神がレクターの根本をなすという扱いでしたから、もう少し、武士道について納得できるものが欲しかったです。
さらし首と骨を断つ日本刀の切れ味だけを言いたいためなら、日本文化を引き合いに出すまでもなかったでしょう。
ハンニバルが兜のアゴの部分を自分のアゴに当てるシーン、ポスターにもなっていますが、もっと意味のあるシーンかと思っていましたが、意味不明でした。
将来の姿を予知したとか?
まさか、ね。
怪優リス・エヴァンスの上を行くギャスパー・ウリエルの怪演ぶり。
グロさが押さえてあったのも、助かりました。
エンタメ作品としては、よくできていたけど、レクター博士に会いに行った人たちは、ちょっとがっかりしたのではないでしょうか。
このお話から、次の「レッドドラゴン」までに、もうひとつエピソードがありそうですね。
レクターの内面はこれだ、というのを期待したいです。