行雲流水の如く 日本語教師の独り言

30数年前、北京で中国語を学んだのが縁なのか、今度は自分が中国の若者に日本語を教える立場に。

30年前の日記に書かれていた北京晩報の記事「理想の妻と夫」

2015-10-22 13:56:42 | 日記
1986年、北京で語学留学をしていた時期の日記をめくっていたら、9月6日『北京晩報』の記事を書き写したページが目に留まった。理想の妻と夫の要素を書き並べたものだ。

妻編は
1、いち早く夫の好みを察する
2、活発、かわいらしく、従順で上品
3、いつも人に新鮮な気持ちを与えてくれる
4、家事がうまくこなせる
5、心が細やかであれば、頭はよくなくてもよい
6、思いやりがある
7、勤勉でこせこせしない
8、賢い
9、飾り気がなく、あっさりしている
10、教養がある

夫編は
1、明るく、おだやか
2、仕事を楽しみ、かつ家庭を大事にする
3、妻の心を察することができる
4、生活に不安を感じさせない
5、男らしい、思いやりがある
6、活発で、おおらか
7、心が広い
8、時代に敏感
9、上を敬い、下をいたわる
10、外泊をしない
11、慈悲の心に富み、善良である

高度成長期に入る前の素朴な感情がうかがえる。人々の暮らしは質素で、考え方も素朴だった。月給はみな50~60元前後で貧しかったが、明日の生活はよくなるという希望に満ちていた。当時、天津を旅行していてこんなことがあった。貧乏学生だった私は安い旅館を探していたが、気が付いたら日が暮れていた。しょうがないので公園で野宿をしようとした。夏だったので風邪をひく心配はなかった。治安は悪くなかったので不安も感じなかった。すると、通りがかった警官が私を見つけ、外国人と知って驚いた。豊かな国から来た外国人は「外賓」と呼ばれ、もてはやされていた時代である。警官は知り合いの旅館に連絡を取り、従業員寮に無料で泊まれるよう手配してくれた。

中国で記者をしているとしばしば警官に阻止されたり、拘束されることがあるが、いつもどこか心の中であの警官の顔がちらついていた。不必要に抵抗する気にはなれなかったのも、そのためかも知れない。

現代中国人はだいぶ変わった。男性の女性に対する要求は「色白で、金持ちで、美人」が三大条件で、女性の要求は「背が高い、金持ち、ハンサム」が三大条件だ。見た目と金銭に重きが置かれている。大都市では男性は家を持っていなければ結婚もできない。30年前、男性が女性の優しさを求め、女性が男らしさを求めたのとはだいぶ様相が異なる。もしかするとあの記事は、そうした理想像を求める価値観を意図的に宣伝したのかも知れないが、今はそうした記事さえ存在し得ない。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (全日空)
2015-10-22 18:13:02
古今東西、よい夫婦の基準は同じですね。

コメントを投稿