事例紹介コラムです。
昨日の12日に日本サッカー協会は開催された理事会で、ハリルホジッチ代表監督が承認され、正式にハリルジャパンが誕生しました。そして、ハリルホジッチ監督が今日来日し、就任記者会見が行われました。ついにハリルジャパンがスタートしましたね。ただ、昨日までハリル監督に関して様々な情報が流れました。興味深いものもいくつかありました。少し紹介してみましょう。まずは「ハリルジャパンは“大量帰化”作戦か」というタイトルの東スポWebです。以下、抜粋して紹介。
【大量帰化作戦か】
ハリルホジッチ氏は歴代監督と比べてもまれに見る“タカ派”。「冷静で論理的な一方で、チームを強くするためなら衝突もいとわない強気な面も持ち合わせていると聞く。これまで指揮したクラブでは幹部と対立することも多く、代表チームを率いた時にはケガ持ちの選手の招集をめぐってクラブともめることもあったようだ」とは東欧の事情に詳しいJクラブ関係者。自らの信念を貫き通すためには多少強引な手段を用いるタイプだが、裏を返せばそれほどチーム強化に情熱を注ぐ熱血漢というわけだ。
で、時に強引な手法を取るのが特徴で、その顕著な例が“国籍変更”のウラ技を積極的に用いること。「複数の国籍を持っている選手に目をつけて“引き抜き”をして、もめたこともあるそうだ」(同関係者)
アルジェリア代表監督時代には、昨年のブラジルW杯を前にしてフランスのユース年代代表で活躍してきた有望株のMFナビル・ベンタレブ(20=トットナム)が突如アルジェリア国籍を取得。さらに大会1か月前にもフランスで生まれ育ったFWリヤド・マレズ(24=レスター)がアルジェリア国籍となり、立て続けに“補強”を敢行。
東スポWeb該当記事:http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/soccer/373979/
と言っても日本にも帰化文化はもともとあって、帰化した選手が代表選手に選出されるのは、今までも結構あります。古くはラモス(現J2岐阜監督)、呂比須ワグナー、現役選手ではチュンソンこと李忠成がいます。帰化選手の代表入りがいい事か悪い事かは不明ですが、そういう裏技を使う監督なのですね。続いて、スポーツナビでは「その知られざる素顔と人脈、苛烈な人生」というタイトルで、ボスニア紛争など、オシム元監督のような過酷な人生を経験されていることがよくわかりました。以下、抜粋して紹介。
【民族紛争】
選手のやる気を引き出すモチベーターで、熱血漢。敗れたブラジルW杯ドイツ戦の試合終了後には男泣きする場面もあったとか。指導者としてのスタートは'90年、古巣ベレジュ・モスタルから。この時にはボスニアに広がった民族紛争に巻き込まれ、あやうく生命を落としそうになったそうです。'92年の春に自宅前の路上で銃撃戦が開始。ハリルホジッチは何とかそれを阻止するべく「戦争になったら、みんなが敗者だ!」と叫んだ。名門ベレジュの監督として顔が知られていたので、双方とも撃つのを止めるだろうと考えたが、自身に銃弾が命中し、自宅の庭で重傷を負ってしまう事に。
ハリルホジッチはけがをおして、病床でテレビの取材に応じて、戦争を止めるように主張。この発言のせいか、民族主義者からたびたび脅迫を受けており、その後、ボスニアの戦争が激化し、サッカーどころではなくなると、知人を頼ってフランスに脱出。その直後に、モスタル市内の自宅は民族主義の民兵によって焼失。この顛末は「モスタルのワハよ、生きているか」と流行歌の題材にもなった(「ワハ」とはハリルホジッチの愛称)とか。
【サッカーの特徴】
サッカーの特徴としては、自分のチームの特徴や対戦相手に応じて、さまざまなシステムを使い分ける戦術。ハードワークを通じて、ダイナミックなコンビネーションを要求。規律には厳しく、選手の士気を高めるモチベーターとしてカリスマ的な面を持つとか。練習はきつく、要求のレベルが高いが、選手からの人望は厚い反面、経営陣の派閥争いなど、サッカー以外の雑音にはへそを曲げる傾向。とにかく頑固で、水に合うチームでは数シーズンにわたって結果を残すが、そうでないと数カ月で辞任するという、両極端の傾向。
スポーツナビ該当ページ:http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/soccer/japan/2015/columndtl/201503050003-spnavi
ボスニア紛争はあのオシム元監督とよく似ていますね。こういう経験をしているから気持ちも強いのかと。同じく震災など災害が多い日本とは馬が合うのかもしれません。その中で、ライブドアニュースで悪癖情報も流れました。名将ほど癖もあるし、勝利に対するこだわりは強いのでしょう。そういえばネルシーニョ前監督もそうでした。勝利へのこだわりは強いが、感情の起伏も激しかったですね。会見の壇上ではフランス語の「勝利」を意味する「Victoire(ヴィクトワール)」を連呼していたそうですが、これも柏時代に「Vittoria」(ポルトガル語で勝利)をキャッチフレーズにしていたネル前監督と同じ(神戸さんでは言わないのですね)。似たタイプだと思います。おっと、よその監督でした。以下、抜粋して紹介。
【悪癖】
「東欧の知将」として手腕が高く評価される一方、契約期間中に突然辞任を申し出てチームを去ることも多く、欧州のクラブ関係者の間では「信頼して任せられない」との良からぬ評判も存在。激情型で知られる指揮官には、ある不安がつきまとう。「契約を自分から放り投げる事が多く、その辺りが欧州でも広まって評価を落としているとか。ちょっとしたことでキレたり、自分の都合で辞めてしまうことが一度や二度じゃきかない様子。
これまでの実績としてはフランス・リールの1部昇格の他、ブラジルW杯でのアルジェリアの16強進出があるが、その一方で、チームの指揮が長続きしないという「黒歴史」もあるとか。
'02年のレンヌ(仏)では編成方針をめぐってクラブ幹部と対立し、1シーズンでチームを退団。'06年に就任したアルイテハド(サウジ)ではクラブ幹部の介入や生活環境が気に入らず、半年も持たずに辞任。'10年から指揮したディナモ・ザグレブ(クロアチア)でも、またもやクラブとの間に亀裂が生じて退任。さらに、昨年W杯後に就任したトラブゾンスポル(トルコ)も、わずか3か月で契約解除。率直な物言いが良くも悪くも波紋を起こし、クラブと対立して退団の連続。
ライブドア該当ページ:http://news.livedoor.com/article/detail/9870710/
確かに短いですね。よく考えたら、アギーレ監督が解任されたタイミングでフリーな状態だったというのも、見方を変えれば行くところが無かったからとも言えます。まあ、状況はどうあれ、しっかり実績を日本に残してくれればいいのです。そして、今日の記者会見の中にも注目すべき話がありました。以下、抜粋して紹介。
ブラジルW杯、アジアカップの結果はすべてが良かったとは思わないが、彼らはクオリティーを見せた。しかし、そうは言っても少し自信を失っているかもしれない。いくつかの点で向上させることができると思っている。簡単なものも難しいものもあるが向上可能だ。皆さんにお願いしたいのは、少し時間をいただきたいということだ。私は初めて代表チームを持ったときに、同じようなシチュエーションで仕事をした。すぐに成功したわけではないが、時間をもらい我慢して辛抱強く見てもらえれば、良い結果を出せると思っている。
私はかなり要求が高く、負けるのが大嫌い。私がいつも発する一言目は「勝利」。問題となるのは、トライをせず、負けてしまう事。私がここに来たことで勝利に対する気持ちを植えつけたいと思っている。私はネガティブなことを言うのが嫌いだ。彼らを復活させたいと思う。
3つの公約: 「3月の親善試合2試合で連勝」 「FIFAランク20位以内」 「ロシアW杯での16強以上」
さっそく選手に全員攻撃と全員守備の「トータルフットボール」を求めていました。結構話好きのようで、会見も長かったようですが、その中で実績が出るまで少し時間を待ってほしいと言っています。まさにそのとおり。アギーレさんの時もそうでしたが、すぐに結果を求めるのではなく、少し助走期間をみてあげてはどうか。いろいろ若手選手を試したいところでしょう。アギーレさんの時も当初いろいろと言われましたが、結果的には代表選手、日本協会も高い評価でした。という事で、みんなでしばらくは見守ってあげましょう。
気になるのが、日本協会が契約期間に口をつぐんだところ。やはり1年契約で、ダメでアギーレさんが無実になれば、W杯本番は再びアギーレジャパンに戻す気持ちもあるのかと。そして、弱い相手のホームゲームではなく、強い相手のアウェーゲームを増やしてあげてください。ハリルホジッチ監督、これからよろしくお願いします。