「かたち21」のHP
いけばな作家の中川幸夫さんはアヴァンギャルドな表現をする人ですが、
花器に花を活けることもあります。
現代の陶芸家が作ったものや、中国の古代の陶器に活けたりもしています。
そしていつも言ってたことは、「器には誘いがないと駄目だ」ということでした。
中川さんがいう「誘いのある器」とはどういうものかについて随分長いこと考えてましたが、
最近は私なりに理解できるようになってきています。
「口は大きく開いて天に向かっていなければ駄目」とか
壷の中を覗いて「これは深いねえ」とか、中川さんは言ってましたが、
なんとなく意味が分かってきています。
写真の中鉢は服部牧子さんという陶芸家の作になるものです。
最近我が家に仲間入りして、ずうっと眺めていると、
特にヘンテツのない作なんですが、どこか誘いかけてくるものがあるんですね。
で、つい思わず、台所にあったプリンスメロンを切って入れてみたりしました。
この鉢の場合の「誘い」という在り様がどこから来てるか、
正直なところまだよくつかめていません。
しかしひとつ思い当ることとして、服部さんは中国の古代の陶器や造形物が大好きで、
今年の春先にも中国まで美術館めぐりに出かけていたりしてるんですね。
このあたりに、中川さんとの接点が感じられたりしています。
服部さんは「かたち21」で企画している6月の展覧会「女の手仕事5人五様」に出品をお願いしています。
器作りは久しぶりということですが、先日、焼きあがった作品の一部を送ってきました。
ところがその後、自分で納得できないのでもう一度作り直すと言ってきました。
この人の中で何か変化が起きているようなことが感じられるのですが、
「中国古代の造形」ということがどこかではたらいているのかもしれません。
「女の手仕事5人五様」の詳細はこちらで
中川幸夫さんのいけばな作品
花器は中国B.C.2500年ごろの紅陶器
花材はカトレア