カタスミ

『向日葵の咲かない夏』道尾秀介著

友達にお薦め(?)されたので読んでみました。
以下ネタバレ有りです。












読後感最悪、という事を聞いていたので
特に胸糞悪くなる、と言う事はなかったのですが
いかんせん陳腐な印象を受けました。
確かに読みはじめからぐいぐいと物語に引き込まれ
最後まで読むのにそう時間はかからなかったのですが
後半に行くにつれて、なんというか何でもありな展開になりつつ…
最後まで読んだら、もう最初と最後じゃ話違ってるじゃねーか!という印象。

ミチオは結局受け入れたくない死というものに関して
頭の中で『転生』という形を取って
ショックを和らげていた、と言う事ですよね?
と言う事は、前半のS君達との探偵ごっこは
すべてミチオの妄想が繰り広げた結果、と言う事ですよね?
読者は延々と妄想話を読まされていた訳です。

で、後半はただただ読者に衝撃を与えたいが為の
転生種明かしと、突然覚醒したミチオによる
殺人乱舞が始まるわけです。
通りでミカがやたら大人びているなぁと思ってたんだわ。
あの演出は違和感しかなかった。個人的に失敗かと。

主人公狂気展開な訳ですが
こういう展開って昔の3流ドラマでよく見かけたなぁと。
やたら人が死んだりね。
そもそも展開もご都合主義なんだよなぁ。
S君のお母さんと言い、爺さんと言い、
なぜ言わなくてもいい事を子供にベラベラ語りだしたのか。
また、Aと言うパターンで話がどんどん進められ
いやいや、Bと言う可能性もあるでしょ?と思われる所も
登場人物がAで納得しちゃって話が進んじゃったり。
特に石鹸が庭で見つかったらS君自殺断定、で納得してる所が
よく分からなかった。

伏線も微妙でした。
電車に乗る場面で、先生が
『子供だけのときは、気をつけるんだぞ』
とか言ってましたが、この時ミチオは1人な訳です。
どっちかって言うと『1人のときは、気をつけるんだぞ』
とかの方が自然じゃないか?
それにトコお婆さんが殺されて
麺の小父さんが泣きながらインタビュー受けてましたが
飼い猫が殺されてそんなインタビューされるか??
せいぜいアナウンサーが『近所で猫の死骸が見つかり…』なんて
読み上げるのがいいところではないのか?
後から読むと無理矢理感が否めない…

後、個人的にすごく乙一臭がしました。
前半は『しにぞこないの青』
後半は『暗黒童話』っぽいなぁと。
勝手な印象ですがw

結局の所、最初のつかみはオッケーだったのですが
最後が中学生の書いた衝撃展開な感じで
非常にお粗末でございました。
まぁ、さくさく読めたので星は3つくらいかなぁ…
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