カタスミ

バベットの晩餐会

すんごい地味で静かで退屈な話だけど私は好き。
なんとも心に染みる話だった。
以下ネタバレあり。




















牧師である父の教えを守り、少数の信者を導きつつ、
質素で素朴な生活を送る老姉妹の元に
パリで起きた動乱から国を追われたバベットが転がり込む。
ある日バベットが宝くじを当て、
そのお金で牧師生誕100年記念に信者の方々に
ディナーを振る舞いたいと言い出す。

…という感じのお話です。
舞台は19世紀後半のデンマークの寂れた村。
最近気づいたけど、どうも私は
19世紀後半のヨーロッパの雰囲気が相当好きみたいである。
すごい寂れた田舎町だけど、服とかかわいくてさぁ。
バベットが着てたマントみたいなのも好き。

老姉妹が若い頃にはいろいろな男が言い寄って来た訳ですが
歌の指導したるといって近づいてきたパパンは
大分気持ち悪かったな~(笑)
めっちゃ触ってくるやん…セクハラやん…
そりゃ歌のレッスン辞めるわwって思ったww
若き士官の方もですが、割とすんなり諦めるのなぁ。

老姉妹が助けたバベットは
とにかく家計のやりくりとお料理が上手。
実はフランスの有名レストランのシェフであった彼女、
ある時宝くじで大金が当たったので
フランス式の料理を信者のみんなに振る舞いたいと言い出す。
亀やらうずらやら、得体の知れない食材に
戦々恐々とする信者達が見てて笑えました。
でもちゃんと食べてあげるのが優しい。
ド田舎の老人達なので、食材の高級さとか全然知らずなのが
またなんとも言えないおかしさ…
どんなに価値のある物でも、何も知らない人にとっては
全く価値がなくなるんだなぁ…という。

若き頃に老姉妹に求婚した士官が将軍となり、
おばさまと晩餐会に参加するのですが
そのおばさま、当時からそうとうおばあさまでしたが
今何歳なの…って思いましたw
将軍だけが料理の本当の価値が分かるという…
これすごいよ!って言っても
周りの人ら全然興味なくてかわいそす。

でも、料理の価値は分からなくても
仲の悪かった信者達の心をほぐし
最後は皆大満足で家を去って行く。
美味しい料理は心を満たす。
料理も芸術のひとつなのねぇ…

もう簡単に言うと
料理上手のバベットがド田舎の老人達に
料理を振る舞うってだけの話なんですけど
雰囲気が良いというか、なんか染みるし泣ける…
別に泣くシーンでもないんだけど、
じわじわと涙がにじみ出てくる感じでした。
それこそ見た目地味で彩りのない料理が
食べてみたらめっちゃ美味しくて
はぁぁぁ、幸せ…って感じの映画かもしんない。
個人的にはカズオ・イシグロの『日の名残』を読み終わった後に似てる。
多分この雰囲気に酔えない人は相当退屈な映画だと思うけど
私は割と好きな世界観だったのでまあまあ入り込めました。

星は3.6。
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