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「正しくやる」と「正しいことをやる」

2021-01-28 12:00:00 | 20期生のブログリレー

 こんにちは、20期生の岡田です。
 今回のブログは、日経ビジネス電子版の記事で見かけた「正しさ」に触れた2つのインタビュー記事を参考にしました。1つは2021年1月15日付の柳井正社長インタビュー記事です。もう1つは2021年1月20日付のティース教授インタビュー記事です。

 タイトルのフレーズはティース教授のインタビュー記事に出てきました。このティース教授は「ダイナミック・ケイパビリティ」の提唱者だそうです。これは「組織が正しく変化する能力」という意味合いであり、数多くの研究者が理論化に取り組んでいる未完成な概念であるとしています。ティース教授は「正しくやることが重要なのではない。正しいことをやるのが重要なのだ。」とコメントしています。

 ピーター・ドラッカーの著書の日本語訳である『現代の経営(下)』(上田惇生訳)にも、「正しさ」に関する記述があります。「重要なことは正しい答えを見つけることではない。正しい問いを探すことである。間違った問いに対する正しい答えほど、危険とはいえないまでも役に立たないものはない。」というものです。つまり、正しさの方向性が重要であると言えそうです。

 ティース教授の言葉に戻ると、日本は物事を「正しくやる」こと(例えばトヨタ生産方式)で成功してきたとしています。日本の課題は「正しいことをやる」、つまりどのようにイノベーションを起こすか、であると教授はコメントしていました。あまり意識していなかったこの2つの言葉に大きな違いがあることに気づかされました。

 もう1つの柳井正社長インタビュー記事では、「正しい経営」についてコメントが掲載されていました。株式会社ファーストリテイリングの企業理念には「正しさへのこだわり」があります。この「正しい経営」の意味について問われたところ、柳井社長は、「道理も感情も全部筋が通っていないといけない」「一般に通用する正しい考え方」「長期的にお客様の生活がよくなること」とコメントされました。そして「正しい経営」を「ごまかしをしないこと」と表現しました。

 柳井社長の言葉をティース教授の概念で分けてみると、「正しくやる」は「ごまかしをしない」にあたり、「正しいことをやる」は「長期的におお客様の生活がよくなる」に該当しそうです。その他にも柳井社長インタビュー記事の中には「正しいこと」へのこだわりがちりばめられています。このこだわりは株式会社ファーストリテイリングが世界で活躍できる企業に成長している大きな要因になっていると思いました。

 これらの記事は、これまであまり意識してこなかった「正しいこと」を再考する機会となりました。気づきを得られたことを大切に、「正しさ」にこだわれる人間になれるように心がけたいものです。ただし、口に出すのはまだちょっと恥ずかしいですね。


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1 コメント

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Unknown (大井 秀人)
2021-01-29 18:21:56
日本の得意なオペレーションの本質的な弱点を突いているかもしれません。
・正しくやる=決められたことを決められたとおりにする=そこに思考が無い
・正しいことをする=何が正しいか考える=思考がある
かなり対極にあると感じました。
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