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意外な流行

2020-11-24 12:00:00 | 20期生のブログリレー

こんにちは。20期の安納です。

先日の稼プロ!合宿は、筑波山を望む土浦市内のホテルで開催されました。久しぶりに筑波山を間近に見て、思い出したことがあります。ご存じの方も多いかもしれません、天狗が多数おわすのです。

この事実は、以前読んだ江戸時代の国学者、平田篤胤の書籍から知りました。岩波文庫の青で、寅五郎異聞といったか…いつ処分してしまったのか、すでに手元になく名前がおぼろげです。そういえば、天狗の単位は人としていたのか、体だったか…思い出そうとしているうちに再購入の機運が高まり、天狗も驚く検索エンジンで判明いたしました、「仙境異聞・勝五郎再生記聞」です。少し記憶がずれておりました。ECサイトに在庫があったので、早速購入してしまいます。

緊急重版?

これまた天狗も驚くスピードで、早速翌日には書籍が届きました。見ると、表紙にポップな帯がかかっています(下記産経ニュースリンクから書影が確認できます)。「緊急重版 twitterで話題沸騰!!」?。奥付をみると、「2019年11月15日 11刷」となっています。ちなみに初版は2000年1月14日です。何が起こっているのでしょう。

ネットのことはネットに聞け、ということで、またぞろ検索エンジンを駆使いたしましたところ、いくつかの記事にたどり着きました。

▼【話題の本】アマゾンで一時数万円…天狗の仕業でヒット? 『仙境異聞・勝五郎再生記聞』平田篤胤著、子安宣邦校注 - 産経ニュース(2018/7/14)
https://www.sankei.com/life/news/180714/trv1807140001-n1.html

2018年にtwitterを中心に話題が広まったことがきっかけのようです。一時期価格が暴騰する状況もありながら、2年間でなんと6刷から11刷と順調に重ねてきたのです。すでに祭りが終わったあとではありましたが、意外な流行にただ驚きました。

▼謎ブーム どうして「天狗にさらわれた少年の話」が売れているのか? | 文春オンライン(2018/4/29)
https://bunshun.jp/articles/-/7148

校注を担当した子安氏も戸惑いが隠せなかった様子です。流行のおかげで、氏の本書に対する思い入れに触れることができたのは、自分にとって幸いでした。

「異世界もの、転生もの」の流行

「仙境異聞・勝五郎再生記聞」のうち仙境異聞は、天狗に連れ去られ異界の修行を積んだという寅吉少年に対し、平田先生がインタビューする形式を中心にストーリーが構成されています。様々な修行や祭事を語る寅吉少年の記憶力に驚嘆するとともに、的を射た質問を放つ平田先生の手腕に感心いたします。おかげで後世の我々でも、異界での出来事をはっきりと思い浮かべられるのです。

このような異世界体験を記した書籍の背景には、小説やマンガでモチーフとなっている「異世界もの、転生もの」ジャンルの流行があるようです。

▼Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%95%B0%E4%B8%96%E7%95%8C_(%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%AB)

上記の説明によれば、文字通り、今住んでいる世界とは別の場所にける経験、その経験と現世とのギャップ、を扱う分野といえます。寅吉少年の異界での経験と現世での語り口を、同様のジャンルでとらえたことが、古典の流行を生んだのです。

江戸時代の古典に同様のモチーフを見出したことは誠に慧眼ですし、時代を越えて同じ興味を持つことのできる文化的背景があることを思い起こす機会を与えてくれました。流行のベースを探り、古典を掘り起こして繋いでいくことは、その価値や共同体の維持に大切な役割を担うかもしれません。これからは、古典に学ぶ機会も大切にしたい、と思いを新たにいたしました。


ところで当初気になっていた筑波山の天狗について、記述されている箇所を以下に紹介いたします。

岩間山に十三天狗、筑波山に三十六天狗、加波山に四十八天狗、日光山には数万の天狗といふなり。(「仙境異聞・勝五郎再生記聞」岩波文庫 241ページ)

茨城勢は 13+36+48 で 97天狗(単位は「天狗」のようです)、栃木勢は数万天狗、栃木勢が数で圧倒していますね。

失礼しました、突然、茨城と栃木の構図を持ち出してしまい恐縮です。私、実は栃木県に居住しておりまして、最近の魅力度ランキングなるニュースの後、時々このような思考に陥ることがあるのです。天狗の数で魅力を推し量れるものでしょうか。全く良くない思い込みです。魅力度については後日、あらためて書くことがあるかもしれません。

お読みいただきありがとうございました。


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (大井 秀人)
2020-11-27 09:53:53
北関東は河童もいませんでしたか?(うろ覚え)。この手の話は親しみがもてるので、そういうとこから地域の盛り上げとつながると嬉しいですよね。
Unknown (安納)
2020-12-13 18:31:06
コメントありがとうございます。

>大井さん
やはり、土地の物語は知らないより知っていたほうがいいのではないかと思います。その土地々々を尊敬する気持ちに繋がるのではないかと。宮本常一のようなスタイルで活動できると素敵かと思っております。

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