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リートの経営戦略(第2回)

2012-03-22 21:47:15 | 11期生のブログリレー

今晩は、才村です。

前回に引き続いて、まず財務戦略です。出典は、各社決算説明資料です。 

N社(11年12月期)保守的なLTV水準(40~50%)、長期固定金利での調達、幅広い資金調達手段

K社(11年10月期)保守的なレバレッジ及び返済期限の分散、借入れ条件の改善、資金調達の多様化 

N社(06年12月期)ファイナンスの機動性、LTV水準(40~50%)、資金調達の安定性

K社(06年10月期)借入金の金利固定化・返済期限分散化・平均残存期間の分散化

⇒2007年のサブプライム問題発生後の金融引締め時に新興不動産会社が次々と倒産しました。現在は金融緩和時ですが、将来、信用不安が発生して金融引き締め、金利上昇が発生することを用心して、両社ともリスク回避の「保守的なLTV水準」を打ち出しています。長期固定金利での調達、返済期限の分散も同じ理由です。今、金利が安いから変動金利型の住宅ローン借入者が4割弱いたりしますが、金利上昇時、利息が払いきれなくなりそうです。

(注)LTV(Loan To Value、総資産有利子負債比率)=(借入金+投資法人債)/総資産

最後にリスク戦略です。

N社(11年12月期)物件集中リスクの分散、テナントリスクの分散、ポートフォリオPML

K社(11年10月期)テナントの分散

N社(06年12月期)物件集中リスクの分散、テナントリスクの分散、ポートフォリオPML

K社(06年10月期)金融リスク以外(例:地震)への言及なし。

(注)PML(Probable Maximum Loss)「建物の使用期間中で予想される最大規模の地震(再現期間475年相当=50年間で10%を超える確率)に対して予想される最大の物的損失額の、再調達費に対する割合(Wikipediaから引用)」

⇒数年前は、1つの巨大ビルに投資する物件集中リスクや少数のテナントに依存するテナント集中リスクの回避が主だったようです。

ところが、東日本大震災でリートが持つ仙台や浦安の不動産が損傷を受け、東京の高層ビルの長周期地震動がテナントに不安を与えてしまいました。今回の地震の最中に私の最大の固定資産である木造の我が家が壊れないでと机の下で祈っていましたところ、壊れはしなかったものの外面の塗装にヒビが入っていました。もし高層ビルが倒壊したら、人命も含め莫大な損害賠償額になります。実際、直下型地震で、ペシャンコになった神戸の病院の中層階の写真や全体が崩落したニュージーランドのビルの写真を見ると、他人ごととは思えません。

地震の揺れといえば、2月29日のお昼にTBSを視ていたら、都内でも、溜池や旧日比谷の入り江である丸の内は埋め立て地であり、関東大震災でも揺れが大きかったと伝えていました。ごく近くの場所と震度が2違ったということですが、自分が働いているビルの地名に「池」が付いていても、自分から転勤するわけにはいかないので、今後「4年以内に70%」と予想される首都直下型地震でも勤務先のビルが壊れないことを事前確認したうえで、揺れたときに直ぐに机の下に潜る練習をしておけば、何とか命は助かりそうです。

コメント (1)
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