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カルガモ母さんこと 川上美也子のコラム http://karugamo.org/

ヨーロッパ記(2)…2007/11記

2008-09-16 10:44:16 | Weblog
8日 搬入とオープンセレモニー

 早朝5時前に目が覚めた。少しじっとしていたら、隣で寝ていたみのりちゃんも目を覚ました様子なので、「フランスの星空が見たい!」と言って、二人で外に出た。夜空を仰ぐと、満天の星だった。
 私「オリオン座だ!」
 みのり「あ、あれ、もしかして北斗七星?! 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10」
 おいおい。
 10日間も私の介助をしてくれる最も近い同行者。何やら楽しくなりそうな予感。

 出張所の真ん前が駅だった。朝食をいただきながら外に目をやると、駅に急ぎ足で集まる人々の、日常生活のひとこまに触れることが出来る。毎朝、フランスの生活モードに浸れるって、なんてしあわせなんでしょ。
 この日は、皆で電車で移動した。





 パリ方面に向かう電車に車イスで乗るには、道路をぐるーっと大回りして反対側のホームに行かなければいけない。やっと着いたと思ったら、鉄の柵があった。そこの鍵を外してもらい、頑丈そうなごっついスロープを渡してもらって、ようやく電車に乗り込んだ。一路、書作展会場の文化協会へレッツゴー。
 最寄りの駅に着いて、エレベーターを探して辿り着いたら修理点検中だった。ふーっ。よくあることなんだとか。

 文化協会はパリのど真ん中にあった。セーヌ川まで百メートルもない。
 シテ島、ノートルダム寺院、ルーブル美術館、オルセー美術館など皆歩いて行ける距離にある。

 搬入が始まった。スペース海のスタッフ、お母さん、子どもたちも揃って、それぞれの荷を解いて飾り付けを始めた。ギャラリーは文化協会の地下で、階段の昇降があったので、私は後からゆっくり降りて行った。
 あっちだ、こっちだと、作品を動かしていたら、ギャラリー担当の九鬼さんがいらして、手際よく、しかも斬新に配置して下さった。2作品は床に置くかたちで壁に立て掛けただけ。そんなの初めてで、「これもありなの?!」と驚いた。スゴイ!
 6年前の個展でニューヨークでも驚いたが、国により、人により、飾り付けは、全く違う。それがまた、「目からウロコ」なのだ。彼らの洗練されたセンス、感性のすばらしさ、同時に自分の美の感覚の狭さに気づかされる。



 文化協会の一階には、日本語学校と、図書館があった。ちなみに、草壁先生に頼んで市井社からいただいた、伊藤赤人著の「望郷の丘」は、この図書館に寄贈した。フランスの一等地で広くパリ市民の目に留まってほしい。
 フランス行きが迫った9月の20日過ぎの朝、ふと赤人氏を思い出した。赤人氏ご自身のハンセン病人生を詠った「望郷の丘」という五行歌集が、赤人氏と私、五行歌と私を繋いでくれた。おととしの3月に出会った。それから1か月半、電話とファクスで私は赤人氏に五行歌を教えていただいた。赤人氏は、私が出会えた1年半後、病死された。
 「川上さん、僕の代わりにあちこちの歌会に行ってよ。皆さんに来てもらって世話になっているのに、僕は行けないから…」
 私が、赤人氏にいただいた最後の言葉になったのだった。以後私は常に,形見として分けていただいた赤人氏直筆の五行歌の半紙を持ち歩いて、いつもご一緒していただいている。
 さて、その朝ふと、「望郷の丘」をフランスに置いてこよう、と強く思った。ちょうど赤人氏の1周忌だったので、ご本人の希望かもしれないと思ったのだった。

 話は10月8日に戻る。
 午後6時からのオープニングセレモニーに合わせて、控室にお借りした教室で、私は袴姿に変身した。化粧も着付けも、日本から同行して下さった青木さんにしていただいた。青木さんとの出会いも奇跡というしかなかった。

パフォーマンスでは、「夢」を書いた。薄い茶墨で横に「夢」、フランス語を教えていただいて、書き添えた。続いて濃い黒で縦に「夢」を書いた。続いて「心」、最後に会場の方にリクエストを聞いて、「笑」を書いた。リクエストをくださったフランス人女性は、お子さんが障ガイを持っていらっしゃるそうだった。たくさん笑える人生でありますようにと希いを込めて、書けた「笑」の書を差し上げた。



 緊張したせいか、とても暑かった。
 夜風にあたりたくなったので、電動車イスで外に出た。青木さんとご一緒だった。カメラを持った千田さんも来られて、セーヌ川添いのあちこちでスナップや記念写真を撮ってもらった。青木さんがせっかく袴用のブーツも用意してくださったのに、ちょっと涼むだけのつもりだったので、自前の短いシューズで出てしまった。私にしたら、また別の日に袴を着て出たいと思っていたのだ。しかし結局、体力や荷物の関係から、和服はこの晩一回きりだった。たくさん写真を撮ってくれた千田さんに感謝。着せてくださり、そばに付きっきりで着くずれのないようチェックしてくださった青木さんに感謝。おかげでとてもいい写真が出来た。ふふふ、5年以内なら、遺影に使える。イエーイ!

 全て無事に終わり、洋服に着替えて、夕食の為にパリの街に出た。
 長谷川夫妻の案内で、ムール貝とお酒のおいしい店(ビストロ?)に行った。客で溢れて賑やかだった。果たして、車イスが入れる空席があるのか…? まるで奇跡のように、入ってすぐ右の3つに分けられた席が、全部空いていた。少し待っていたら、お店の人が一つに繋いでくれて、8人掛けられる私たちだけのスペースが出来上がった!
 フランス語のメニューをフランス在住の長谷川夫妻に読んで解説してもらって、ムール貝2種、あといろいろ(忘れてる…)、そして各国のビールをみんな違うのを注文して、「カンパーイ!」後に回し飲みした。どれもみーんな美味しかった
 長旅の影響もなく、予定通りオープンし、パフォーマンス出来た喜びと安心感が、なお美味しくしてくれた。私のジョッキが一番でかかった。ふふ、まぁいいじゃん。今日だけは主役気分の酔っ払い。

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1 コメント

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なつかしい (senda)
2008-09-17 23:20:16
懐かしいですね。

アムール貝はほんと美味しかった。

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