観光ガイドブックに載せる訳にいかないコラム

管理人「てぃんがーら」が沖縄のニュースを斬る!

軍と県一体に衝撃/鉄血勤皇隊編成文書

2006年10月29日 | Weblog
 太平洋戦争末期の沖縄戦に動員された学徒隊「鉄血勤皇隊」の編成に当たり、沖縄県が旧日本軍と覚書を結び、学徒名簿を軍部に提出するなど主体的な役割を担っていたことが二十八日、米公文書で分かった。(2006年10月29日沖縄タイムス朝刊1面、23面)

 米軍が沖縄戦で捕虜から聴取したり、調査し作成された報告書、これが米公文書であり、まだまだ表に出ていない文書がたくさんあるようです。鉄血勤皇隊やひめゆり部隊が、どうやって招集されたかが明らかになる資料です。軍・県・学校が一体となって学生を戦場に送り込んだ仕組みがわかってきました。
 しかし、このような記事が1面と社会面のトップを飾るということが驚きです。同時に終戦から60年以上経って尚、いまだに隠されている事柄があることに対する政府への不信感があることを感じます。
 日本側の資料がほとんど無い以上、米公文書の調査研究が進むことを期待します。

固定翼着陸装置を検討/普天間代替施設

2006年10月21日 | Weblog
 主にヘリ基地として運用される米軍普天間飛行場代替施設の建設計画(マスタープラン)で、米側が固定翼機の緊急着陸などの際に用いる「アレスティング・ギア」(着陸拘束装置)の設置を検討していることが二十日分かった。(2006年10月21日沖縄タイムス朝刊1面)

 辺野古に建設が予定されている普天間代替飛行場。アレスティング・ギアというのは、滑走路の端にワイヤーロープを張り、着陸してきた航空機がオーバーランしないようにロープにフックを引っかけて飛行機を止める装置です。ヘリ用の基地なのですが、それ以外の輸送機、戦闘機の離発着の可能性もあるということです。
 ヘリ用の基地ならばヘリパッドがあればいいわけで、それを1800m級の滑走路にするということ自体に固定翼の航空機の発着がありうるということでしょう。
 ケビン・メア在沖米国総領事は、米側に戦闘機の運用計画がないことを強調した上で「私たちが話し合っているのは、代替施設に万が一、緊急着陸することがある場合に備えて安全を確保するために必要な方策や設備のこと」と話していると記事は伝えていますが、飛行場ができてしまったら、必要な航空機は離着陸をすると思います。というか、全て米軍の都合で運用することは火を見るよりも明らかです。
 マスコミもアレスティング・ギアの設置という枝葉末節な問題を取り上げるよりも、辺野古の基地の必要性という根本的問題を世論に訴えて欲しいものです。



年内に一部迎撃態勢/パトリオット

2006年10月19日 | Weblog
 米軍が嘉手納基地などに配備する地対空誘導弾パトリオット二十四基の発射台の一部が年内に迎撃態勢を整えることが十八日、分かった。同基地には兵員約三百人が配置されており、発射に伴う訓練を終え次第、運用が可能となり、沖縄での弾道ミサイル防衛(BMD)構想が実戦段階に移行する。(2006年10月19日沖縄タイムス朝刊1面)

 毎日のように紙面を騒がせるパトリオット問題。北朝鮮の核実験を受け、米軍は沖縄の基地が核攻撃を受ける可能性を強く認識しているようです。その危機感がつのっているからこそ、ミサイル配備を急いでいるのです。
 ところが、同じタイムス紙の3面にこんな記事が載っています。

『那覇市標的には部隊移動で対応
 嘉手納基地などに搬送された地対空誘道弾パトリオット(PAC3)が同基地を守るために配備されているという批判が県内で根強いことに、防衛庁の大古和雄防衛政策局長は18日の衆院外務委員会で、沖縄の政治・経済の中心である那覇市が弾道ミサイルの標的になった場合、部隊移動で対応できるとの認識を示した。照屋寛徳氏(社民)への答弁。』
 
 那覇が狙われるようなら、嘉手納からPAC3部隊が移動して来るというわけですね。PAC3の射程距離は半径15キロほど、これでは嘉手納のミサイルは那覇をカバーできないというわけです。
 質問をする方もする方(多分分かっていて意地悪く質問したのでしょうが)、それに言うにことを欠いて「部隊が移動してきます」と答える方も答える方。
 パトリオットは基地を守るためであることは、誰の目にも明確なのに、この場に及んでも、県民を守ると言い抜く防衛庁の神経が分かりません。
 それに発射から数分で着弾する弾道ミサイルを、嘉手納から那覇に部隊を移動して迎撃するなどということが物理的に可能なことなのか、ちょっと考えても分かるでしょう。
 こんな答弁を繰り返しているから県民はさらに防衛庁の言うことを信じなくなっているのです。

ウチナーンチュ交流本番/同胞の力 再確認

2006年10月13日 | Weblog
 世界各地の県系人が沖縄に集い交流を深めようと、十二日に宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開幕した第四回世界のウチナーンチュ大会(主催・県など)は、宜野湾海浜公園多目的広場でワールドバザールやチャンプルー交流祭などが始まり、世界各地のウチナーンチュの文化や地元沖縄の芸能などが披露されるなど、県系人らの交流が本格化した。(2006年10月13日沖縄タイムス朝刊1面)

 第4回世界のウチナーンチュ大会の盛り上がりを1面トップ写真入りで伝えています。世界に渡った県系人がふるさとで一同に会し、絆を深めようという祭りです。
 各地に県人会なるものはありますが、沖縄の場合はワールドワイド、その盛り上がりも大変なものがあります。
 以前にコラムでも書きましたが、「県系人」という言葉もこちらに来て初めてしりました。よく日系人という言い方をしますが、同様に世界を含めた県外で暮らすウチナーンチュを県系人と呼んでいます。
 ともかくも、世界から集まった県系人のお祭りが成功するように祈念します。

パトリオットミサイル搬入できず/天願桟橋ゲート前 市民団体座り込み

2006年10月10日 | Weblog
 地対空誘導弾パトリオット(PAC3)のミサイル本体二十四基などを積載した輸送船は九日午前八時ごろ、天願桟橋に入港したが、市民グループが桟橋ゲート前で座り込みを行い、米軍車両の進入を阻止。十日午後一時現在、輸送船はミサイル本体の荷降ろし作業に着手できないまま、天願桟橋で丸一日以上停泊を続けている。(2006年10月10日沖縄タイムス夕刊1面)

 なんともお粗末な事態が続いています。こういう事態になったのも、いい加減な対応しかしない日本政府の責任だと思いますねえ。市民グループというのもよく分からない団体ですが、本質的な説明責任を果たしていない政府もいい加減。
 10日付けの琉球新報夕刊1面には、那覇防衛施設庁の池部次長が、抗議した県会議員に対し「PAC3は純粋な防御システムで県民の財産や生命を守るものだ」と理解を求めたというような記事が載っています。
 もう、何をか況んやですねえ。こんな上辺の建前だけ繰り返しているから、尚更反対グループが騒ぐように思えます。
 対外的にミサイルから守らなければならないのは、国会、皇居、原発などの重要なインフラでしょう、普通。というか、もし敵国が日本を狙うのだったら、そういう所を重点的に狙い撃ちしますよね。
 なぜ、沖縄などという辺鄙な島に防衛システムが必要かというと米軍基地を守るためであって、県民を守る為でないことは誰が考えても分かることです。むしろ安保条約上、米軍基地の防御が必要であると説明してくれた方がよっぽどすっきりすると思うのですが。
 

パトリオット/首長7割「配備反対」

2006年10月06日 | Weblog
 米軍の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)本体の到着が迫る中、沖縄タイムス社は五日、米軍基地所在市町村長二十一人を対象に緊急アンケートを実施した。回答した十八人のうち、七割以上の十三人が「反対」と明言。五人は「どちらとも言えない」とし、「賛成」はいなかった。配備先となる中部だけでなく、全県に反発が広がっている。(2006年10月6日沖縄タイムス朝刊1面)

 沖縄タイムス紙がアンケートを実施した結果が1面に掲載されています。賛成か反対かという質問を投げかければ、おそらくほとんどの市町村が反対と答えるでしょうねえ。
 しかし、記事の中で、『政府や米軍は「PAC3は基地だけでなく、県民の安全も確保する」と説明するが、過半数の十人が「基地の安全を守るもの」と指摘、懐疑的な目を向けた。』と書かれています。
 国はPAC3は県民の安全も確保と本気で考えているとは思えないし、こうしたまやかしを続けることから、国への不信感が助長されます。沖縄戦で、県民の敵は米軍と日本軍でした。こうした背景を分かっているのかどうか、あまりにも無神経な主張だと感じます。
 また、2面では、『元統合幕僚議長・石川亨氏が講演/「パトリオット百発百中でない」』という囲み記事が掲載されています。要はPAC3は完璧でなく、ミサイル・ディフェンスのごく一部でしかないことを国は説明すべきだ、ということです。
 PAC3が迎撃する弾道ミサイルというのは、一度宇宙空間まで打ち上げられ、まさに弾道を描いて目的地に落下してきます。簡単に言うと流れ星を迎撃するようなもので、上空での誘爆は困難をきわめます。
 石川氏は、弾道ミサイルが住民に直接的な脅威を及ぼすと警鐘を鳴らし、地下に国民の避難所や緊急手当てができる場所を確保する必要性などを訴えた、と記事は伝えています。沖縄に核シェルターを作れ、というわけです。ある意味的を射た発言であると思います。
 ただ、嘉手納基地では戦闘機の乗員のための核シェルターがすでに作られている事実を国はどう説明するのでしょうか。

返還即日 陸自管理/東恩納弾薬庫

2006年10月05日 | Weblog
継続使用手続きへ/原状回復措置せず
 跡地利用として陸上自衛隊の小銃射撃場建設が計画されている米軍嘉手納弾薬庫地区内の旧東恩納弾薬庫(沖縄市池原)地区の土地五十八ヘクタールについて、那覇防衛施設局は四日までに、米軍から返還される今月末に即日、自衛隊による継続使用手続きを取る方針を固めた。返還地はフェンスとアスファルトのみで建物などがないことから、通常実施している原状回復や物件撤去は不要と判断。年内にも射撃場建設に着工する。(2006年10月5日沖縄タイムス朝刊1面)

 米軍の接収地が返還されたとたんに、陸上自衛隊が引き続き使用するということです。この記事には2つの問題点が隠されていると思います。

 一つ目は現状復帰の問題です。地位協定により米軍は軍用地の現状復帰の責任を負いません。いままでも、返還された土地が汚染されており、現状復帰に多額の金が掛かっています。基本的に米軍が汚したものは日本政府が肩代わりすることになっています。
 ところが、米軍が汚したかどうか分からないものに対しては政府は責任を持ちません。証拠がなければ地主が費用をかぶるしかないのです。以前北谷の美浜で、返還された土地から大量のドラム缶が見つかり、中にはタールが詰められており一部は地中に染みだしていました。那覇防衛施設局は米軍に投棄の照会を求めたが、米軍からの回答はありません。米軍のものと断定できなければ、その負担は市町村が負うことになります。
 ところが新聞報道により、米軍に従事していた男性が投棄した事実を証言したため、ようやく防衛施設局はドラム缶約190本と汚染土壌約500トンの除去に伴う費用約8,400万円を全額負担することになりました。
 このように、ただせさえ現状復帰費用を出し渋る政府のことです、どれくらいの汚染があるのか分からない状態で現状のまま自衛隊が使用継続することに不安があります。とんでもないものが埋められていた場合、自衛隊が処理してくれるのでしょうか?米軍は返還予定の土地に、不法な廃棄をしてから返すのが常態化しています。本当に現状復帰しなくていいのでしょうか?

 その二は、民有地の地主の問題です。軍用地主は賃料で生活している人も多く居ます。地権者側は「地代が入らなければ生活できない」として自衛隊の継続使用を求めているということです。
 地代のみならず、雇用など基地に頼らざるを得ない経済を政府は作ってきました。基地問題は基地という土地のみの問題ではありません。土地を返したらそれでおしまいというほど単純ではありません。基地経済をどうするのかという問題は避けて通れません。離婚問題だって、別れればそれで解決ではなく、慰謝料や養育費、子供の親権などさまざまな問題があります。そしてそのさまざまな問題を含めて離婚問題なのです。基地問題も、軍用地主や基地雇用など基地経済を解決させなければ、土地を返しておしまいという訳にはいかないのです。

宮古島に陸自新基地 09年度200人配備

2006年10月04日 | Weblog
 中期防衛力整備計画(中期防、2005―09年度)で明記された陸上自衛隊第一混成団(那覇、約2千人)の旅団化(3千―4千人)の一環として、09年度をめどに、宮古島に新たに約200人規模の部隊を配備させ、新たな基地建設も検討していることが3日までに分かった。将来的には600人規模まで増強する見通し。複数の政府関係者が明らかにした。陸上幕僚監部(陸幕)も南西諸島への部隊配備検討を認めた。宮古島市には打診はないが、伊志嶺亮市長は自衛隊増強に反対する姿勢を示しており、今後地元を中心に波紋が広がりそうだ。(2006年10月4日琉球新報朝刊1面)

 今、南西諸島の防空は、那覇空港の航空自衛隊が担当しています。昨今、中国などの航空機が尖閣諸島付近で領空侵犯を繰り返しており、スクランブル発進の回数も多くなっています。
 しかし、那覇から600km以上も離れており、防衛上問題を抱えています。そのために、先島に自衛隊基地を作ることが検討されているわけです。
 昨年、民間のジェットパイロット養成の下地島空港に自衛隊を誘致しようとして、町長と議会が対立し、結局お流れになったことがありました。
 ただ、現実問題として、国防のための自衛隊は先島に必要であると思います。
 いっそ、米軍が尖閣諸島と竹島に米軍基地を作ってくれればいいのですが。

米公文書に「軍命」慶良間・集団自決/発生直後の住民証言

2006年10月03日 | Weblog
関東学院大 林教授発見
 沖縄戦時下の慶良間諸島の「集団自決」をめぐり、米軍が上陸直後にまとめた資料に、日本兵が住民に「集団自決」を命令したことを示す記録があることが、二日までに分かった。関東学院大学の林博史教授が米国立公文書館で発見した。(2006年10月3日沖縄タイムス朝刊1面)

 1面トップ写真入りで、慶良間での集団自決が軍命であったことを示す資料を紹介しています。
 集団自決が軍の命令であったかどうかについては、軍命であったとする本の著者が遺族から裁判を起こされるほど、不明な点が多くありました。それがこの資料では、1945年4月3日の米軍による住民の尋問の中で、「住民らは日本兵が米軍が上陸してきた時は自決せよと命じたと繰り返し語っている」と記述されているというものです。「明らかに、民間人たちはとらわれないために自決するように指導されていた」と記録されている、と記事は紹介しています。
 まあね、具体的に指導したかどうかは正直分かりませんが、
1.徹底した皇民教育
2.生恥じをかくなという精神教育
3.方言を話しただけでもスパイ容疑で処刑するという軍の方針
4.突然見たことも無い米国人の急襲
5.男は殺され、女は凌辱されるという鬼畜米英の思想
 こんなものがセットであったら、そりゃ軍命もくそもない、パニックに陥りますよね。
 軍の指導があったか無かったかと言う無毛な議論に決着を見る資料ではありますが、それより日本政府が集団自決を招いたということは明白なことです。
 しかしながら戦後60年を経過しても尚、集団自決の犠牲者に政府は謝罪していません。中国に謝罪するのに、なぜ琉球に謝罪できないのか、こちらの方が不思議です。 

米パトリオット 装備品、嘉手納に搬入

2006年10月02日 | Weblog
 地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の沖縄配備に向け、米軍は二日未明、那覇市の那覇軍港に陸揚げした装備品を嘉手納基地へ搬送した。同日午前零時半すぎ、機材を積載した軍用トラックが那覇軍港を次々と出発、車列を組んで国道58号を北上した。(2006年10月1日沖縄タイムス朝刊1面)

 タイムス紙の1面トップ写真入りで、パトリオットの装備品を運び出す米軍車両を報道しています。
 これから段階的に年内には配備を終了するということです。負担軽減でなく基地強化だという声を紙面は伝えています。
 しかしながら、以前のコラムでも書いたように、なぜ米軍がパトリオットを配備しなければならないかが言及されていません。重複は避けますが、明らかに米軍は沖縄の基地が弾道弾ミサイルに狙われることを想定しているのです。そして、弾道弾ミサイルに装着されるのは核弾頭以外に考えられません。
 こうした危機感を米軍は持っているから、PAC3を配備しようとしているのです。米軍は沖縄を守りません。基地を守りたいだけです。
 この根底の部分が、どうもうやむやにされています。日本の国土が核ミサイルに狙われているわけです。この本質が語られぬまま、また基地強化が進んでいきます。