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2011年07月12日 23時44分19秒 | 寝る子は育つ

あの子のひとり旅 1  駅


 あなたは何歳の時に初めてひとり旅に出ましたか。
旅といってもいろいろあります。日帰り旅、泊付きの旅。歩いての旅。乗り物に乗っての旅。その乗り物も自転車、車、電車、船といろいろある。用事があっての旅。観光や遊びの旅。さらに自分でプランを組んでの旅。親がすべて準備してくれた旅。

でも中学生以下の子供がひとり旅に出るということは親の許可が必要ですよね。お金もないし、義務教育だし、世間に慣れていないし・・・。
特に女の子の場合は皆無でしょう。いろいろと危ないしね。(最近では男の子も危ないけれどね、変な人がいるから(-_-;)

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 もしかして男の子の場合だったら小学生でもひとり旅に出るということもあるでしょう。ほら、よく夏休みに子供ひとりだけ新幹線に乗せられて、田舎のおばあちゃんのところへ行くケースがあるでしょう。

でもそんな事じゃなく、ほんとうに子供自身が自分でプランを立てて、二泊ぐらいの旅に出たり、自転車で野宿したり・・・。




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もう二〇数年前にもなる。
 私はもう大人だったから別に親の許可もいらないし、自由に旅行ができる身だった。
今のように連休がいくらもなく、数少ない連休を効率よく利用するために前日夜から夜行列車に乗って旅立とうとした時のことだ。向かいのホームに旅支度の少年がひとりぽつんと立っていた。
私は下りホームで九州行きの夜行列車を待っていたが、彼はおそらく上りの夜行列車に乗るつもりなのだろう。
背の高さは小学生くらいだが、おそらく中学生だったかもしれない。野球帽をかぶり、秋とはいえ、もう11月初旬、夜も遅く、寒さの身に染む季節のため薄手のセーターに長ズボン姿だった。暗くて灰色のコンクリートのホームに同化していきそうな地味な色の服装だったが、色白の顔が妙に光っていた。
 背中にリュックを背負って、ホームの白線ぎりぎりに立って列車の来る方向をじっと見つめていた。ホームには数人の大人がいたが親らしい人は見当たらない。




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 上りだからおそらく東京か、横浜ぐらいに行くのだろうが、着いた駅に誰か迎えに来ているのだろうか。それとも列車の中で待ち合わせしているのだろうか。ひとりだったらなんと旅慣れた子供だろうと想像は尽きない。
何しに行くのだろうか。
東京だから全国チェーンの塾の実力テストか、私立学校の入学試験なんかに行くのだろうか。

そんなことを考えているうちに下りの夜行列車が来た。彼の姿がかき消された。私は後ろ髪を引かれる思いで乗ったが、自分の席に着くなり急いで窓から向かいのホームを覗いた。するとどうだ。偶然にも私の座席が彼の真正面にあったのだ。そして、覗いた途端、ガラス越しに彼と目が合ってしまったのだ。線路を挟んでいた時は遠くに見えたが列車の窓からだとごく近くに見えてしまう。
心ならずも思わず目をそらしてしまったが、一瞬見たその顔は今でも忘れていない。睫毛が長く、大きな目をしていたが、笑顔はなかった。思い詰めた様子だったが、その上、私と目があったものだから余計に緊張したようだった。
私は目をそらして、やや一歩下がって、今度は横目で見たが、もう彼は私のほうは見てくれずにまた、列車の来る方角を見ていた。

その夜は二段ベッドの下で寝ることになるのだが、これから楽しいであるはずの旅行が何となく白々しくなってしまった。
旅行先でも彼の幻影を追い続け、同じ年頃の子供を見ると胸が痛かった。
彼は何しに行ったのだろう。あの年頃でなぜ、ひとりで旅をしなければならなくなったのだろう。



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旅の帰り、わずかな期待があった。連休の最終日、彼も帰ってきているはずであった。駅で再び逢うことはないだろうかと。

でもそんな偶然はあろうはずはなかった。



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