くつろぎ日記

ストーリーとセリフに注目したドラマレビューです。

古畑任三郎ファイナル・第1夜 「今、蘇る死」

2006-01-07 17:21:35 | ドラマ

この村のみなさんの多くは、一連の事件を何らかの祟りだと考えていらっしゃいます。しかし、その中でひとりだけ、これが祟りではないと確信している人物がいます。つまり…」
 
「大吉を殺した犯人、というわけですか」
 
「僕も、出来れば古畑さんみたいに考えたいですよ。でもそれじゃ説明が付かないんだよなぁ」




 




  

 
鬼切村――そこは東京の外れにあるが、終戦直後の寒村を思わせる風情が漂っている。物語は、堀部家の当主・堀部伍平の死から始まる…。



鬼切村には、堀部一族が運営するパン工場「堀部パン」がある。ある日、伍平の甥であり、副社長を務める堀部大吉 ( 千葉哲也 )、専務である大吉の弟・堀部音弥 ( 藤原竜也 ) の元に、伍平の死が告げられる。通夜の最中、経営難に苦しむ工場のため、裏山を売ってレジャーランド建設を正式に決定することを音弥に告げる大吉。しかし音弥は、伍平と同様に裏山の開発には強く反対していた。
そんな音弥の元にやってきたのは鬼切村郷土資料館館長・天馬恭介 ( 石坂浩二 ) だった。彼は、堀部兄弟の小学校時代の恩師でもある。裏山の売買に関して相談するふたり。音弥は、村の自然を愛する天馬のため、どんなことをしてでも開発を止めることを誓う。



あくる日、天馬の仕事を手伝っていた音弥は、一冊のノートを見つける。それは、小学校時代に書いた自由研究のノートだった。テーマは「僕の考えた完全犯罪のすべて」。その中には、様々な説明図と完全犯罪の方法が書き連ねてあった。音弥の頭の中で何かが動き始める。そしてその夜、堀部家の二階では大吉が遺体となって発見される――。

 

事件現場検証が始まった。そこへ 1 台のタクシーが到着する。登場するのは、ご存知・古畑任三郎 ( 田村正和 )。この事件には、「これほど完璧な殺人計画を私は知らない」と古畑に言わしめたほど、巧妙なトリックが仕掛けられていた。

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   この第一夜の分は『里見八犬伝・後編』と重なり今日まで延びてしまいました。

 先にイチロー編と松嶋編を見てしまったのですが、でもやはり面白い。

 向島がホテル警備に転職する伏線がはられていてちゃんとつながっていましたね。

 藤原竜也っていつから見てなかったかなぁ・・・記憶を辿っていますがわからん。

 無邪気さと繊細さ、そして脆さ、危うさ、全部、上手かったですね

 天衣無縫の殺人計画を小学6年で思いつくという発想自体が既にずば抜けています。

 

 さて角砂糖の秘密ですね。確かに強いですよね。砂糖の特性と評していましたが

 一方向からの強さには50Kでも耐えられるというのがズキンと来ました。私がのってもぎりぎり耐えそう。

 アルミ缶なんかでも縦の力には強いけれど斜めには弱くて簡単にひねりをいれられるんですよね。

 一見強いものでも弱点も見抜けるという多面的な見方ができる古畑の頭脳に掛けているのでしょうか。

 角砂糖も濡れると簡単に崩れてしまうので、もろいというイメージがあります。

 そういう盲点をついた形でした。よく思いついたものです。

 しかし、これもつまるところ天馬の誘導で殺人計画を思いついたということですね。

 緻密に実験を重ねてノートに記すなど音弥は子供なのに素晴らしい。

 ただこの計画を実行に移すつもりはなかったはずなのにこれも巧妙に誘導されて、

 結局は殺人を犯すことになってしまったというところに音弥の悲劇があるということでしょう。

 

 しかしどうしても私には理解できないのですが、それほど天馬を慕い、その通りに動いてしまうほどの

 何があったのだろうかということです。

 レジャーランドを作る計画に対して、発作的殺人の隠蔽のために天馬としては決して掘り返されては

 ならなかったのですから当然ですし、表向きは遺跡や自然保護になってるとしてもその心理は考えられ

 るのですが、では音弥が反対する理由はただ恩師を慕っていたという一点のみなのでしょうか? 

 子供の時に殺人計画の自由研究をやってのける音弥です。教師として、その方向には指導の余地が

 あったはず。しかし、PTAが騒いだとしても天馬が注意したという部分がなかったように思います。

 自分を諌める立場の天馬が逆に認めてくれたと錯覚し、無条件に信奉する方向に行ったとしたら

 どうでしょうか。天馬の言う事は無条件に受け入れてしまうとなりませんか?特に人の意見に左右され

 やすい音弥の性格を把握していた天馬ならではの誘導が効いていたと。そして、鎧を移動し、雪と天が

 味方しました。まさに巧妙ですね。古畑をして「これほど完璧な殺人計画を私は知らない」と言わしめた。

 この悲劇は音弥は天馬を慕っているのに天馬は音弥を利用するだけだったということに尽きます。

 師弟愛など死語となりそうな昨今、それを逆に踏みにじった形で描いた脚本でもあります。

 
 天馬を追い詰める時の古畑も先に自白を導き出し、巧妙です。そう完璧殺人と称している証拠もない

 事件ですから、まずそちらから追い詰める、そして過去の殺人を蒸し返しこちらは証拠がたっぷりと

 残っているわけです。古畑の頭脳にまたもや脱帽です。石坂の貫禄にも二人の対決にも年季があり

 見ものでした。このシリーズ全部そうですが、追い詰められ犯人となったどの方も悪あがきをせず

 その有終の美を飾っています。これも、三谷脚本の美学なのでしょうね。

 ただ“3万年前のヤリ”を残したかった。これだけは天馬の真実の声でしょう。

 ふと物悲しく響きます。


 この回の今泉は3夜のうちで一番楽しめました。お祓いの今泉の姿には爆笑しました。

 気味の悪い水をなめさせられて、甘いなどと言うあたり気の毒。事件の陰には大きな力があると

 叫ぶところで、もしかしたらと期待させられ、それが祟りだとなった暁にはがっくりと腰が抜けました。

 やはり愛すべき今泉健在と思いました。これで本当に終わりなのか、どの方も半信半疑で書いて

 いらっしゃるのがおかしいです。それほど親しまれている古畑任三郎でした。

        ・・・・・「パート巡査・古畑」など期待しましょうか・・・・・。



16 コメント

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Unknown (ミルクレモンティー)
2006-01-07 18:53:44
TBありがとうございました。こちらもTBさせていただきまいたが、ちょ~と内容が古いかも・・・。そのへんは勘弁してくださ~い。ではでは、また来ますね。
ミルクレモンティーさん♪ (かりん)
2006-01-07 20:06:04
こんばんは。

TB&コメントありがとうございます。

順番が狂ったので勝手が違ったかもしれませんね。

私はストーリーはこの回が一番良かったと思います。

またお邪魔しますね。
ストーリー良かったです! (Maki)
2006-01-07 23:24:54
かりんさん、こんばんは!

この回はストーリーが良く出来てましたよね!

今までに古畑さえも操ってしまうような犯人っていなかったですし、新しい試みをファイナルにもってきた三谷さんの挑戦に拍手

TBさせて頂きますね♪
1夜が一番 (excel2000)
2006-01-08 02:13:24
私はこの話がいちばん良かったと思いました。3回の中で一番意表を突かれたストーリーでした。藤原竜也が犯人で解決、と思ってずっと見ていたので死んだときは「ああ、容疑者死亡で送検か。初めてのパターンだな」なんて思ったんですが結末はほんとうにびっくりしました。



2話3話もよかったのですが、2話はイチローを美化しすぎじゃないか、とかSMAPのときと同じでこんな被害者なら殺しても良いだろう的な描写がひどすぎないかと感じました。



3話は妹が姉を殺すんだろうと思ってみていたら逆だったので斬新だなとは思ったものの、その後の進行がすこしたるんでいたように感じました。
Unknown (mari)
2006-01-08 06:56:01
1話だけ見逃したんです。裏番組見てて(泣)

皆さんが1話が一番と仰るから余計悲しい。

チャンスがあったら絶対観ます!
Makiさん♪ (かりん)
2006-01-08 08:33:10
おおっ!Makiさんも記事をUPされたのですか。



このシリーズがお正月の定番となった現在、古畑終了と同時にお正月も終了ですね。(笑)

私もストーリーは1夜が一番よかったです。



>古畑さえも操ってしまうような犯人・・

随所随所でいかにも音弥が犯人と語っていましたもんね。すっかり洗脳されてしまいますよね。



あとで伺いますね。TB来てないですよ・・・
excel2000さま♪ (かりん)
2006-01-08 08:50:02
やはりこの回が一番でしたか。私も同じです。

ゲストの豪華さで視聴率が左右されていますがこの回の裏に里見八犬伝があったので、私もですがそちらから見た人も多いのですよね。



>ああ、容疑者死亡で送検か・・・

そうですよね。無邪気な顔をしてノートの通り実行する音弥が今時の若者をうまく演じていましたし、これで終わりのようでした。しかしゲストは犯人という鉄則ですし二人でしたから共犯かなとも思いました。



2話イチロー編はイチローだけで十分楽しめるようになっていたのでは。あの天井にボールを投げるシーンなどどこにも作為がないでしょう。視聴者を楽しませてくれたのでしょうね。殺されても仕方ない被害者ってこういうヒーローものでは定番でしょうか(笑)



松嶋編は私も同じくかえでがもみじを殺したのだと思っていました。行動力からいったらその方が自然ですものね。でも得する方を疑う捜査の鉄則からしたら逆ですもんね。詰めの甘さが目立っていましたね。男性の脚本だからかしら?ちょっと違和感でした。



excelさまからドラマのコメントいただけるって嬉しいです。これからもよろしくです。
mariさん♪ (かりん)
2006-01-08 08:56:57
そうですよね。私も里見八犬伝をそのときは見ました。

重なるとどっちを選ぶか迷います。そして録画した方が撮れてなかった的アクシデントが多いのもよく聞きます(笑)私もそのパターンが多いです。



きっと再放送がありますよ。私も気付いたらコメントに行きますね。
古畑コンプリート (excel2000)
2006-01-08 19:59:17
私が古畑に興味を持ったのは本放送が終わってからでしたがビデオを借りたり再放送を見たりしてコンプリートしてしまいました。最近のDVDレコーダーはキーワードを入れておくと気づかないうちに録画してくれるみたいですね。と、言いつつその機能を使ったことはありません(笑)



話は変わりますが、田村正和つながりで、「さよなら小津先生」の続編が見たい

http://www.fujitv.co.jp/jp/b_hp/ozu/
excel2000さま♪ (かりん)
2006-01-08 23:53:42
コンプリートってどういうことですか。

古畑の出演ドラマを全部集めて編集したのでしょうか。

なんだかマニアみたいですね。といいますか古畑に関してはマニアが多いのですよね。〔笑)

DVDもHDDも機能がたくさんあるのですが私も全く使いこなせてないです。古典的です。VHSが一番安心できます(笑)

さよなら小津先生のドラマは見たことないですが今HPに飛んでみてなかなか面白そうだと思いました。

5年前で51歳の役ですね。田村正和なら違和感なくやれたでしょうね。

古畑も終わったことだし続編あるかもしれませんね。

私はこの本編を見たいです。

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