休み明けで出勤すると、
きのう店長のお知り合いからお手紙をお預かりしましたよ、とスタッフ。
受け取ると、差出人は知らない人。
読んだ。
びっくりした。
私のこの日記を、四年間に渡って読んでいてくれた方だった。
ここは私の、活字のエスキース帳のようなもので、誰かを楽しませるつもりで書いたことなんかなかったから、すごくびっくりした。
高校生だった彼女がたまたま私の日記を見つけ、二十歳の誕生日に、私の店に来てくれたのだ。
ここからは、彼女、尚子ちゃんへのお返事。
読んでくれるだろうか。
私の日記から離れること、今までの感謝を綴ってくれた手紙だったから。
どうか届きますように。
尚子ちゃん、
お手紙ありがとう。
綺麗な字でした。ご本人も綺麗な方だったとスタッフから聞きました。
「凄い。」と思いました。
「スゴイ!」ではなく、「凄い。」と。
涙が出ました。
この四年間は、日本画と、料理と、お酒と、音楽と、それから、石黒くんでいっぱいでした。
それを遠くで、一緒に笑ったり泣いたりしてくれている人がいたなんて。
奇跡だ。
浮かれたバカ女だった日も、ノイローゼだった日も、ヒステリックだった日も、尚子ちゃんは見ていてくれたんだね。
丁寧に丁寧に読んでいてくれたことが、ぎゅって、伝わりました。
たくさん知ってくれていたことを、気持ち悪いだなんて思わない。
ネットに書き込んでいる時点で、情報を世界に発信してしまっているわけで、
ただ、空気の読めない人間が、閉じる前の私のブログを見つけて飲み会のネタにして、下品に笑ったので、こちらに引っ越してしまったけれど。
大切な日に大切な人と、私の店にきてくれてありがとう。
まだ未熟だけど、私の城です。
この日を、大事に大事に胸に置いておいてくれて本当にありがとう。
一生忘れない日になった。
「この人と結婚するだろうなあ、根拠はないけれど。」という気持ちは、それだけでもう、無敵の呪文です。
きっと何もかも大丈夫なんでしょう。この先も。
いくら好きでも、美術と生きていくことは楽しいことばっかりじゃない。
なんて言う人もいるでしょうが、
楽しいことばっかりなので大丈夫です。
絵描きの道から私はドロップアウトしてしまったけど、今も絵といっしょに生きてます。
ラクなことなんてひとつもないけど、間違いなく、楽しいことばっかりです。
尚子ちゃんが、私の四年間に、全然知りもしなかった角度から光を照らしてくれました。
本当に嬉しかった。
本当に嬉しかったのです。
またお店に来て欲しいです。ぜひ、恋人もいっしょに。
そして私も、尚子ちゃんの作品を見たい。
二十歳、おめでとう。
尚子ちゃんのこれからの毎日が、よりいっそう、美しいものであふれますように。
私はここから祈っています。
絶対に忘れません。神様に感謝したくなる出会いです。
本当にありがとう。
一生懸命手紙を書いてくれたこと、ドキドキしながらホームのドアを開けてくれたこと。
本当にありがとう。