特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

素人が正しいのか、玄人が正しいのか

2023-02-10 01:26:54 | 日記

閑話休題、まあその程度の話ですが特殊相対論についてのいろいろな事。

素人の素直な疑問とそれに答える自称専門家(?)、大学の先生、あるいはしったかの人たち。

ネットを見ていますとこれについては本当に「素人が正しいのか、玄人が正しいのか」というテーマの設定が可能であります。

いや本当に多彩であります。

そうであれば「こんな状況でしたよねえ、あの当時」というのを記録しておくのも一興であります。

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相対性理論「時間の遅れはおたがいさま」「同時」理屈:square_pants さん2014/07/19

https://archive.ph/XPLQ4

https://qa.oshiete.goo.ne.jp/qa/view/8684873?page=2&sort=3

ここでの質問者の疑問は

『概要
光速に近い速度で移動してる宇宙船の中から静止している小惑星にある時計を観測した場合、
遅れて見える。
逆に静止している小惑星から移動してる宇宙船の中の時計をみると遅れて見える。


↑これが分からない理由は、 宇宙船が小惑星におりた場合、
宇宙船側は 「君の時計が遅れている」 と言い
小惑星側も 「いや君の時計の時計が遅れている」
という矛盾にならないか?という事です。』

に集約されています。

まあもちろん当方の立場と言えば「相手の時間が遅れている、と観測できる為にはこちらの時間は相手に対して進んでいる必要がある」というものですから、square_pants さんの疑問に対しては大いに賛同できるのです。

まあしかしながらその疑問に対するuen_sap さんの回答は、といえば

『これは考える問題ではありません。
古典力学は不変、不動の枠組として、空間と時間がありました。
ある時刻は全宇宙共通の時刻として、組み立てられている力学体系です。

それをアインスタインがどう測定しても光速が変わらない、と言う実結果を基準にして、組み立てた力学体系が相対論です。
ここでは、空間と時間は不動の枠組みではありません。不動なのは光速。
その結果として、時間の遅れはお互いさまとなるのです。・・・』

とバッサリ、「考える問題ではない」=「考えてはいけない」のだそうです。

さてこの回答というものは本当にご愁傷様なものでありますねえ、square_pants さんにとっては。

そうして特殊相対論についての素人、あるいは初学者の疑問とそれに答える専門家の方々の答え方の典型的な一つのパターンがここにある(=この様である)と見る事ができます。


ちなみに「考えてはいけない」というのでは「それは教義」であります

それでは物理学は宗教と同レベルのものになってしまいます。

そうして少なくとも当方の物理学では「考えてはいけないもの」という事は存在してはいません。(注1)


注1:当然、「物理学の対象となる物理現象に対しては」という前提条件がつきます。

そうしてまた「考えても答えが見つかる保証はない」という事も認めております。

しかしながら「考えてはいけない」という事柄は認めておりません。

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追伸
特殊相対性理論入門
立川 崇之
公開用 第 1 版
2012.8
http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~tatekawa.takayuki/Note/SRelativity-v1.pdf


3.7 特殊相対性理論のパラドックス
3.7.1 時計のパラドックス
によれば

『・・・確かにロケットに積まれた時計は,ロケットの外に置かれた時計よりも進み方が遅くなる.ところが相対性原理を考えると,特別な慣性系は存在しないはずである.
つまり,ロケットに乗っている人から見たら,外に置かれた時計の方が速く動いているという事になり,ロケットの外に置かれた時計の方が進みが遅いのではないだろうかという訳である.
この問題は 時計のパラドックス と呼ばれている.果たしてどちらが正しいのだろうか.・・・』

と問題設定され、検討が続きます。

そうしてその結果は
『結論をいうと,「ロケットの外にいる人,ロケットの中にいる人のどちらからでも相手の時計を見ると,進み方が遅くなっている.」という訳である.』
と宣言されています。

さて、この立川さんの結論は本当に正しいのでしょうか?

ちなみにこの立川宣言を確認できる実験結果は今のところは報告されていません。

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追伸の2
ランダウ、リフシッツ著「場の古典論(増訂新版)」東京図書(1964年刊)1章§3“固有時間”(p9~11)
http://fnorio.com/0160special_theory_of_relativity/Landau_Lifshitz_classical_field_1-7/Landau_Lifshitz_classical_field_1-7.html#01-003


§3 固有時間
での議論

「K系とK'系が相対運動している時には、お互いが相手の時計が遅れている事を確認する」と書かれてあります。

さてあのランダウとリフシッツさえもその様に言うとは!

ま、もっともおおもとのアインシュタインがそう言っている模様ですから、無理もありませんか。

しかしながらここでもこのランダウとリフシッツの宣言を確認できる実験結果は今のところは報告されていないのであります。


そうして、どう考えてみても当方には「100年以上にわたって続く物理学者たちの心理的な思い込み」それを養老孟子さんは「バカの壁」と表現しましたが「そういう心理的な罠に自分から落ち込んでいる」としか思えないのであります。

そうしてまたそれはちょうど「天から石が降ってくることなどありえない」として隕石の存在を認めなかった、かつての科学者と言われる人たちの態度と同じように見えます。

ちなみにガリレオはこういっています。

『ガリレオはその後『天文対話』という書物を書いて、1632年に出版します。
この書物は、三人の登場人物が地動説と天動説のちがいなどについて話し合う、一般の人々にも読みやすいストーリーで書かれています。

ガリレオは、登場人物の一人にこのようなセリフを語らせています。

「他の人の話を一方的に信じてしまって、なぜ君は自分で観察しなかったのですか?
なぜ自分自身の目で見なかったのですか?」

ガリレオは、この書物を通して、自分の眼でものを見て、自分の頭で考えることが一番大切であることを、人々に伝えたかったのでしょう。

たとえ、どんなに立派な望遠鏡があっても、真実を知ろうとする心がなかったら、それはただのレンズと筒の組み合わせにすぎないのですから。』


https://global.canon/ja/technology/kids/history/03_galileo_galilei.html

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.md/AKF78

 

 


その7・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

2023-02-07 05:52:33 | 日記

参考資料 : http://www2.physics.umd.edu/~yakovenk/teaching/Lorentz.pdf

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ここでいままでやった事を振り返っておきます。

スタートラインはこの式からでした。

(2)式・・・x’ = Ax + Bt,
(3)式・・・t’ = Cx + Dt,

そうして(2)式は参照フレームO'の原点の移動を考えると

x'= A(x − vt)・・・(5)式

となるのでした。(注1

ここまでは EMAN物理 :ローレンツ変換の求め方 : https://archive.ph/Evswb :ほぼと同じです。

そうしてここからアインシュタイン流の「光速不変を使うやり方=ローレンツ変換のみを目指す方法=特殊解としてのローレンツ変換を求めるもの」とL.A.Parsさんに代表される「一般解としての2つの慣性系の間の変換を求めるやり方」と、二筋に道が分かれます。(注2

それでこの後はアインシュタイン流は「光速不変」を使って計算は一本道で進んでいく様です。

他方で一般解を求めるやり方では

・運動の相対性
・変換が群をなす

という2つの前提を使います。

それでどーやら「・変換が群をなす」という前提を使うのが「光速不変を使わないやり方のポイント」という事である様です。

他方で「・運動の相対性」については「光速不変を使うやり方」においても明示的、あるいは暗示的に使っている様に見えます。(使っている場合もあります、、、程度か。)



それで「・変換が群をなす」というのは速度V1で一度変換をしてその結果を速度V2でもう一度変換をする。

そうやって得られた結果は速度V3で変換した結果と同一になる、という事を示しています。(注3

そうであれば 変換(速度V:x ,t )=(x' ,t' )について

変換(速度V3:x ,t )=変換(速度V2 :x' ,t' ) 

=変換(速度V2 :(変換(速度V1:x ,t )))

=(x'' ,t'' ) が成立

従って

変換(速度V3 )=変換(速度V2 (変換(速度V1)))・・・①式

という関係が成立している事になります。

それでこの①式を使う、と言うものです。

ちなみに速度V3はそれぞれの変換様式に従った速度の合成則によって

V3=変換速度合成則(V1,V2)

で求められることになります。

そうであれば「変換が群をなす」ということは「それぞれの変換様式に対応した速度の合成則が存在する」という事と同義となります。



「・運動の相対性」というのはO系から見るとO'系は速度VでプラスX方向に運動しているとなるが、O'系から見ればO系は速度ーVとなり、従ってマイナスX方向に運動している事になる、と言うものです。(注4

これに関連して変換がらみでは

速度Vで変換してその結果を速度ーVで変換すると元に戻る、という事になります。

つまり

変換(速度ーV(変換(速度V:x ,t ))=(x ,t )

=何も変わらない

=恒等変換になる・・・②式

という事になります。

それで②式を使うのです。



以上の2つの前提を使うと「光速不変を使わなくともローレンツ変換がでてくる」、そうして「ガリレイ変換」と「時空内でのユークリッド変換」という「残りの2つの変換も出てくる」という事になるのでありました。



注1:ここまでの導出については「その2・ ローレンツ変換を調べてみた・相対論」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=28739 :および 光速不変を使わないローレンツ変換の導出:を参照願います。

注2:1921年 L.A.Pars, Philos.Mag. 43,249(1921) : https://www-tandfonline-com.translate.goog/doi/abs/10.1080/14786442108633759?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

このあたりの年代を始めとしている様です。詳細については「その3・ローレンツ変換の導出とその歴史的経緯・相対論」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=29088 :を参照願います。

3:ビクターさんの資料では明確になっていない事、それは相対速度Vについての定義でした。

そうしてこれはアインシュタインが定義したように「自分が持っている時計と物差しを基準として相手の速度を観測する」と言う事がビクターさんのお話でも前提条件になっているととらえてよさそうです。

ちなみにこの相対速度Vについては特殊相対論が成立している世界ではレーダーによる相手の速度の測定(=光を使った速度の測定)結果と同じものとなります。

特に「・変換が群をなす」の所ででてくるV2についてはV1で移動している観測者が測定対象の2をレーダーで観測した場合に得られる相対速度がV2である事に注意が必要です。

同様にしてV1とV3はもう一人の観測者(=自分は静止していると自認している観測者)がレーダーをつかって測定対象の1の速度(=V1 )と測定対象の2の速度(=V3 )を測定した結果得られた測定値となります。

それでこの件、内容詳細については光速の測定と光速を使った測定:を参照願います。

注4:この「速度Vは相手から見れば速度ーV」という話、ガリレイ変換の世界に住む我々の日常感覚では「自明な事」と思われますが、特殊相対論の内容を知っている状況ではそれほど「自明な事である」とも言い切れません。

何となればあいてはこちらとは違う時間の進み方(=違う時計)、そうして長さの違う物差しを持っている事を知ってしまっているからです。

さてそのような状況で本当に「速度Vは相手から見れば速度ーV」と言い切れるのでしょうか?

このあたり、もう少し調べてみる必要がありそうです。


PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.md/KUG9M

 


その6・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

2023-02-04 03:07:09 | 日記

参考資料 : http://www2.physics.umd.edu/~yakovenk/teaching/Lorentz.pdf

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これで仕上げ、最後のセクションです。

『6)式を代入します。 (23)式に (16)と(17)で、最も一般的な変換の最終的な式を見つけます
x'=(x − vt)/ sqrt(1 + v ^ 2 / a)、

t' =(xv / a + t)/ sqrt(1 + v ^ 2 / a)、(24)


またはマトリックス形式
(25)・・・(訳注:pdfを参照の事)

式 (24)と(25)には、速度の2乗の次元を持つ1つの基本的なパラメーターaがあります。

(訳注:分子に速度の2乗があるので a はそれと釣り合っている必要があります。従って a は速度の2乗の次元を持つ必要があります。そうしないと(24)式での左辺と右辺との間のディメンションに不整合がおこります。)


それで a <0 の場合、次のように記述できます。
a = −c ^ 2 (26)

それで式(24)と(25)が標準のローレンツ変換になります。
x'=(x − vt)/ sqrt(1 − v ^ 2 / c ^ 2)、

t' =(− xv / c ^ 2 + t)/ sqrt(1 − v ^ 2 / c ^ 2)、 ( 27)

またはマトリックス形式
(28)・・・(訳注:pdfを参照の事)』

これでローレンツ変換の導出は完了です。



これに続いてビクターさんは以下の様に説明します。

『(27)式から確認するのは簡単です。 つまり、粒子が1つの参照フレームで速度Cで移動する場合、他の参照フレームでも同じ速度 C で移動します。つまり、x = ctの場合、x'=ct'です。
したがって、パラメータ C は不変の速度です。

マクスウェルの方程式と電磁波について知っていると、このパラメータを光の速度と特定できます。(注1)

ローレンツ変換(27)および(28)が時空間間隔

(ct')^ 2 −(x')^ 2 =(ct)^ 2 − x ^ 2  (29)

を保存していることを確認するのは簡単です。
したがって、ミンコウスキーメトリック(=ミンコウスキー計量)があります。(訳注:ミンコフスキー時空を作る、と言ってます。)



a =∞の場合、式(24)と(25)は、非相対論的なガリレイ変換を生成します。
x'= x − vt、 t' = t、

またはマトリックス形式で
(30)・・・(訳注:pdfを参照の事)

(訳注:ちなみにガリレイ変換の場合、保存されるのは時空の時刻座標の値 t です。)



そうして a> 0の場合、a=σ^2と書くことができます。
それで式 (24)と(25)は、ユークリッドの時空間を記述し、時空間の距離を保存します。
(x')^ 2 +(σt')^ 2 = x ^ 2 +(σt)^ 2

(訳注:時間軸まで含めてこの変換の場合は”ユークリッドの距離”が保存されます。したがって名前はユークリッド変換となっている模様です。注2)』



さて以上の様にして驚くべきことに「光速不変を使わずにローレンツ変換が出てくる」という事になります。

おまけにガリレイ変換までこの流れで出てきます。

そうして興味深い事に「よく分かっていない時空を対象としたユークリッド変換まで」出てきます。

まあこのユークリッド変換の事は後日にまた検討するとして、当初目的の「光速不変を使わないローレンツ変換の導出」は以上となります。

お疲れ様でした、ビクターさん。



注1:あったかもしれないもう一つの地球の歴史では、我々が暮らす宇宙の中の2つの慣性系の間をつなぐ3つの変換様式が一般解として求められる事が先行して起こり、そうして実際の宇宙がその3つの変換様式の内のどれに当てはまっているのかがMMの干渉計の実験で確かめられ、決定された、という順番になっていた可能性があります。

注2:ういき「ピタゴラスの定理」: https://archive.ph/yMqF4 :より

『例えば、直交座標系において原点と任意の点を結ぶ線分の長さは、ピタゴラスの定理に従って、その点の座標成分を2乗したものの総和の平方根として表すことができる[注 1]。このことは2次元の座標系に限らず、3次元の系やより大きな次元の系についても成り立つ。この事実から、ピタゴラスの定理を用いて任意の2点の間の距離を測ることができる。このようにして導入される距離はユークリッド距離と呼ばれる。』

但し通常「ユークリッド変換」と呼ばれるものは「空間軸のみで構成される空間内での変換について語られている」のであって、ここで登場する様な「時空の中でのユークリッド変換」については今までは考察される事はありませんでした。

ちなみに「通常のユークリッド変換と呼ばれるもの」については: 「ユークリッドの運動群」: https://archive.ph/0jVdE :を参照願います。



追記:いままで明示的に、あるいは暗示的に述べてきた事に示されている当方の世界観というものは「基準慣性系のある特殊相対論」という宣言に集約されます。

そうしてそこでは「光速不変という実験事実」は「光速不変の原理」ではなく、「時空の特性としての変換様式がローレンツ変換であった、という事実が先行しそれに起因する結果として表れる」という扱いになります。

つまり端的に言えば「ローレンツ変換が原因で光速不変が結果である」という事になります。

そうしてこの様な立ち位置を可能にしているのがここまで紹介してきた「変換は群をなす」という考え方に従ったローレンツ変換の導出方法の存在である、という事になります。

それにしても「この様な導出方法があった」というのはここにきて知る事になったのですが、それはちょうど「欠けていた最後のワンピースがここにあった」とでもいう様な状況です。



追記の2:時空内でのユークリッド変換は我々が暮らす現実の宇宙に今の所対応するものが見つかりません。

しかしながらどこかで「時空内でのユークリッド変換」が有効である、我々の宇宙とは連絡がない他の宇宙が存在しているのかもしれません。

そうであればその世界では「時空内でのユークリッド変換が有効であるもう一つの特殊相対論が成立している」という事になります。

あるいは次のように言いかえる事も出来ます。

なぜ我々の宇宙はユークリッド変換ではなくローレンツ変換を選択したのか?

まあそういう問いかけになります。

 

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.md/Ir0CM

 

 


その5・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

2023-02-01 05:33:33 | 日記

参考資料 : http://www2.physics.umd.edu/~yakovenk/teaching/Lorentz.pdf

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次のセクションに移ります。

『5)ローレンツ変換を参照フレームOからO'に、次にO'からOに戻しましょう。
最初の変換は速度vで実行され、2番目の変換は速度-vで実行されます。
方程式は(10)および(11)の方程式に似ています。
x =γ(−v)(x'+ v t')、   x'=γ(v)(x − v t)
t =γ(-v)(-x'v / a + t')、  t'=γ(v)(x v / a + t)、  (18)

またはマトリックス形式で
(19)・・・(訳注:pdfを参照の事)

(18)の最初の式の x'と t'を2番目の式に代入すると、次のようになります。
x =γ(−v)γ(v)(1 + v ^ 2 / a)x 、
t =γ(−v)γ(v)(1 + v ^ 2 / a)t 、(20)

またはマトリックス形式で
(21)・・・(訳注:pdfを参照の事)

式(20)と(21)は、すべてのxとtに対して有効である必要があるため、
γ(−v)γ(v)= 1 /(1 + v ^ 2 / a)、(22)

空間対称性のため、関数 γ(v) は速度 v の絶対値のみに依存する必要があり、その方向には依存しないため、γ(-v)=γ(v)になります。
したがって、
γ(v)= 1 / sqrt(1 + v ^ 2 / a)、(23)』

::------------------::

まずは『5)ローレンツ変換を参照フレームOからO'に、次にO'からOに戻しましょう。
最初の変換は速度vで実行され、2番目の変換は速度-vで実行されます。』の所です。

ここは先取りすればローレンツ変換とその逆変換の事を言っています。

そうしてそれは単に変換式に現れる相対速度vの符号を変えればそれでよい、と言っていますね。

実際、ローレンツ変換では確認してみるとそうなっていますので「そうだねえ」となりますが、一般的にそれが成り立つのかどうかはいまいち不明です。

それでこの件は(注1)でコメントしておきます。

さてここでビクターさん、(18)で式を並べる順序を間違えて逆にしています。

そうであれば「(18)の最初の式の x'と t'を2番目の式に代入すると」は

「(18)の2番目の式の x'と t'を最初の式に代入すると」と読まねばなりません。

そうすると

x =γ(−v)(x'+ v t')=γ(−v)(γ(v)(x − v t)+ v γ(v)(x v / a + t))

=γ(−v)γ(v)[ (x − v t)+ v (x v / a + t)]

=γ(−v)γ(v)[ x − v t + (v^2) x/a + v t]

=γ(−v)γ(v)( x+ (v^2) x/a )

=γ(−v)γ(v)(1 + (v ^ 2) / a)x ・・・①式

t =γ(-v)(-x'v / a + t')=γ(-v)(-(γ(v)(x − v t)v / a + γ(v)(x v / a + t))

=γ(-v)γ(v)[ -((x − v t)v / a +(x v / a + t)]

=γ(-v)γ(v)[ -x v / a + (v^2) t/a + x v / a + t ]

=γ(-v)γ(v)( t + (v^2) t/a )

=γ(−v)γ(v)(1 + (v ^ 2) / a)t ・・・②式

はい、①式と②式は(20)になりました。

従って

γ(−v)γ(v)= 1 /(1 + v ^ 2 / a)、(22)

である事になります。

ここで

『空間対称性のため、関数 γ(v) は速度 v の絶対値のみに依存する必要があり、その方向には依存しないため、γ(-v)=γ(v)になります。』については

「空間は一様、等方である」を前提としていますのでそれはまた「この3次元空間は対称である」という事になります。

しかも「等方」ですから「任意に3つの座標軸を決めてもそのプラス方向とマイナス方向は対称である」という事になります。

さてそのような空間で関数 γ(v) を考えた時にその値がvとーvで違っていた、とすると「空間の対称性がない」という事になります。

というのもγ(-v)と見えているものもその空間で単にO系のX軸座標を180度回転させた場合はγ(v)になってしまうからであります。

そうであればγ(-v)=γ(v)とする事になるのです。

従って

γ(−v)γ(v)=γ(v)*γ(v)= 1 /(1 + v ^ 2 / a)

それでめでたく

γ(v)= 1 / sqrt(1 + v ^ 2 / a)、(23)

となります。(注2)

::-------------------::



注1:2つの慣性系のあいだでの変換を考えた時に、O系からO'系へは速度Vで変換した、それはO'系から見れば速度ーVで変換されたO系の時空の点が移ってきた事になります。

変換の主体がO系である時にはそれを「変換」と呼びますがそれはO'系から見れば「逆変換」です。

あるいはO'系にしてみれば「速度ーVで行われた変換」とも言えます。

O系で起こっているイベントをO系に対して相対速度Vで移動しているO'系からみるとどう見えるのか、を表現したものが「変換の結果」です。

この「変換の結果」を元に戻すにはどうしたら良いか?

O'系の相対速度Vをゼロにすればよい、のです。

そうすればO系=O'系となり、2つの慣性系は一つになって、見分けがつきません。

そうして相対速度Vをゼロにする為には

0=V+(-V)=V-V

を使えばよい。

そうであればO'系に変換されてきた事象の点データを今度はーVでO系に変換してやればよい、そうすれば事象の点データは元に戻ります。

従って

速度Vで変換ー>速度Vで逆変換 で元にもどるのですがこれは実は

速度Vで変換ー>速度ーVで変換 の事であり、この関係は一般的に「2つの慣性系の間をつなぐ変換式で成立している」と見る事ができます。

ちなみにこの変換と逆変換の関係については「ローレンツ変換とローレンツ逆変換・相対論」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=29050 :においても検討していますのでご参考までに。


注2:ここで「γ(v)= ー1 / sqrt(1 + v ^ 2 / a)という解はどこに行ったのか?」についてですが、γ(v)のマイナス解をとりますと常にγ(v)<0となってしまいます。

それで(18)を見るならば x'=γ(v)(x − v t) であって、つまりO'系の原点の移動速度がVである時にはO系の原点位置はO'系で見るならばγ(v)*(− v t )に写像される、と言っています。

(− v t )<0ですからγ(v)>0ならば γ(v)*(− v t )<0となり「常識的な動き」となります。

しかし γ(v)<0を選びますとγ(v)*(− v t )>0となり、これでは理屈にあいません。

従って「γ(v)= ー1 / sqrt(1 + v ^ 2 / a)という解は却下される」という事になります。



PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.md/ZVks1