特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その2・ ローレンツ変換の導出とその歴史的経緯

2023-01-14 05:14:27 | 日記

さてローレンツ変換の導出についての歴史的な事実をならべて年表を作って見ましょう。

1887年 MMの干渉計の実験結果の発表:アルバート・マイケルソンとエドワード・モーリーによって行なわれた光速に対する地球の速さの比 (β = v/c) の二乗 β^2 を検出することを目的とした実験(注1

1889年 ジョージ・フィッツジェラルド(1889) ローレンツ短縮仮説

1892年 ヘンドリック・ローレンツ(1892) ローレンツ短縮仮説

ローレンツ短縮仮説は、マイケルソン・モーリーの実験の否定的な結果を説明し、静止エーテルの仮説を救うためのもの。

1897年 アイルランドのジョセフ・ラーモア(1897年)全ての力が電磁気的な起源を持つと考えられるモデルを開発

1899年 オランダのヘンドリック・ローレンツ(1899年)

1900年 ローレンツはこの変換がマクスウェル方程式を不変な形で変換することを、1900年に発見

1904年 『ローレンツ変換は1904年に初めて発表されたが、当時これらの方程式は不完全であった。<--フランスの数学者アンリ・ポアンカレが、ローレンツの方程式を、今日知られている整合性の取れた 4 つの方程式に修正した。』(修正はアインシュタインの特殊相対論の発表より前に行われた模様。)

1905年 アインシュタインの1905年の特殊相対性理論の最初の発表

      『1905年のアインシュタインの特殊相対性理論の最初の提示に続いて、多くの異なる仮定のセットがさまざまな代替の導出で提案されました。』(注2

たとえば

1906年、ポアンカレ 『6月の論文(いわゆる「パレルモ論文」、7月23日受領、12月14日印刷、1906年1月発行)の大幅な拡張作業を終了しました。

彼は文字通り「相対性理論の仮定」について話しました。彼は、変換が最小作用の原理の結果であることを示し、ポアンカレ応力の特性を開発しました。彼は、ローレンツ群と呼ばれる変換のグループ特性をより詳細に示し、その組み合わせを示しました。x ^ 2 + y ^ 2 + z ^ 2-c ^ 2*t ^ 2は不変です。(注:ローレンツ変換での不変量についてはポアンカレが最初に指摘した模様)』:ういき「特殊相対論の歴史」: https://archive.ph/xhfqD :から引用

『このように,かなり一般的な幾何学的仮定と変換群の要請のみで, ローレンツ変換則と同形の疑似ローレンツ変換則が導かれる.その際の鍵は変換が群をつくるということである.このことをいち早く指摘したのはポアンカレであった.』(注3

1907年 ミンコフスキー 11月5日にゲッチンゲンの数学会で行った講演「相対性原理」。この中でローレンツ変換での不変量について語る。(注4

1921年 L.A.Pars, Philos.Mag. 43,249(1921) : https://www-tandfonline-com.translate.goog/doi/abs/10.1080/14786442108633759?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

・・・

1964年 『1964年の論文で、[2] Erik Christopher Zeemanは、光速の不変量よりも数学的な意味で弱い条件である因果関係保存特性が、座標変換がローレンツ変換であることを保証するのに十分であることを示しました。』(注2

1966年 『 こで説明する「光速不変の原理」を用いないロー レンツ変換の導出を,最初にやって見せたのは,テルレッツキーである。彼はその著書「相対性理論のパラドックス」(中村誠太郎監修,林 昌樹訳 (東京図書)1966年 )の中で,この導出を示した。』(注5

1975年 Lee, A. R. ; Kalotas, T. M. 「Lorentz transformations from the first postulate:最初の仮説からのローレンツ変換」: https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/1975AmJPh..43..434L/abstract

『この論文では、普遍的な制限速度の存在の先験的な仮定に頼ることなく、相対性原理のみを呼び出すことによるローレンツ変換の導出を提示します。
そのような速度は最初の仮定の必要な結果であることが示され、それが無限ではないという事実は実験によって裏付けられています。』

https://www.deepdyve.com/lp/aapt/lorentz-transformations-from-the-first-postulate-njZkMjKvfd?key=aip

1976年 JM Lévy-Leblond 著 · 1976年 :概要 https://ui-adsabs-harvard-edu.translate.goog/abs/1976AmJPh..44..271L/abstract :ローレンツ変換導出のもう一つの方法

論文pdf: https://web.physics.utah.edu/~lebohec/P3740/levy-leblond_ajp_44_271_76.pdf

この中で1921年 L.A.Pars, Philos.Mag. 43,249(1921) についての言及有。

1979年 1979-01-01 クック、RJ :13 ローレンツ 変換の自己逆形式についてのコメント

https://worldwidescience-org.translate.goog/topicpages/g/generalized+lorentz+transformations.html?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

『・・・したがって、制限速度の仮定がすべての慣性系で因果関係が満たされるという要件に置き換えられた場合、特殊相対性理論の出現よりずっと前に知られ広く受け入れられていた概念に完全に基づいたローレンツ 変換の導出に到達します。
すべての慣性系における空間の均一性と等方性、相対性原理、および因果関係の原理。』

1983年 1. 菅野礼司, 物理学の論理と方法(上), 大月出版, 1983

https://sken20k.hatenablog.com/entry/2018/02/03/121741 の参考文献1

2004年 V.Yakovenko, Derivation of the Lorentz Transformation, Lecture Note of Univ. Maryland, 2004 

http://www2.physics.umd.edu/~yakovenk/teaching/Lorentz.pdf

次ページ以降で「光速不変を使わない方法」の一つを取り上げて具体的にその手順を確認していく事と致しますが、その例題としてこのV.Yakovenko氏の資料を使います。(注6

2005年 2005/1/4 Yaakov Friedman Physical Applications of Homogeneous Balls
with the assistance of Tzvi Scarr Progress in Mathematical Physics 40
2005/1/4

『この章では、光速が一定であると仮定せずに、ローレンツ変換を導出します。 特殊相対性理論とそれに関連する対称性の原理のみを使用します。
この原理は、2つの慣性システム間のガリレオまたはローレンツ時空間変換のみを許可することがわかります。
ローレンツ変換の場合、間隔と特定の速度の保存が得られます。
既知の実験から、この速度はC、真空中の光の速度です。・・・』

https://www.jct.ac.il/media/5619/bookmain.pdf

でDL可です。

2005年 井上猛, ローレンツ変換に付いて, 天界 2005 年 10月

http://perihelie.main.jp/contents/0510_tenkai.pdf

2007年 『Norman Goldsteinの論文は、因果関係ではなく慣性(時間のような線の保存)を使用した同様の結果を示しています。[3](同様の結果=座標変換がローレンツ変換であることを保証するのに十分であること)』(注2

2007年 David Morin (2007) Introduction to Classical Mechanics, Cambridge University Press, Cambridge, chapter 11, Appendix I

https://www.academia.edu/43410742/David_Morin_Introduction_to_Classical_Mechanics_With_Problems_and_Solutions

で見る事が出来ます。(DLも出来るが、少々面倒である。)

注目すべきは

「11.10 Relativity without c」の章と

Appendix I Lorentz transformations P708~710

です。

上記「11.10 Relativity without c」を含む一部本文は

https://scholar.harvard.edu/files/david-morin/files/cmchap11.pdf

でDL可です。

ちなみにこの論文の中でDavid Morin さんは「1975年 Lee, A. R. ; Kalotas, T. M.」を引用されています。

2018年 「ローレンツ変換の形式は光速度一定とは無関係」 はてなブログ sken20k

https://sken20k.hatenablog.com/entry/2018/02/03/121741

2022年 「MMの楕円の3Dプロット・相対論」 サイエンスフォーラム entangle1

MMの楕円の3Dプロット

 ・その2・ MMの楕円の3Dプロット

 ・その3・ MMの楕円の3Dプロット

 ・その4・ MMの楕円の3Dプロット

 ・ローレンツ変換とローレンツ逆変換

https://archive.md/77c5C

entangle1はこの変換がマクスウェル方程式を不変な形で変換することを、2022年に図形的に証明(それはまた「光速不変の原理」が成立しているメカニズムの図形的な説明でもある。)

2024年 「その5・棒の時間からのローレンツ変換の導出」karel-wolf

当方はローレンツとポアンカレによって明らかにされた棒の時間(Local Time)を使う事でローレンツ変換と同じことが実行できる事を示した。

加えてそこからさらに進んで棒の時間からのローレンツ変換の導出に至った。



注1:ういき「マイケルソン・モーリーの実験」 : https://archive.ph/ENUqB :

『静止したエーテル中の電磁気理論(1864年[3])を作り、光は電磁波であるという説(1871年[4])を立てたジェームズ・クラーク・マクスウェルは、ある時、自身の方程式の数式中に、直接的ではないものの、静止エーテル中の地球の運動が適当な光学上の実験で探知できることが示されていることに気づいた[注釈 4]。

ただし、その方法とは、マクスウェルがワシントンの航海年鑑局に勤務していたデイヴィッド・ペック・トッドに宛てた手紙の中で

「光速度を測定する地球上のあらゆる方法では、光は同じ道筋を通って帰ってくる。エーテルに対する地球の運動は、往復で、光速に対する地球の速度の比の二乗だけ変化するが、これは小さすぎて観測できない」

と述べている[5][注釈 5]ように、光の速さ c に対する地球の軌道運動の速さ v の比 (β = v/c) の二乗、すなわち β^2 で表される極めて小さい有限の量を測定するという非常に高い測定精度が必要なものであった[注釈 6]。

一方、上記マクスウェルからの手紙を読む機会を得た、トッドの同僚でアメリカ海軍士官であったアルバート・マイケルソンは、そのマクスウェルの考えた測定実験に興味を抱いた。』

↑この話の発端がマクスウエルにあった、と言う事実は興味深いものがあります。

そうして「今はできないかもしれないが、こういう実験が可能である」と公表しておく事は意味がある、という例でもあります。

注2:ういき英語版 「ローレンツ変換の導出」 : https://archive.md/rlraI : https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Derivations_of_the_Lorentz_transformations?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

ちなみにういきに限らず英語圏での検索による情報収集は日本語のみの場合と比較すると桁違いに多い情報の収集が可能となりますね。

注3:「微分形式による特殊柑対論」
菅野礼司著
丸善(1996 年9 月)の29ページに上記記述あり。

そうなりますと「光速不変を使わないローレンツ変換を最初に言い出したのはポアンカレ」という事になります。ちなみにこの資料は下記アドレスから入手できます。: https://ps.jp1lib.org/book/16289277/69acde :<--ここからDL可

注4:fnorio氏がまとめられた資料から引用: https://archive.md/rhjsW :

注5:「第 2章 特 殊相対性理論 2」:http://physics-world.sakura.ne.jp/relativity/re3.PDF:のP10のコメント(8)より引用

注6:以下「光速不変を使わないローレンツ変換の導出」をV.Yakovenko氏の資料に基づいて具体的にトレースしたページとなります。

 ・光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 ・その2・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 ・その3・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 ・その4・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 ・その5・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 ・その6・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 ・その7・ 光速不変を使わないローレンツ変換の導出

 

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.md/cysZt

https://archive.md/Jbv9M

https://archive.ph/rwDPy


ローレンツ変換の導出とその歴史的経緯

2023-01-11 02:45:33 | 日記

前のページまでで「ローレンツ変換が光速不変を作り上げている状況の確認」は終了しました。

それで今度はそのローレンツ変換そのものに再び焦点をあてましょう。

・・・という訳で、EMAN物理を参照する所から始めます。

ローレンツ変換の求め方 : https://archive.ph/Evswb

EMAN物理によれば

『色んな方法がある
ローレンツ変換を求めるには大きく分けて二通りの方法がある.ローレンツ流の「マクスウェル方程式を不変に保つ変換」を導く方法と,アインシュタイン流の「光速度が慣性系によらず一定」であることから導く簡単な方法である.

・・・今さらわざわざ難しい方法を紹介する必要もない気がするが,二つの求め方に大きな思想的違いがあることを分かってもらいたいので両方とも紹介するつもりでいる.』

という事で

歴史的に先行したのは『ローレンツ流の「マクスウェル方程式を不変に保つ変換」を導く方法』の様です。

詳細についてはこちらでご確認を。ーー>ローレンツ変換の別の求め方 : https://archive.ph/mWOUG

ところで最初にローレンツ変換を提示したローレンツの発表には誤りがあったらしく、それを訂正したのはアンリ・ポアンカレだった様です。

以下 ういき「ローレンツ変換」: https://archive.ph/3LWS5 :よりの引用。

『ローレンツ変換(ローレンツへんかん、英: Lorentz transformation)は、2 つの慣性系の間の座標(時間座標と空間座標)を結びつける線形変換で、電磁気学と古典力学間の矛盾を回避するために、アイルランドのジョセフ・ラーモア(1897年)とオランダのヘンドリック・ローレンツ(1899年、1904年)により提案された。
アルベルト・アインシュタインが特殊相対性理論(1905年)を構築したときには、慣性系間に許される変換公式として、理論の基礎を形成した。』

『ローレンツはこの変換がマクスウェル方程式を不変な形で変換することを、1900年に発見した。ローレンツは導光性エーテル仮説を信じており、この変換に適切な基礎を提供する相対性理論を発見したのは、アルベルト・アインシュタインであった。
ローレンツ変換は1904年に初めて発表されたが、当時これらの方程式は不完全であった。フランスの数学者アンリ・ポアンカレが、ローレンツの方程式を、今日知られている整合性の取れた 4 つの方程式に修正した。』

その様な経緯の中で次にアインシュタインが『「光速度が慣性系によらず一定」であることから導く簡単な方法』でローレンツ変換を求めたのです。

これも詳細はEMAN物理の

ローレンツ変換の求め方 : https://archive.ph/Evswb

を参照してください。(EMAN物理の方法は厳密にはアインシュタインがやった手順ではありませんが、基本的な内容は同等です。)



さて通常の話方であればこれでお終いになるのですが、ここではそうはいかないのです。

英語版ういき「特殊相対性理論」: https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Special_relativity?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc


によれば

『特殊相対性理論への伝統的な「2つの仮定」アプローチ』として

『アインシュタインは、力学または電気力学の(当時の)既知の法則の正確な妥当性に関係なく、最も確実であると思われる2つの基本的な命題を識別しました。これらの提案は、真空中の光速の一定性と、慣性系の選択からの物理法則(特に光速の一定性)の独立性でした。1905年の特殊相対性理論の最初の発表で、彼はこれらの仮定を次のように表現しました。

・相対性原理–物理システムの状態が変化する法則は、これらの状態の変化が相互に均一な並進運動で2つのシステムのどちらを参照するかに関係なく影響を受けません。


・光速の不変の原理–「...光は常に、放出体の運動状態に依存しない一定の速度[速度] cで空の空間を伝播します」(序文から)。つまり、真空中の光は、光源の運動状態に関係なく、少なくとも1つの慣性座標系(「静止系」)で速度c (方向に依存しない固定定数)で伝播します。』

とありますが、これがアインシュタインのローレンツ変換の導出方法でした。

そうしてういきはこの記述に続いて次のように書いています。

『特殊相対性理論の導出は、これら2つの明示的な仮定だけでなく、空間の等方性と均一性、物差しと時計の過去の歴史からの独立性など、いくつかの暗黙の仮定(ほとんどすべての物理理論で行われている)にも依存します。

1905年のアインシュタインの特殊相対性理論の最初の提示に続いて、多くの異なる仮定のセットがさまざまな代替の導出で提案されました。しかしながら、最も一般的な一連の仮定は、アインシュタインが彼の元の論文で採用したもののままです。』

そうしてこの

『多くの異なる仮定のセットがさまざまな代替の導出で提案されました。』

についてのすこし突っ込んだ記述がこれです。

『2番目の仮説のない相対性理論

光速の一定性を仮定せずに相対性原理のみから(すなわち、空間の等方性と特殊相対性理論によって暗示される対称性を使用して)、慣性系間の時空変換がユークリッド、ガリレイまたはローレンツのいずれかであることを示すことができます。ローレンツの場合、相対論的な間隔の保存と特定の有限の制限速度を得ることができます。実験は、この速度が真空中の光の速度であることを示唆しています。』

これは何を言っているのか、といいますと3番目の方法として「光速不変の原理を使わなくてもローレンツ変換は導ける」と言っているのです。(注1)

但し相対論の歴史の中ではあまりこの話は人気はなかった様で、アインシュタインの特殊相対論の発表に続いて早い時期からそれなりの検討・発表が行われた模様ですが「あまり注目される事もなく」今日まで至っている、というのが現状の様です。



注1:ういきのこの記述についての具体的な内容を始めて知ったのは以下の記事からでした。

「ローレンツ変換の形式は光速度一定とは無関係」 : https://archive.ph/VXKSq :

『Lorentz変換は(その形式だけなら)、光速度一定やMaxwell方程式とは無関係に、次の4つの一般的な要請だけで決まる。

時空の一様性
空間の等方性
運動の相対性
変換が群をなす・・・』

ここに書かれている事はとても衝撃的な内容であり、「光速不変の法則がなければローレンツ変換は出てこない」と思い込んでいた当方にとっては本当に「目からうろこ」なのでした。

そうしてまたこの記事によって「ういきの記述が何を言っていたのか」その具体的な内容が理解できたのです。

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.ph/pNFIa


ローレンツ変換とローレンツ逆変換

2023-01-08 15:10:50 | 日記

K系にあるライトコーンをK'系が速度Vで移動する事によるローレンツ変換が作り出す切断平面が切断し、その切り口がローレンツの楕円になり、それをK'系の原点に立つ観測者は「自分を中心として同心円状に光は広まっている」と観察する事はこれまで見てきた通りです。

そうしてそれが「光速が不変である事の説明」でもありました。

それで、ここまでで示したやり方はK'系の原点から光を出した1秒後にK'系の原点に立つ観測者は「自分を中心として同心円状に光は広まっている」という所をスタートラインにしたものでした。

そうしてそのK'系の同心円状に広まった光の円をローレンツ逆変換する事でK系に戻したのでした。

そうするとK系にあるライトコーンがローレンツ変換が作り出す切断平面によって切断される有様が見えるようになりました。

それで、このページでやろうとしている事は「そのようにK系で切断されたライトコーン(=ローレンツの楕円)をローレンツ変換してK'系に移すと本当に元の姿のライトコーン(=円)になるのか?」という事の確認作業になります。



さてそれでまずは「K系にあるライトコーンがローレンツ変換が作り出す切断平面によって切断される有様」を再確認しておきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

まずは切断面に現れるローレンツの楕円の確認です。

x=(cos t+0.58*1)/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t , z=(1+0.58*cos t)/sqrt(1-0.58^2)  パラメトリックプロット  tは0から2π

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28cos+t%2B0.58*1%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+%2C+y%3Dsin+t+%2C+z%3D%281%2B0.58*cos+t%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29++%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

上記をライトコーンの形に再構成したもの

v=-2から10, u=0から2πで,(1.22757*v*cos u + 0.71199*v,v*sin u ,1.22757*v + 0.71199*v*cos u) 3次元パラメトリックプロット

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=v%3D-2%E3%81%8B%E3%82%8910%2C++u%3D0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80%E3%81%A7%EF%BC%8C%281.22757%EF%BC%8Av*cos+u+%2B+0.71199%EF%BC%8Av%2Cv*sin+u+%2C1.22757%EF%BC%8Av+%2B+0.71199%EF%BC%8Av*cos+u%29%E3%80%80%EF%BC%93%E6%AC%A1%E5%85%83%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88

ここではローレンツ逆変換の式の係数が実数化されている(=1/sqrt(1-0.58^2)=1.22757・・・)のですが、これはウルフラムへの入力文字数削減の為であって、入力式そのものに基本的な違いはありません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さてそれでローレンツ逆変換は

x=(cos t + 0.58)/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t , z=(1+ 0.58*cos t)/sqrt(1-0.58^2) 

と書けます。

その式の係数を実数化したものは

x'=1.22757*cos t + 0.71199,y=sin t ,t'=1.22757 + 0.71199*cos t ・・・①式

ここで(x',t')はローレンツ逆変換された後の時空の座標データであり、t は媒介変数です。

それでローレンツ変換は

x=(x' - 0.58*t')/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t , z=(t'- 0.58*x')/sqrt(1-0.58^2) ・・・②式

となります。



さてそれで、ここではローレンツ逆変換をしたデータを今度は再びローレンツ変換するのでした。

従って②式の中に①式を代入します。

②式 x=(cos t - 0.58)/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t , z=(1- 0.58*cos t)/sqrt(1-0.58^2) は

x=((1.22757*cos t + 0.71199) - 0.58(1.22757 + 0.71199*cos t))/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t , z=((1.22757 + 0.71199*cos t)- 0.58*(1.22757*cos t + 0.71199))/sqrt(1-0.58^2)  となります。

それをウルフラムに入れます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

x=((1.22757*cos t + 0.71199) - 0.58(1.22757 + 0.71199*cos t))/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t , z=((1.22757 + 0.71199*cos t)- 0.58*(1.22757*cos t + 0.71199))/sqrt(1-0.58^2)  パラメトリックプロット  tは0から2π

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28%281.22757%EF%BC%8Acos+t+%2B+0.71199%29+-+0.58%281.22757+%2B+0.71199%EF%BC%8Acos+t%29%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+%2C+y%3Dsin+t+%2C+z%3D%28%281.22757+%2B+0.71199%EF%BC%8Acos+t%29-+0.58*%281.22757%EF%BC%8Acos+t+%2B+0.71199%29%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+++%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

円に戻ったように見えます。

確認の為に平面図を見ておきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

x=((1.22757*cos t + 0.71199) - 0.58(1.22757 + 0.71199*cos t))/sqrt(1-0.58^2) , y=sin t  パラメトリックプロット  tは0から2π

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28%281.22757%EF%BC%8Acos+t+%2B+0.71199%29+-+0.58%281.22757+%2B+0.71199%EF%BC%8Acos+t%29%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+%2C+y%3Dsin+t+%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ハイ、K’系での円がK系では楕円になり、それがまたK’系では円になりました。

つまりK’系の円をローレンツ逆変換してK系でローレンツの楕円にした、今度はそのデータをローレンツ変換したらもとのK’系の円に戻った、というお話です。

さてそれでこの時のxを調べてみます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ウルフラム入力

x=((1.22757*cos t + 0.71199) - 0.58(1.22757 + 0.71199*cos t))/sqrt(1-0.58^2)

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28%281.22757%EF%BC%8Acos+t+%2B+0.71199%29+-+0.58%281.22757+%2B+0.71199%EF%BC%8Acos+t%29%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+

出力された「展開された形」をみると「xはほとんどcos t だ」とウルフラムは言ってます。

そうしてここで誤差が出ているのは係数を実数化した時の有効数字が5ケタの為です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次に t を調べてみます。

ウルフラム入力

z=((1.22757 + 0.71199*cos t)- 0.58*(1.22757*cos t + 0.71199))/sqrt(1-0.58^2)

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=z%3D%28%281.22757+%2B+0.71199%EF%BC%8Acos+t%29-+0.58*%281.22757%EF%BC%8Acos+t+%2B+0.71199%29%29%2Fsqrt%281-0.58%5E2%29+++

「展開された形」をみると 「t はほとんど 1 だ」(=時間 t は1秒後だ)と言ってます。

そうしてここで誤差が出ている理由は同上です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さてこうしてローレンツ変換したものをローレンツ逆変換すれば元に戻る事が数値ベースで確認できたことになります。

ちなみにこのローレンツ逆変換はローレンツ変換に入力する相対速度VをーVに変更しただけのものです。

そうして実はこのVをーVに変える、という事は上記の文脈では「時間を元に戻す」という事と同義である事が分かります。(注1)

つまり「フィルムを逆回転させればそこに記録された現象(=画像)は元に戻る」という事をやっているので、「元に戻るのはあたりまえ」という事になります。



注1:これはK系に対してK’系が相対運動していてその速度の絶対値がVである時に、K’系の相対運動する方向(=時間が進む方向)にK系とk’系のX軸のプラス方向を取る、という相対論の(=ローレンツ変換を考える時の)前提条件に起因していると思われます。

それはつまり「ローレンツ変換に代入されるVはV>0である。」という決まりでもあります。(V<0を代入するとそれは自動的にローレンツ逆変換になってしまいます。)

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.ph/leLGU

 

 


その4・ MMの楕円の3Dプロット

2023-01-05 08:30:15 | 日記

さて前のページまででローレンツ変換によってK系のローレンツの楕円(=MMの楕円の3次元表示)がK'系では円になる事を確認しました。

それで、つぎは同様の操作でK系で円と認識されたライトコーンの切断面がガリレイ変換されたK'系でどう見えるのか、以下に確認しておきます。



K系で円を表示させるのは

パラメトリックプロット t は0から2π

K系X軸成分ーー>X=cos t

K系Y軸成分ーー>Y=sin t

K系時間軸成分ーー>t=1秒

ただしここで t は媒介変数としての t です。



一応ウルフラムで見ておきます。

x=cos t , y=sin t  パラメトリックプロット t は0から2π

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3Dcos+t++%2C+y%3Dsin+t+%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80t+%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80



さてそれで、これをK'系に相対速度V=0.58Cでガリレイ変換するのでした。

ガリレイ変換は

K’系の空間X軸成分 ー>X’=a*X+b*K系時間軸成分=cos tーβ*1

K’系の空間Y軸成分 ー>Y’=Y=sin t

K’系の時間軸成分ー>t’=a*K系時間軸成分=1*1

ここで t は媒介変数としての t です。

そうして

a=1

b=ーβ=V/C=-0.58

K系時間軸成分 =1秒



3D表示の為のウルフラムへの入力

x=(cos t-0.58*1) , y=sin t , z=1  パラメトリックプロット  tは0から2π

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28cos+t-0.58*1%29+%2C+y%3Dsin+t+%2C+z%3D1++%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80



例によって円か楕円かよく分からないので、平面図を表示する。

x=(cos t-0.58*1) , y=sin t  パラメトリックプロット  tは0から2π

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28cos+t-0.58*1%29+%2C+y%3Dsin+t+%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80

ガリレイ変換においてはK系で円であったものがK'系でも円である事が確認できます。

そうしてこの絵の原点にK'系の観察者は立っているのですが、その観察者からすると光の円の中心が左方向(=K'系の進行方向とは逆方向=後ろ)に0.58、ずれている事が確認できます。

これは従来の光のガリレイ変換の説明で出てくる表示と同じで、「光の円は移動する観測者の後ろに観測者が前に進んだ距離の分だけ流される」のです。(注1)



そうして又これはK系のライトコーンをK'系の時間 t'=1秒が作る同時刻平面で切断した時にその切断面に現れる図形となっています。

一応それを確かめる為に側面図を表示させます。

x=(cos t-0.58*1) , z=1  パラメトリックプロット  tは0から2π

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=x%3D%28cos+t-0.58*1%29+%2C+z%3D1++%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++%E3%80%80t%E3%81%AF0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80

これがK'系で見た時の t'=1秒に相当する同時刻切断面とライトコーンが交差する点が作る図形(=側面図)のK’系の時空図上での表示となります。

そうしてもちろんK'系の観測者はこの時には横軸=0、縦軸の値=1の場所にいるのです。



注1:K系に対してK'系はK系の原点にK'系の原点が重なった時にK'系の原点から光を出します。

そうしてその光はあたかもK系の原点から出た光の様にK系の時空図の中でライトコーンを作ります。

そうしてそうやって作られたライトコーンの内側をK'系の原点がすすんで行くのをK系の原点に立つ観測者は観測します。

そのK系の原点に立つ観測者がK'系の原点とK系の原点を中心として円状に広がっていく光の輪を観測した時に認識する絵がこれになります。

つまりこのガリレイ変換の絵が示すように「K'系の原点は先行する光の輪を追いかけている」という状況が観測できるのです。



追記

音波の伝わり方は物質を媒質とする為に基本的にガリレイ変換に従います。

それに対して光は空間を媒質とする為にローレンツ変換に従います。

その結果は光の速度はどの慣性系で測定してもCとなる事は今まで見てきた通りです。

さてそれゆえに「音波の伝達速度は物理定数にはなれず」、「光の伝達速度Cは物理定数になれた」という次第であります。(注2)

ちなみに「ローレンツ変換というものは光速に近い速度で動かないとその効果は表れる事がなく、従って我々の日常生活ではあまり関係がない」という説明をよく聞きます。

しかしながらそれこそがローレンツ変換のねらい、「実はそうやって日常生活とは関係ないよ」と言うふりをしながら「我々の生活を裏で支配する事」こそがローレンツ変換の仕事なのであります。

そうして「そのローレンツ変換の最大の仕事は」といいますれば上記で述べた様に「光速を物理定数に格上げする」というものです。

光速の変換様式がガリレイ変換であったならば、光速は物理定数にはなれなかったでありましょう。

ただ日常生活とはかけ離れた「極端にはやい速度で伝わる現象」という事で終わりでした。

しかしながら光の変換様式がローレンツ変換であった為に光は物理定数となり、その結果はアインシュタインによって「光速不変の原理」とまで言われ、「特殊相対論の成立の基礎」となったのでした。

さてこの特殊相対論の一番おおきな、日常生活と関係がある式、といえば

E=MC^2

であります。(注3)

そうしてこの式に登場するCこそがまさに「ローレンツ変換がこの宇宙で常に働いている為に物理定数として格上げされる事になった光の伝達速度」なのでありました。



注2:物理定数 (場合によっては基本物理定数または普遍定数) : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%A9%E7%90%86%E5%AE%9A%E6%95%B0

あるいは英語版ういき :物理定数 : https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Physical_constant?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc :

『Lévy-Leblond1977は、次の3種類の定数の分類スキームを提案しました。

A:特定のオブジェクトの物理的特性
B:あるクラスの物理現象の特徴
C:ユニバーサル定数
同じ物理定数は、その役割の理解が深まるにつれて、あるカテゴリから別のカテゴリに移動する可能性があります。

これは、最初に測定されたときはクラスA定数(光の特性)でしたが、古典電磁気学の発達とともにクラスB定数(電磁現象の特性)になり、最終的にはクラスになる光速に特に起こりました。特殊相対性理論の発見によるC定数。』

この分類方法によれば音速はクラスA~B、そうして光速はクラスCとなります。

それでもちろんここで言う「物理定数」はクラスCのものを指しています。

ちなみに

『16]バロー、ジョンD.(2002)、自然の定数; アルファからオメガへ-宇宙の最も深い秘密をコード化する数字、パンテオンブックス、ISBN 978-0-375-42221-8

「 αのような純粋な数が世界を定義する方法から学ぶ重要な教訓は、世界が異なることの本当の意味です。微細構造定数と呼ばれ、αで表される純粋な数は、電子電荷の組み合わせです。 、e、光速c、およびプランクの定数h。

最初は、光速が遅い世界は別の世界だと思いたくなるかもしれません。しかし、これは間違いです。cの場合、h、およびeはすべて変更されたため、メトリック(またはその他の)単位での値は、物理定数のテーブルで調べたときに異なりますが、αは同じままでした。この新しい世界は、観察上、私たちの世界と見分けがつかないでしょう。世界の定義で重要なのは、自然の無次元定数の値だけです。

すべての質量の値が2倍になった場合、質量の任意のペアの比率によって定義されるすべての純粋な数値は変更されないため、見分けがつきません。」』とのこと。

そうして 微細構造定数 については : https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%AE%E7%B4%B0%E6%A7%8B%E9%80%A0%E5%AE%9A%E6%95%B0 :を参照願います。



注3:言わずとしれた「核エネルギーを表す式」です。

そうしてこの「核エネルギー」。

平和利用も軍事利用もできるという「とてもやっかいなもの」なのです。

とはいえ光の変換則がガリレイ変換だったら核エネルギーが使えないのでやはりローレンツ変換でよかった、という事になりますか。

要は「核とハサミは使い様」でありますからね。


少し訂正:光がガリレイ変換に従う場合のCの値は測定者の光の媒質(=基準時空)に対する相対速度をゼロにすれば一定の値にさだまります。

従って、E=MC^2はそのようにして求めたCの値を使う事で成立します。

つまり「光がガリレイ変換に従う世界でも核エネルギーは使える」とそういう事になりそうです。

 

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.ph/uJUS4

 


その3・ MMの楕円の3Dプロット

2023-01-02 01:47:14 | 日記
ウルフラムのつかい方が少し上達しました。

そのおかげでライトコーンがウルフラムで3D表示できるようになりました。

ここではそれを使ってローレンツ変換とライトコーンの関係を再確認しておきます。

1、K系で見たライトコーン

ウルフラム入力文

v=-1から1, u=0から2πで, (v*cos u,v*sin u,v) 3次元パラメトリックプロット

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=v%3D-1%E3%81%8B%E3%82%891%2C++u%3D0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80%E3%81%A7%EF%BC%8C+%28v*cos+u%2Cv*sin+u%2Cv%29%E3%80%80%EF%BC%93%E6%AC%A1%E5%85%83%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88

K系の原点を中心として上方向にt=1秒、下方向にt=-1秒の3Dプロットです。

それでこの絵の上半分のライトコーンは「K'系の原点がK系の原点と重なった時にk’系の原点から出された光が作ったライトコーンである」と解釈する事ができます。



2、β=0.58のローレンツ変換が作るt’=1秒(=K'系時間)のK'系の同時刻平面によるライトコーンの切断

ウルフラム入力文

v=-1から1, u=0から2πで,(1.22757*v*cos u + 0.47248*v,v*sin u ,1.22757*v + 0.47248*v*cos u) 3次元パラメトリックプロット

https://ja.wolframalpha.com/input?i=v%3D-1%E3%81%8B%E3%82%891%2C++u%3D0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80%E3%81%A7%EF%BC%8C%281.22757%EF%BC%8Av*cos+u+%2B+0.47248%EF%BC%8Av%2Cv*sin+u+%2C1.22757%EF%BC%8Av+%2B+0.47248%EF%BC%8Av*cos+u%29%E3%80%80%EF%BC%93%E6%AC%A1%E5%85%83%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88

1、で作ったライトコーンを切断平面が切断しました。

その状況をK系の立場で表示してします。

そうしてその切断面に現れているのがローレンツの楕円(=MMの楕円の3D表示)になります。

このローレンツの楕円をK'系の立場でみますと「K'系の原点を中心として半径1(=1C)の円である」と認識される事になります。


ちなみにこの時にライトコーンを切断する切断平面の3D表示は以下の様になります。

入力文

-0.58x+0.00000000000000001y+z-0.8=0  プロット

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=-0.58x%2B0.00000000000000001y%2Bz-0.8%3D0+%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88

本来の切断平面の式は

-0.58x+z-0.8=0  

しかしながらこれだとウルフラムは3Dプロットをしてくれないので、しかたなくyに微少量を掛けた項を加えた近似式(=+0.00000000000000001yをゼロとみなす)を使っています。



追伸
上記2、で使っているウルフラム入力文

(1.22757*v*cos u + 0.47248*v,v*sin u ,1.22757*v + 0.47248*v*cos u)

は従来と同じローレンツ逆変換になっています。

但し係数項はβ=0.58を代入して実数化しています。

展開するとK系の時空座標として

X=1.22757*v*cos u + 0.47248*v

Y=v*sin u =Y'

t=1.22757*v + 0.47248*v*cos u

ここで

v=-1から1, u=0から2π  の

vは t' で X'がcos u です。

それでv=t'=1 と固定しますと t'=1秒でのMMの楕円が現れますが、それは3Dプロットしても「線画」にしかなりません。

それでvを v=-1から1 としてやることで、それぞれの時刻のローレンツの楕円(=MMの楕円の3D表現)を連続表示する=斜め切りのライトコーンの表示が可能となっています。



上記入力文でのローレンツの楕円の表示方法

入力文

v=1から1.000001, u=0から2πで,(1.22757*v*cos u + 0.47248*v,v*sin u ,1.22757*v + 0.47248*v*cos u) 3次元パラメトリックプロット

実行アドレス

https://ja.wolframalpha.com/input?i=v%3D1%E3%81%8B%E3%82%891.000001%2C++u%3D0%E3%81%8B%E3%82%892%CF%80%E3%81%A7%EF%BC%8C%281.22757%EF%BC%8Av*cos+u+%2B+0.47248%EF%BC%8Av%2Cv*sin+u+%2C1.22757%EF%BC%8Av+%2B+0.47248%EF%BC%8Av*cos+u%29%E3%80%80%EF%BC%93%E6%AC%A1%E5%85%83%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88

はい、これでローレンツの楕円の出来上がりです。


追伸の2
以上述べてきた事によれば「基準時空=基準慣性系=K系」にライトコーンは一つ出来上がるだけであります。

そうして光は基準時空の中の空間を光速Cで伝わるだけです。

つまり「基準時空の空間を媒質として一定の速度Cで光は伝わる」のです。

さてそうであれば光の波としての伝わり方は空気の中を伝わる音と同じです。

両者共に「決められた媒質の中を決められた一定の速度で伝わる波」なのであって「波の伝わり方としてはそこには何の違いもない」のです。

但し音の場合はガリレイ変換に従い、光はローレンツ変換に従って慣性系K'に写像される。

従って「違いはだだK'系への変換の仕方にあるだけ」なのであります。(注1)


注1:そのあたりの事をもっと端的に言いますれば「光はK系の中をライトコーンを作りながら光速Cで進んで行くだけ」なのですが、それをK系に対して相対速度Vで移動する慣性系K'が勝手にK系のライトコーンを切断し、そうしてその切り口に現れたローレンツの楕円をみて「光は自分を中心として光速Cで円形に広がっている」と自分に都合よく(?)「認識しているだけである=納得しているだけである」と言えます。

そうして又「そのようにK'系の観測者が認識する事=誤解する事」はK系にとっては「どーでも良い事」なのでした。

なぜならば「実際の物理現象=光が波として空間を伝達している」のは「K系であってK'系ではないから」であります。