さていよいよ「ミンコフスキー図に現れるMMの楕円」を語る時がきました。
それで楕円の一般的な性質ですが「楕円とは円錐曲線の一つである」となります。
そうして「円錐曲線とは円錐面を任意の平面で切断したときの断面としてえられる曲線群の総称である。」とういきは言っています。 : https://archive.ph/HeQC8 :
そうするとMMの楕円も円錐を平面で切断した時にその切断面に現れる、という事になります。
さてそれでは切断対象となる円錐はどこにあるのでしょうか?
はい、目の前のミンコフスキー図にはしっかりとライトコーンがありました! : https://archive.ph/nHe1d :
この光が作る円錐を角度Θを持った斜めの平面で切断すればそこには楕円が現れます。
自然はめんどくさい計算などはせずに、ただ単にライトコーンをローレンツ変換を示す平面で切断していた、ただそれだけでした。
そうしてその平面の中の住人である我々は「光の速度は光源の運動状態に関係なく何時も一定のCである」と認識させられていたのです。
それでまずは切断する平面についてです。
これはいままで話してきた2次元のミンコフスキー図でかかれた赤座標のx軸を空間軸のY方向に平行移動する事で出来上がります。
そうして黒座標X軸に対しての持ち上がり角度Θについては従来と何も変わらずtan(Θ)=V/Cのままです。
この時のVはもちろんMM干渉計の移動速度Vです。
これまでやってきた議論との整合性をとるために、光が光源から発射されてMM干渉計時間で1秒後にライトコーンを切断する事にします。
その場合現れる楕円の短軸は1Cで長軸は1.6666・・・Cのはずです。: その2・ マイケルソン・モーレーの楕円(MMの楕円)・相対論 : http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=28313 :。
さて本当にそうなっているのでしょうか?
斜切円錐の体積 : https://archive.ph/zm2Rs : https://keisan.casio.jp/exec/system/1483603681 : を使って調べます。
同ページにある「ななめ切断円錐の断面に現れる楕円」の公式を以下、引用します。
Truncated cone not a frustum
(1)k=H/R, m=tanθ
R:r=H:(h+r∗m) → h=r∗(k−m)
(2) elliptical radius: (楕円 長軸 a 短軸 b)
a=h∗k/(k^2−m^2)∗secθ=h∗k/(k^2−m^2)∗(1/cosθ)
b=h/√(k^2−m^2)=h/sqrt(k^2−m^2)
但しHは円錐の高さ、Rは円錐の底面の円の半径、
Θは切断平面の水平からの持ち上がり角度、
rは斜め切りした時に現れる楕円の一番下にあたる位置から円錐の中心軸までの距離
詳細は上記引用ページの円錐切断図を参照の事。
さてMM干渉計は移動速度V=0.8Cで移動しています。
従って
m=tanθ=V/C=0.8
そうしてライトコーンはH:R=1です。
rは当面このままで話を進めます。
MMの楕円も円錐の切断面の楕円も同じ楕円ですから、その二つの楕円の長軸と短軸の比を計算してその値がが同じであれば2つの楕円は相似である、とみなせます。
ちなみにライトコーンの未来の方を切断しますので、引用ページの図は逆立ちさせて理解してください。
長軸/短軸=a/b
=(h∗k/(k^2−m^2)∗(1/cosθ))/(h/sqrt(k^2−m^2))
=sqrt(1+β^2)/sqrt(1-β^2)
但しβ=V/C=m=0.8、(1/cosθ)=sqrt(1+β^2) ,k=1
従って
長軸/短軸=a/b=2.134374745・・・
これが切断平面上で見た場合の長軸/短軸の値です。
他方でMMの楕円では
長軸/短軸=1.6666・・・C/1C=1.6666・・・
このままでは一致している様には見えません。
しかしながらMMの楕円の値は基準慣性系ベースの値であり、切断平面上の値ではないのです。
そうであれば切断平面の長軸の寸法は基準慣性系に射影・換算するためにcosθを掛ける必要があります。
その換算をします。
長軸∗cosθ/短軸=a∗cosθ/b=2.134374745・・・*cosθ
=2.134374745・・・*(1/sqrt(1+β^2) )
=1.6666・・・
こうしてMMの楕円は実は切断平面に現れたライトコーンの切断楕円を基準慣性系のXY平面に射影したものである事が分かるのです。(Q.E.D.)
ちなみにこの時には切断平面内の時刻は全て同じになっています。
なぜなら、それが切断平面の定義であるからです。
さてそれからもう一つ驚くべき事実がここにあります。
速度Vで移動する事により切断平面は角度Θで持ち上がります。
それでその場合のX軸の単位の長さは基準慣性系のX軸の単位長さより所定の割合で伸ばさなくてはならない、と言うのがローレンツ変換からの帰結でした。
そうしてその値は
sqrt(1+β^2)/sqrt(1-β^2) でした。
その事については「その2・ ミンコフスキー図に現れるMMの楕円・相対論」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=28368 :で説明しているので、そちらを参照願います。
さてそうしますと切断平面上のX方向の値は物差しが伸びた分、小さく認識される事になります。
それで切断平面に現れる楕円の長軸/短軸=a/bは
長軸/短軸=a/b=sqrt(1+β^2)/sqrt(1-β^2) でした。
これを長軸方向に伸びた物差しで測りますので長軸aの長さが
1/((sqrt(1+β^2)/sqrt(1-β^2))だけ小さく認識されることになります。
従って長軸/短軸の値は以下の様に修正されます。
a∗(1/((sqrt(1+β^2)/sqrt(1-β^2)))/b
=(sqrt(1+β^2)/sqrt(1-β^2))/(sqrt(1+β^2)/sqrt(1-β^2))=1
つまり「切断平面上の住人(我々の事です)には切断平面に現れる楕円が円に見える」という事になります。
そうしてこの事はまさに「光はどの慣性系で見ても同心円状に広がるのが観測される」という事の証明になっています。
それでこの場合「キーポイントになる以下の値」
sqrt(1+β^2)/sqrt(1-β^2)
が一つはローレンツ変換からの帰結として現れ
全く同じものがローレンツ変換とは何のかかわりもない、立体幾何の公式から現れてくる
という事は「神秘的であり、驚くのに十分に値する事である」と思えます。
そうしてこのライトコーンの切断面の現れる楕円の事を「ローレンツの楕円」と呼ぶことにします。
なんとなればこの赤座標XY平面が作る切断面は、ローレンツ変換を示すものであるからです。
それで宇宙はMMの楕円を作り出す事で「光速は常に一定の値、Cである」様にしました。
そうしてその為にはローレンツの楕円の長軸方向に延びる割合とライトコーンの切断面のX軸方向の単位長さの伸びる割合を一致させる事が必要でした。
その結果として現れてきたものがローレンツ変換であった、と見る事が出来ます。
こうして光は実は基準慣性系の中を光速Cで広がっているだけであるにも関わらず、その光を他のどのような慣性系から観察しても光速は常に一定の値、Cになっている様に観測される、という事になったのであります。
追伸
少々フライング的に以上の事を表現するならば、「空間と立体幾何学にローレンツ変換の起源があり、そこからローレンツ変換が現れてくる。そうしてその結果として光速が常にCとして観測される。」という事になります。
つまり「時空の特性としてのローレンツ変換の存在が先にあり、それによって光速不変が出てくる」と主張します。
さてこれは「人類によってローレンツ変換が発見された歴史的経緯とは真逆であります」が、しかしながら「宇宙が展開してきた実際の宇宙の歴史的経緯」としては「当方の主張の方が妥当ではないのか」と個人的にはそう思っております。
追伸の2
地球の基準慣性系に対してのドリフト速度が0.001C程度である、という前提については以前から記述してきました。
それでその場合のMMの楕円の長軸/短軸がどれぐらいの値になるのかを確認しておきます。
それでMMの楕円の長軸aはローレンツファクターで短軸b=1を割る事により
長軸a=1/sqrt(1-β^2)
と求まるのでした。(β=V/C)
↓
その2・ マイケルソン・モーレーの楕円(MMの楕円)・相対論 : http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=28313
そうなると長軸/短軸は
長軸/短軸=1/sqrt(1-β^2)
でありV=0.001Cの場合は
長軸/短軸=1.0000005000・・・
と求まります。
最大ドリフト速度を0.002Cとしても
長軸/短軸=1.0000020000・・・
であって、さて計算上は確かに楕円ではありますが、「これは非常に円に近い楕円である」と言えます。
PS:相対論の事など 記事一覧
https://archive.ph/wLiRZ