「光速がいつもCとして観測されるカラクリ・相対論」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?topic_id=3999#post_id28232 :で検討したMM干渉計の基準慣性系に対する速度Vは0.8Cでした。
そうしてそのMM干渉計の腕の長さは1Cでした。
つまりR=1Cという事になります。
さてそれで、その条件でどのようなMMの楕円が成立しているのか調べます。
まずは基準座標系にXY座標を置きます。
原点の左側に焦点A(-1.3333・・・C、0)、右側に焦点B(1.3333・・・C、0)とします。
2つの焦点の間のスパンが2.6666・・・Cですがこの間を0.8CでMM干渉計の原点が移動しますと3.3333・・・秒かかります。
これは基準慣性系時間ですからこれをMM干渉計の時間に直すと
3.3333・・・秒*0.6=2秒 となります。
さて2秒と言えばMM干渉計の原点に立つ観測者が原点から出た光がMM干渉計の腕の先にある鏡に到達して、そこから引き返してくるまでの時間ですね。
それでMM干渉計は回転させることが可能ですので2本の腕はどの方向にも向ける事が出来ます。
そうして原点から出た光は腕の先におかれた鏡で反射され、MM干渉計時間で2秒後に原点に戻ってきます。
しかしMM干渉計自体は基準慣性系に対して右方向に0.8Cで移動しています。
MM干渉計の原点が焦点Aの位置にある時に光を出します。
そうしてMM干渉計は0.8Cで+X方向に移動しますので、MM干渉計時間で2秒後には原点は焦点Bに到達します。
焦点Bに到達したMM干渉計の原点には腕の先にある鏡で反射された光が同タイムで戻って来ることは前回の議論で示した通りです。
そのような状況の時に原点から出た光のパスを基準慣性系におかれたXY座標に描いていくとそれは焦点Aから出た光が楕円の円周部分で反射され焦点Bに到達する、という絵になります。
その状況を再確認します。
任意の方向に向けられたMM干渉計の原点から出た光は、腕の先にある鏡で反射されまた原点に戻ってきます。
そうしてその時にMM干渉計をどのように回転させても同じ時間、2秒で光は原点まで戻ってきます。
そのような状況を基準慣性系から見ますと、原点からでた光が腕の先に付けられた鏡で反射されまた再び原点までもどる、その時に光が進んだ道の長さは全て同じであって、基準慣性系での長さでそれは3.3333・・・C であったことを示しています。
3.3333・・・Cを光は3.3333・・・秒で走りますが、これは基準慣性系時間であって、これに0.6を掛ける事でMM干渉計の時間に直すと2秒となります。
そうであれば焦点Aから任意の方向に出た光はその先にあるMM干渉計の腕の先の鏡で反射されまた原点に戻る、その時の光路長は3.3333・・・Cである、という事になります。
つまり
焦点Aから鏡までの距離+鏡から焦点Bまでの距離=3.3333・・・C
となる場所に焦点Aから来た光が焦点Bに反射される様に鏡をおけばよい、その場所を求める為には焦点Aと焦点Bの間に長さ3.3333・・・Cの糸を張り、その糸がたるまない様にして2つの焦点のまわりをぐるっと360度まわせばよい、そうするとそこには求める楕円が現れる、という事になるのです。
そうして前回示した様に楕円の接線上におかれた鏡によって光は焦点Aから焦点Bに反射されるのでした。
さてその時に現れる楕円の長軸aと短軸bを示します。
長軸aは1.6666・・・Cで短軸bは1Cです。(注1)
短軸はY方向に伸ばしたMM干渉計の腕の長さそのままですね。
そうしてその時の楕円の焦点Bは
B=SQRT(a^2-b^2)=SQRT(1.66666・・・C^2-C^2)=1.333・・・C
であり、すでに述べた上記設定と一致します。(注2)
次に「その2・光速がいつもCとして観測されるカラクリ・相対論」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=28131 :での計算との整合性を確認します。
+X方向ではMM干渉計時間で光は1.8秒で鏡に到達するのでした。
これを基準座標系時間に戻しますと1.8秒÷0.6=3秒となります。
さて焦点Aで出た光が楕円の右端まで走る距離は上記楕円の数値から
焦点Aから原点までの距離=1.3333・・・C
長軸a=1.6666・・・C
従って求める距離は
1.3333・・・C+1.6666・・・C=2.9999・・・・C=3C
である事が分かります。
3Cを光は3秒で走りますから一致していますね。
短軸bについてはMM干渉計のY方向に伸ばした腕の長さは1Cですので、これは自明でありましょう。
さて、MM干渉計の腕の先に鏡と一緒に取り付けられた、原点にある時計に対して時刻合わせが済んでいる時計の針はこの楕円上にある時には全て1秒を指している、という事も今までの検討からか出てくる結論でした。
つまり「焦点Aの位置にいて+X方向に0.8Cで進んでいる観測者は、自分の周囲を囲む楕円の円周までの距離を1光秒と認識する」という事になります。(注3)
こうしてローレンツ変換を受けている慣性系での観測者の世界認識の仕方は基準慣性系に立つ観測者の認識の仕方とは「本当にまるで違うものであるという事」がよく分かるのでありました。
注1:速度V=0.8Cで移動するMM干渉計のローレンツファクター=sqrt(1-V^2)の値は0.6です。
そうしてこの場合の長軸aはローレンツファクターで短軸b=1を割る事により長軸a=1/sqrt(1-V^2)=1.6666・・・C
と求まります。
それでこの計算は「速度Vで移動する場合のMMの楕円が、円が速度Vでローレンツ短縮した場合の楕円形状と相似である事」を示しています。
つまりこの状況は「自然は驚くほどに不思議な整合性を見せる」という事であります。
注2:楕円の焦点座標、および楕円の接線の式については 「楕円について徹底解説」 : https://archive.ph/ZtJLX :を参照願います。
注3:もちろんその時の観測者の時計の針は0秒を指していますし、観測者は「自分が動いている」とは思っていません。
そうしてその様な状況にある観測者は「自分が基準慣性系に対して静止しているのか、運動しているのか判断する事はできない」という事になります。
それでこの状況が「地球上で光速測定をしている人類の状況である」というのが当方の主張となります。
ちなみに実際は「光速をいくら計っても基準慣性系かどうかは判断する事はできない」が正確な表現であり、実は円運動させた時計の時間の遅れを精密測定する事で「基準慣性系に対する自分の運動状況、ドリフトしているのかどうかについては把握できる」という事はすでに述べてきた事であります。
それでそうやって調べた結果は「現在の地球の測定技術では精度不足の為、判断できない」というものでした。この件、内容詳細につきましては
「円運動を使った基準慣性系の判定・相対論」と「その2」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?topic_id=3953#post_id27821 :を参照願います。
あるいは: https://archive.fo/YkGfI :と: https://archive.fo/PCYMw
追伸:
以上のような「巧妙なカラクリ」によって我々は「光速は常に一定の値、Cとなる」と認識させられている事になります。
光源からでた球面波の一つの波面を半径1Cとは異なる場所で測定しても、その場所の固有時刻が1秒であれば「光源からここまで光は1秒で届いた」と判断する事になります。
たとえその場所が光源から半径1Cの球面上でなく、MMの楕円球の上であってもそうなります。
さてそれで、そうなりますと次の問題は、疑問は「なぜ自然は、宇宙はそこまでして光速を一定の値、Cにしたのか、しなくてはならなかったのか?」という事になります。
追伸の2
ミンコフスキー図式上では双曲線がローレンツ変換で変わらない不変距離を表す模様。
他方で今回示したMMの楕円上の固有時間もまたローレンツ不変であります。
その事は変換前のもともとの円の円周上の固有時と変換後のMMの楕円上の固有時を同一になる様にローレンツ変換する、という事でもあります。
そうして数学上は双曲線と楕円とは兄弟の関係であります。
ちなみに2次元のミンコフスキー図式上では光をローレンツ変換した場合の状況を表すことができない模様です。
しかしながら3次元(空間2次元+時間軸)ミンコフスキー図式を使えば表現が可能となりそうです。