(1)の続き
ところで、Google・ロシア版の掲示板でも似たようなスレッドがあったのですが、こちらの議論はより具体的ですね。 差別語を使う人間もいないし。
----------------------------------------
<教えて!ナロード>
「極東地方にとって、ロシアからの分離は有益だろうか?」
原文:Будет ли выгодно дальнему востоку отделиться от россии?
日本製ネコ車への関税撤廃かw?あるいは完全に中国に合流すべきなのか?じゃあ、シベリアは?モスクワの支配なんて受けない方が良いのかね?
<ナロードの答え>
回答ナロード1号
その件(中古車への関税)については、良いとか悪いとか言うのは難しい。でも、何か違った形になることは間違いないな。 ロシアから分離するなんていうのは、無意味でくだらないことだ。地方が望めば望むだけ権限を得られた時代※は過ぎたんだよ。
※ソ連末期~1990年代前半の混乱期には、チェチェンやタタールスタンなどの民族共和国だけでなく、一般の州や地方でも自治権拡大の動きが盛んでした。当時、議会と対立していた大統領イェリツィンは、地方の首長を味方につけるために大幅に譲歩。自治権の大盤振る舞いを行い、その結果あちこちに小イェリツィンみたいな地域ボスが出現しますが、それらはプーチン時代にことごとく潰され、中央集権化されて現在に至っています。
回答ナロード2号
分離したとしても、極東が独立を維持するのは無理(極めて魅力的な天然資源のおまけもついているし)。どのような場合であれ、どこかの国の保護国みたいな形になるだろうな。経済的にはもっとマシになるかもしれないけど、その場合、もともと住んでいた住民は完全な少数派になり、(中国とかからの)移民から圧迫を受けるだろう。
※極東地方全体の人口は、北の方のカムチャッカ半島とかその辺を含めても660万程度です。確かに漢人が自由に移民できるようになれば、ロシア人が「少数民族」となるのは間違いない。
今はまず無理だろうけど、15年くらい前だったら非常にあり得たんじゃないかな。
回答ナロード3号
考えてもみろよ。極東がロシアから分離、中国の一部になったとする。で、その中国でお前に仕事なんてあるのか?人件費の安い中国の農民や、本当に優秀な中国人技術者のできないようなことをお前ができるのか?ってこと。今の中国で、お前に今の何倍も給料を払う物好きがいるとでも思う?
※的確すぎる指摘です。何だかんだといっても、今の中国には、“頭脳”と“安価な労働力”のそのどちらもあるわけで。
まあ、御参考までに付け加えるとだな、中国には年金なんてものはなく、年寄りはその子供らが養っている。公的な社会保障は一切期待するなよ。w
死して屍拾う者無しだ!www
※こんなことを言っていますが、ロシアの方の社会保障制度も、はっきりいってロクなものではありません。普通の老人たちは年金だけじゃ暮らせない、といつもぼやいているし、治療費の安い公立病院に行くと、麻酔無しで歯を削られたり、骨折した骨を適当な形にくっつけられたりします。あと、どちらの国に属そうが、仕事が無ければ食っていけないことに変わりはありません。まあ、自分はどっちの国民にもなりたくないですけどw。
回答ナロード4号
極東地方がロシアから分離するなんて、誰も認めないだろwでも、今でも大いにその兆候のあるエネルギー危機に圧迫されれば、中国人たちはまさに極東を食い尽くすだろう。
回答ナロード5号
モスクワの奴らは既にウラル山脈の向こう側まで買い占めてる。バザールでの小売商に対し法的登録を義務化※した際に、そこで商売をやってた中国人たちは追いされてしまった。
だから、極東が分離したとしても、シベリアはロシアに残るだろう。で、極東の奴らがまた日本の“ネコ車”を売ろうとしても、すぐに輸入は禁止されるだろうな。
※旧ソ連圏の国々において庶民の経済の中心であるバザールは、元々はコルホーズ(集団農場)の余剰生産物などを売買する場だったといいます。それが、1990年代初めの混乱期に生活に困った人々が家財道具やら、担ぎ屋をやって他国(トルコなど)から安くで仕入れてきた消費財やらを売るようになり「闇市」化。次第に大きな「卸売市場」へと変貌していったのでした。
そこでは、商売上手(悪く言えば“躊躇無くウソがつけて、情け容赦なくボッタくれる”能力)で、かつ団結力の高いアゼルバイジャン人などのカフカス系民族の集団が勢力を持つ場合が多かったのですが、極東やシベリアでは、満洲(東北地方)辺りから安価な中国製消費財とともに流れ込んできた中国人の小商人が、同じく力を持つようになりました。 彼ら異質の集団は、普通のロシア人からはいかがわしい“マフィア”とみなされがちですね。
近年、ロシア政府はこれらバザールに対する法的規制を厳しくし、欧米風のショッピング・モールに整備しようとしているのですが、その結果として、不法滞在者を多く含むカフカス人や中国人の小売商は排除される傾向にあります。
回答ナロード6号
一体誰に有益、というか有益たり得るのか?
極東の住民にとって有益なのか?-これは大きな問題だ。
モスクワの連中にとって有益か?-明らかに違う。
多分、中国人にとって有益なんじゃないか?‐そうだろう。
基本的にロシアは奴らに屈しないとしても、中国人にとって彼の地は必要なのかね?寒いのにね。
回答ナロード7号
分離してしまえ。今こそ極東はソ連に加盟※するのだ!
※ ロシア革命後の内戦期、各地の地方政権や民族勢力がソヴィエト・ロシアに帰順したのは事実上、赤軍の武力によるものでしたが、法的には“対等の権利”を持つ各民族共和国が、“自発的”に結合して、一つの連邦を形成したことになっていました。ちなみに、ソ連時代の極東地方は常にロシアの一部であって、独自の自治単位をもったことはありません。
<ナロード・ベストアンサー>
ウラル以東のものは、何であれモスクワとは条件付きでしか繋がってないように思えるな。ウラジヴォストークからモスクワまでの航空券は、本当に億万長者じゃないと買えないよ。1020ルーブリ(約3万円)もかかる。それより高いってことはないけど。列車も同じくらい。
今後、東シベリアと極東が完全に中国の支配下に入らないようにするためには、カネと発達したインフラと豊富な雇用機会を併せ持つ、新しい本当の地域の中心が必要になると思う。現在、そういうものは存在しないし、政治的な権力と経済がモスクワとピーチェル(サンクト・ペテルブルクの愛称)に集中している状況では、その見込みも無いだろう。
モスクワに住む人間が異国気分を味わうには、そこから150kmも離れれば十分だ。距離が遠ければ遠くなるほど、その感は強くなる。4~6000kmともなれば、これはもはや“別の惑星”だろうな。そんなんだから、モスクワの連中には分からないんだ。中国人たちは、もう大分前から、活発にこれらの地域を吸収しようとしている。もちろん、これからも、だ。
---------------------------------------
「ベスト・アンサー」を書いたのは極東人でしょうか?しかし、リアルに極東地方の独立について考えた場合、まず第一に問題になるのは、当然ながら安全保障の問題でしょう。何しろ、広大な土地と天然資源に恵まれた人口700万に満たない小国が、ロシア・中国・北朝鮮という面倒な国三連星wと“直に”国境を接することになるのですから。置かれる環境の厳しさは、日本の比ではありません。
中でも中国は、基本的に「旧清朝の最大版図=“歴史的に中国固有の領土”」とみなしている節がありますから、1858~1860年まで清朝の領土であった現在の極東地方の中心部、即ち沿海州とアムール州、それにハバロフスク地方の一部などいわゆる歴史的な「外満洲」は、すっぽり「未回収の中国」リストに入ることになります。あちらで市販されている地図帳を見ても、例えばハバロフスクなんかは「哈巴罗夫斯克(伯力)」みたいに、ロシア名と清朝時代の旧名が併記されてますね。
「外満洲」についてはこちら↓を参照。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E6%BA%80%E5%B7%9E
外満洲=日本海沿岸のピンク色の区域。
出典:CIA World Factbook
清朝の最大領域(18世紀後半、乾隆帝の時代)
出典:wikipedia(日本版)
生前の毛沢東も、日本からやってきた訪中団に対し、「日本にとっての“北方領土問題”はたかだかいくつかの島の問題に過ぎないが、中国にとっての“北方領土問題”は外(=北)モンゴルやら沿海州やら、実に広大な領域に及ぶのだ!」みたいなことを語ったという話もあるほどで。
とはいえ、清朝の皇帝は単に中華王朝の君主であったというだけでなく、満洲やモンゴル諸部族に対しては遊牧世界のハン、チベット人に対してはチベット仏教世界の庇護者でもありました。帝国の領土はアイシンギョロ(愛新覚羅)氏の“皇帝の”土地であり、そこに住む人々は(“中華民族”でも“国民”でもなく)“皇帝の”臣民であったわけです。ましてや、19世紀半ばまで“封禁の地”として公には漢人の移住が禁じられていた満洲(特に内満洲の北側とか外満洲)を、それ自体が近代的な概念である“中華民族”固有の領土云々というのは、あまりに無理があるでしょう。
あちらの民族主義者の中には、その中に樺太まで入れる人がいるようですが、これに至っては根拠すら分からない。隣だからついでに入れとけばいいやって感じですかね?こういう人たちからしたら、間宮林蔵なんかはただのウソツキなんだろうなあ。
もちろん、だからといって「ロシア固有の領土」でも無いんですけどね。北海道や樺太が本来はアイヌ人やらニヴフ人等のものであるのと同様、あの辺はツングース系の満洲人やエヴェンキ人等の先住民の土地ということになるのでしょう。今の国境線は、周辺の大国によるここ150年間に渡る分割の結果というか、偶然の産物に過ぎません。
もし日露戦争とロシア革命が無ければ、中露の国境線は多分、瀋陽の北辺りに引かれてたんだろうし。モンゴルも南北(内外)に分裂することなく、一緒にロシアの保護領となっていたでしょうね。
→(3)に続く
ところで、Google・ロシア版の掲示板でも似たようなスレッドがあったのですが、こちらの議論はより具体的ですね。 差別語を使う人間もいないし。
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<教えて!ナロード>
「極東地方にとって、ロシアからの分離は有益だろうか?」
原文:Будет ли выгодно дальнему востоку отделиться от россии?
日本製ネコ車への関税撤廃かw?あるいは完全に中国に合流すべきなのか?じゃあ、シベリアは?モスクワの支配なんて受けない方が良いのかね?
<ナロードの答え>
回答ナロード1号
その件(中古車への関税)については、良いとか悪いとか言うのは難しい。でも、何か違った形になることは間違いないな。 ロシアから分離するなんていうのは、無意味でくだらないことだ。地方が望めば望むだけ権限を得られた時代※は過ぎたんだよ。
※ソ連末期~1990年代前半の混乱期には、チェチェンやタタールスタンなどの民族共和国だけでなく、一般の州や地方でも自治権拡大の動きが盛んでした。当時、議会と対立していた大統領イェリツィンは、地方の首長を味方につけるために大幅に譲歩。自治権の大盤振る舞いを行い、その結果あちこちに小イェリツィンみたいな地域ボスが出現しますが、それらはプーチン時代にことごとく潰され、中央集権化されて現在に至っています。
回答ナロード2号
分離したとしても、極東が独立を維持するのは無理(極めて魅力的な天然資源のおまけもついているし)。どのような場合であれ、どこかの国の保護国みたいな形になるだろうな。経済的にはもっとマシになるかもしれないけど、その場合、もともと住んでいた住民は完全な少数派になり、(中国とかからの)移民から圧迫を受けるだろう。
※極東地方全体の人口は、北の方のカムチャッカ半島とかその辺を含めても660万程度です。確かに漢人が自由に移民できるようになれば、ロシア人が「少数民族」となるのは間違いない。
今はまず無理だろうけど、15年くらい前だったら非常にあり得たんじゃないかな。
回答ナロード3号
考えてもみろよ。極東がロシアから分離、中国の一部になったとする。で、その中国でお前に仕事なんてあるのか?人件費の安い中国の農民や、本当に優秀な中国人技術者のできないようなことをお前ができるのか?ってこと。今の中国で、お前に今の何倍も給料を払う物好きがいるとでも思う?
※的確すぎる指摘です。何だかんだといっても、今の中国には、“頭脳”と“安価な労働力”のそのどちらもあるわけで。
まあ、御参考までに付け加えるとだな、中国には年金なんてものはなく、年寄りはその子供らが養っている。公的な社会保障は一切期待するなよ。w
死して屍拾う者無しだ!www
※こんなことを言っていますが、ロシアの方の社会保障制度も、はっきりいってロクなものではありません。普通の老人たちは年金だけじゃ暮らせない、といつもぼやいているし、治療費の安い公立病院に行くと、麻酔無しで歯を削られたり、骨折した骨を適当な形にくっつけられたりします。あと、どちらの国に属そうが、仕事が無ければ食っていけないことに変わりはありません。まあ、自分はどっちの国民にもなりたくないですけどw。
回答ナロード4号
極東地方がロシアから分離するなんて、誰も認めないだろwでも、今でも大いにその兆候のあるエネルギー危機に圧迫されれば、中国人たちはまさに極東を食い尽くすだろう。
回答ナロード5号
モスクワの奴らは既にウラル山脈の向こう側まで買い占めてる。バザールでの小売商に対し法的登録を義務化※した際に、そこで商売をやってた中国人たちは追いされてしまった。
だから、極東が分離したとしても、シベリアはロシアに残るだろう。で、極東の奴らがまた日本の“ネコ車”を売ろうとしても、すぐに輸入は禁止されるだろうな。
※旧ソ連圏の国々において庶民の経済の中心であるバザールは、元々はコルホーズ(集団農場)の余剰生産物などを売買する場だったといいます。それが、1990年代初めの混乱期に生活に困った人々が家財道具やら、担ぎ屋をやって他国(トルコなど)から安くで仕入れてきた消費財やらを売るようになり「闇市」化。次第に大きな「卸売市場」へと変貌していったのでした。
そこでは、商売上手(悪く言えば“躊躇無くウソがつけて、情け容赦なくボッタくれる”能力)で、かつ団結力の高いアゼルバイジャン人などのカフカス系民族の集団が勢力を持つ場合が多かったのですが、極東やシベリアでは、満洲(東北地方)辺りから安価な中国製消費財とともに流れ込んできた中国人の小商人が、同じく力を持つようになりました。 彼ら異質の集団は、普通のロシア人からはいかがわしい“マフィア”とみなされがちですね。
近年、ロシア政府はこれらバザールに対する法的規制を厳しくし、欧米風のショッピング・モールに整備しようとしているのですが、その結果として、不法滞在者を多く含むカフカス人や中国人の小売商は排除される傾向にあります。
回答ナロード6号
一体誰に有益、というか有益たり得るのか?
極東の住民にとって有益なのか?-これは大きな問題だ。
モスクワの連中にとって有益か?-明らかに違う。
多分、中国人にとって有益なんじゃないか?‐そうだろう。
基本的にロシアは奴らに屈しないとしても、中国人にとって彼の地は必要なのかね?寒いのにね。
回答ナロード7号
分離してしまえ。今こそ極東はソ連に加盟※するのだ!
※ ロシア革命後の内戦期、各地の地方政権や民族勢力がソヴィエト・ロシアに帰順したのは事実上、赤軍の武力によるものでしたが、法的には“対等の権利”を持つ各民族共和国が、“自発的”に結合して、一つの連邦を形成したことになっていました。ちなみに、ソ連時代の極東地方は常にロシアの一部であって、独自の自治単位をもったことはありません。
<ナロード・ベストアンサー>
ウラル以東のものは、何であれモスクワとは条件付きでしか繋がってないように思えるな。ウラジヴォストークからモスクワまでの航空券は、本当に億万長者じゃないと買えないよ。1020ルーブリ(約3万円)もかかる。それより高いってことはないけど。列車も同じくらい。
今後、東シベリアと極東が完全に中国の支配下に入らないようにするためには、カネと発達したインフラと豊富な雇用機会を併せ持つ、新しい本当の地域の中心が必要になると思う。現在、そういうものは存在しないし、政治的な権力と経済がモスクワとピーチェル(サンクト・ペテルブルクの愛称)に集中している状況では、その見込みも無いだろう。
モスクワに住む人間が異国気分を味わうには、そこから150kmも離れれば十分だ。距離が遠ければ遠くなるほど、その感は強くなる。4~6000kmともなれば、これはもはや“別の惑星”だろうな。そんなんだから、モスクワの連中には分からないんだ。中国人たちは、もう大分前から、活発にこれらの地域を吸収しようとしている。もちろん、これからも、だ。
---------------------------------------
「ベスト・アンサー」を書いたのは極東人でしょうか?しかし、リアルに極東地方の独立について考えた場合、まず第一に問題になるのは、当然ながら安全保障の問題でしょう。何しろ、広大な土地と天然資源に恵まれた人口700万に満たない小国が、ロシア・中国・北朝鮮という面倒な国三連星wと“直に”国境を接することになるのですから。置かれる環境の厳しさは、日本の比ではありません。
中でも中国は、基本的に「旧清朝の最大版図=“歴史的に中国固有の領土”」とみなしている節がありますから、1858~1860年まで清朝の領土であった現在の極東地方の中心部、即ち沿海州とアムール州、それにハバロフスク地方の一部などいわゆる歴史的な「外満洲」は、すっぽり「未回収の中国」リストに入ることになります。あちらで市販されている地図帳を見ても、例えばハバロフスクなんかは「哈巴罗夫斯克(伯力)」みたいに、ロシア名と清朝時代の旧名が併記されてますね。
「外満洲」についてはこちら↓を参照。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E6%BA%80%E5%B7%9E
外満洲=日本海沿岸のピンク色の区域。
出典:CIA World Factbook
清朝の最大領域(18世紀後半、乾隆帝の時代)
出典:wikipedia(日本版)
生前の毛沢東も、日本からやってきた訪中団に対し、「日本にとっての“北方領土問題”はたかだかいくつかの島の問題に過ぎないが、中国にとっての“北方領土問題”は外(=北)モンゴルやら沿海州やら、実に広大な領域に及ぶのだ!」みたいなことを語ったという話もあるほどで。
とはいえ、清朝の皇帝は単に中華王朝の君主であったというだけでなく、満洲やモンゴル諸部族に対しては遊牧世界のハン、チベット人に対してはチベット仏教世界の庇護者でもありました。帝国の領土はアイシンギョロ(愛新覚羅)氏の“皇帝の”土地であり、そこに住む人々は(“中華民族”でも“国民”でもなく)“皇帝の”臣民であったわけです。ましてや、19世紀半ばまで“封禁の地”として公には漢人の移住が禁じられていた満洲(特に内満洲の北側とか外満洲)を、それ自体が近代的な概念である“中華民族”固有の領土云々というのは、あまりに無理があるでしょう。
あちらの民族主義者の中には、その中に樺太まで入れる人がいるようですが、これに至っては根拠すら分からない。隣だからついでに入れとけばいいやって感じですかね?こういう人たちからしたら、間宮林蔵なんかはただのウソツキなんだろうなあ。
もちろん、だからといって「ロシア固有の領土」でも無いんですけどね。北海道や樺太が本来はアイヌ人やらニヴフ人等のものであるのと同様、あの辺はツングース系の満洲人やエヴェンキ人等の先住民の土地ということになるのでしょう。今の国境線は、周辺の大国によるここ150年間に渡る分割の結果というか、偶然の産物に過ぎません。
もし日露戦争とロシア革命が無ければ、中露の国境線は多分、瀋陽の北辺りに引かれてたんだろうし。モンゴルも南北(内外)に分裂することなく、一緒にロシアの保護領となっていたでしょうね。
→(3)に続く
>今後、東シベリアと極東が完全に中国の支配下に入らないようにするためには、カネと発達したインフラと豊富な雇用機会を併せ持つ、新しい本当の地域の中心が必要
もし分離・独立するならばそうでしょうが、現実的には本人も言っている様に無理だろうね。管理人さんの危惧する通り、露西亜人の人口が絶対的に少なすぎるし、安全保障面からみても危険過ぎます。
それにしても、回答者の皆さんは冷静で且つ現実的ですね。それに、この地域では民族や宗教的な軋轢はないんでしょうか?もしそれらの問題が有って国民の団結力が弱いのなら、独立など尚更無理かも。
>もし日露戦争とロシア革命が無ければ、中露の国境線は~分裂することなく、一緒にロシアの保護領となっていた
その通りですね。歴史に”もしも”は無いのでしょうが、もし日本が日露戦争で負けていたら中国の周辺国と国境線は、現在とは全く違っていた事でしょう。
また戦後、米ソの冷戦が続いたのも結果的に中国にとっては助かっていたと思いますね。ミグ、スホーイ等の戦闘機や近代兵器が露西亜から供給されなかったら、戦後の中国は軍事的な実力など無かったのだし・・・。
結局、超大国の米ソと日本の金・技術が中国を大国に押し上げてしまったのよね。時代の流れとはいえ、全く余計な事をしちゃったもんだw
>しょうか?もしそれらの問題が有って国民の
>団結力が弱いのなら、独立など尚更無理かも。
先住民の数はロシア人に比べたら圧倒的に少ないんですよ。で、彼らも日本のアイヌのように、一部を除けば文化的にはほぼロシア化しています。
ただ、ロシア人が移住し始めたのはちょうど明治時代辺りの話なのですが、当時はシベリア鉄道も開通していなかったので当初はその数も中々増えず、その開発に際しては漢人や朝鮮人、日本人等の移民の労働力に頼っていました。例えば、今のウラジヴォストークの町を建設したのは彼ら東アジア人です。
その後、日本人はシベリア出兵のどさくさで帰国、朝鮮人はスターリンに追放され、漢人は“どっかに消えて”しまいました。そうした背景を思えば、ロシアのウヨクが“中国人の移民を追い出せ”とか言ってるのも何だかなあ、と思ったりします。
>もし日本が日露戦争で負けていたら中国の周
>辺国と国境線は、現在とは全く違っていた
帝政ロシアが辛亥革命の際に外モンゴルを独立させた、というか事実上保護国にした際、本当は内モンゴルも併せて中華民国から分離させる予定だったらしいのですが、それをやったら1907年の日露協商で取り決めた満洲での「勢力分割ライン」にもろに引っかかってしまうので、
そちらは諦めたと言う経緯があります。もしそうなってたら、外モンゴル同様、内モンゴルの方でもかなりの数の漢人が追放されたかもしれないですね。モンゴル人当人らにとっては、どちらが良かったかはよく分かりませんが。
露西亜人はモンゴル人(タタール人)のチンギス・ハーンの皇女たちと婚姻を繰り返し、最後のハーンの曾孫から譲位を受けて正式な皇帝にもなっていますよね。
モンゴル人にとっては、中国よりもロシアの方にシンパシーを感じるのでは?と思ったりしますが、実際にはどうなんでしょうかね。
管理人さんの今までのレポートから見ると、結構中国は警戒されているようだし、日本としては中国に対抗する為にもモンゴルやロシアと外交を進めるべきなのかも。
麻生さんと小泉さんもロシアに行ってますが果たして、どう考えて動いているのか・・・。
>露西亜人はモンゴル人(タタール人)のチン
>ギス・ハーンの皇女たちと婚姻を繰り返し、
>最後のハーンの曾孫から譲位を受けて正式な
>皇帝にもなっていますよね。
あの辺を征服したモンゴル人は少数だったため、すぐに現地のトルコ系のイスラム教徒に同化されてしまいました。それが今のタタール人の先祖です。だから、16世紀にイワン雷帝から形式的にハーン位につけられ、再び雷帝に禅譲した人物(カシモフ・ハン国のハーン)はチンギス家の血を引くとはいえ、今の規準でいえばタタール人ってことになると思います。ちなみに、当時のロシア貴族の半分近くがタタール系だったという話で、その後ロシア化したとはいえ、姓とかに結構その名残が残ってますね。シャラポワとかラフマニノフとか。
で、今のモンゴル国というのは昔は本当に“ソ連の16番目の共和国”みたいな感じで、エリートはみなロシアで教育を受けていたのですが、その辺りは今でもあまり変わってないんじゃないかと思います。あちらには何度か行きましたが、一般人レベルでも漢人は嫌われてますね。内(南)モンゴル出身の知人が言っていたのですが、どうかしたら彼らも「漢化した奴ら」ということで、同じような扱いを受けるのだそうで...。
国レベルでいえば、選択の余地はないでしょう。モンゴルの人口は、あの広い国土に200数十万くらいしかいなかったと思います。いかにロシアの属国になっても、ロシア人が何百万も移住してくるなんてことは有り得ませんから。ただ、あそこは北アジアの遊牧的な生活様式が唯一維持されている人類史的に貴重な地域なので、他の金持ち国の支援の下、中立地帯みたいな感じになってほしいなあ、と個人的には思う次第です。
>遊牧的な生活様式が唯一維持されている人類史的に貴重な地域~中立地帯みたいな感じになってほしいなあ
全く同感です。以前に迷路人さんとこの少数民族スレで「内モンゴルと草原の誘い」というのが有りました。
雄大な自然と大地、抜けるような青空。全編がモンゴルの風景を撮影した写真ばかりでしたが、非常に心に残りました。”美しい自然に包まれ自然のままに生きる”貴重な地域として、長く残って欲しいものです・・・・。
民族同士での壁や差別って日本でも起こりますよ。例えば日本で育ったハーフは白人とのハーフでアジア寄りの顔だったら差別はさほど受けなかったりするが、韓国人のハーフだと受けたりするときとかしないとか。
逆に純潔な日本人であっても、ブラジル2世、3世で日本語が乏しいだけで非日本人扱いをされることは少なくはない。逆に日本でたまたま生まれ育った・あるいは日本の文化に憧れて永住権を持っている外人は日本語がどんなに流暢であっても見かけだけで差別を受けることはある。
無論、これらは悪い例ばかりなので日本の社会そのものが悪いとは思いませんが、「日本人」の間でもよく起こりますよ、と言いたかっただけです。