歐亞茶房(ユーラシアのチャイハナ) <ЕВРАЗИЙСКАЯ ЧАЙХАНА> 

「チャイハナ」=中央ユーラシアの町や村の情報交換の場でもある茶店。それらの地域を含む旧ソ連圏各地の掲示板を翻訳。

トルコのメディアは、東京のウイグル支援デモをどう報道したか?

2009-07-28 00:32:44 | 東トルキスタン関係

二週間ほど前、東京都内で在日ウイグル人らを中心に、ウルムチ事件への抗議デモが行われたとのこと。

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『ウイグルに自由を』 都内で700人デモ  2009年7月13日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009071302000091.html

中国新疆ウイグル自治区で発生した暴動で、日本在住のウイグル人ら約七百人が十二日、東京都内でデモを行い、中国政府の少数民族政策に抗議した。

デモに先立ちあいさつした在外ウイグル人組織「世界ウイグル会議」の日本代表、イリハム・マハムティ氏は「今回の事件は突発的ではなく、六十年来の怒りが爆発したものだ」と主張。ウイグル人が差別的な待遇を受けてきたことが事件の伏線にあると訴えた。

この日は日本在住のチベット人やモンゴル人、台湾人らも参加。亡命チベット人で、桐蔭横浜大学のペマ・ギャルポ教授は「われわれの戦いは、民族の文化を守り抜くための正義の戦い。明日、あさってに終わるものではない」と諸民族が連帯し、中国政府に圧力をかけていくよう呼びかけた。

この後、渋谷駅周辺を約三キロ行進し、「ウイグルに自由を」などとシュプレヒコールを上げた。

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これ↓が実際のデモの模様らしいのですが、


時々“マスコミは真実を報道しろ!”とか“NHKは捏造をするな!”みたいな、ウイグルとはあまり関係の無さそうなシュプレヒコールが聞こえるのは気のせいでしょうか?

その辺が謎だったのですが、どうやら一部の参加者に対し、“チャンネル桜”界隈から以下のような↓通達が出回っていたらしい。なるほど。そういうことか。
http://blog.livedoor.jp/antijapanhunter/archives/51222406.html

■中国政府によるウイグル人虐殺 抗議デモ■

【日時と場所】 平成21年7月12日(日) 13時00分 中国大使館前抗議行動 (場所が分からない方は、六本木駅6番出口に12時50分に集合してください) 
         (中略)
 ※「NHKの大罪」Tシャツを「中共の大罪」に修正するシールをお分けしますので、是非、「NHKの大罪」Tシャツを着用してください。


「NHKの大罪」Tシャツというのはこういうもの↓だそうで….。


ちなみに、これ↓は何年か前に釜山の服屋で買った「竹島は韓国のものだ」Tシャツ。


どこか似ているのは、用途が同じだからか?

とりあえず、どちらを着ててもモテなさそうですがw。まあ、こういうのを着てる人たちは具体的にウイグル人の事がどうこうというよりも、とにかく中国を叩くための口実が欲しいんだろうなあ。

でも、今のようにウイグル問題をほぼ全世界がスルーしている状況下にあっては、いかなる支援デモであれ貴重なことは間違いありません。普通の人の参加は期待できないですしね。

このデモの模様は、トルコの複数のメディアでも報道されました。

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 「日本人たちがウイグル人を支援」   2009/7/14
原文:Japonlardan Uygurlara Destek
http://www.haberim.net/japonlardan-uygurlara-destek-haberi-328/

日本の首都東京に於いて、東トルキスタンで進行中の蛮行を非難するため、2000人余りの人々の参加による集会が催された。集会には日本の政治家たちをはじめとして、日本在住のチベット人、モンゴル人、台湾人らの参加者が多かった。このような動きは、在日トルコ人たちからも支持されている。

集会では日本、東トルキスタン、トルコ、チベット、それに台湾の国旗が掲げられたが、中でも、キョク・バイラック(青天新月旗=東トルキスタン共和国の旗)が東京の街角で翻るのが見られたのは、貴重なことだ。

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参加人数が倍以上に増えているような気もしますが、あちらの報道ではよくあることです。だからそれはいいとしても、問題は記事に添えられていた写真なんですよ。

どんな写真かと言うと、

↓コレなんですが......


えーと….。

“キョク・バイラック”でも日章旗でもなく、どう見ても太極旗ですw。ありがとうございました。

東京じゃないよな、これは。

くどいようですが、あちらの人間のほとんどは、東アジア諸民族の区別なんてついていません。それは一般人だけの話ではなく、メディアの人間でもこれほど豪快に写真を取り違えるほどなのです。

ただですね、最近ちょっと気になるのは、Youtubeでは現在トルコ人と中国人の間で動画の投稿合戦、罵倒合戦が続いているのですが、トルコ人のコメントで“中国製品をボイコットして、日本と韓国のものを買おう!”とか、“漢人は太古からの敵だが、日本民族と朝鮮民族は俺たちの味方だ”みたいなのがやたらと目につくことです。

何か”日本と韓国”で一セットなんですよ。あたかも”ボスニア・ヘルツェゴヴィナ”とか昔の”チェコスロヴァキア”みたいな感じで使われている。でもって、中国からはきっちりと区別されている、という。

これには、あちらの大衆の間で根強い人気を持つ極右的な民族主義思想の一つ、“汎トゥラン主義”トゥランはイランの対概念で、ほぼ現在の北・中央アジアを指す)も影響しているのかもしれません。この思想は、要するにトルコ語と近い関係にあるアルタイ系やウラル系の言語を話す諸民族を政治的に統合して一つの国を造ろうという考え方です。この思想を信奉する人たちは、モンゴル語や満洲語のみならず、朝鮮語や日本語もアルタイ系言語の中に入れてしまうのが普通ですね。つまり、日本人や朝鮮人は漢人とは区別して、同胞とみなすわけです。あくまで“観念的な”同胞ですけどね。

そういう土壌があるのは確かなんだけど、自分自身の経験から言っても、最大の転機はやはり2002年のワールドカップであるような気がします.。

なお、このニュースサイトではこの記事についてのコメントは未だ一つもありません。他のニュース系サイトの似たような記事でも同じ。ウイグルネタは、内容によっては何百も書き込みがあったりするんですけどね。日本での反応にはさほど興味がないということか?