南禅寺塔頭の天授庵(てんじゅあん)は、南禅寺境内の三門の西側に建っております。南禅寺の開山・第1世・大明国師無関普門禅師を祀る南禅
寺の開山塔となっており、1264年、亀山上皇(第90代)はこの地に離宮「禅林寺殿」を営んでおりましたが、1291年、禅寺となり、大明国師(普門
)が開山となられました。 室町時代、1339年(1336年、1338年とも)、南禅寺15世・虎関師練により、北朝第1代・光巌天皇の勅許を得て、開
山・大明国師の塔所として創建され、塔は「霊光」、庵は「天授」と名づけられ、同時に庭園も作庭されました。
毎年、紅葉の時期の11月の中旬から12月上旬まで夜間拝観が行われ、ライトに浮かび上がる幻想美を満喫できます。日中は池泉回遊式の庭園
を回り、夜間は方丈や客殿から庭園を眺めることになります。
天授庵は、1393年と1447年、南禅寺大火で焼失しており、その後も応仁・文明の乱(1467-1477)でも焼失いたし、その後荒廃しておりました
が、安土・桃山時代、1602年、 南禅寺226世住持・玄圃霊三は荒廃していた天授庵再興のため、弟子・雲岳霊圭を天授庵主とし、霊三の知友・
細川幽斎(1534-1610)の援助を得て、方丈、正門、旧書院、塔などが再興されました。以後、幽斎の廟所が造られるなど、細川家ゆかりの寺院
となり現在に至っております。
正面の庫裡入口
天授庵の庭園は、方丈庭園の東庭と書院庭園の南庭の二つがあり、写真正面の南庭は千坪ほどの広さがあり、南北朝時代に作庭されたとみら
れております。 ただ近代、1904年か1905年に、僧で作庭家の虎山恭宗師が大幅に手を加えております。 夜間は、こちらからの眺めだけになり
ますが、日中回りますと、池の周りを廻り大変奥行のある庭園になっております。
書院東庭
お寺の方の話では、今年は、急激に寒くなり例年より早く紅葉が始まり、一週間くらい前が一番見頃だったと仰っておられましたが、十分満喫でき
るだけの紅葉が残っておりました。 池を挟んで竹林が繁っております。
書院東庭
臨済宗の開祖、達磨大師画
池泉回遊式の書院南庭は、鎌倉時代末から南北朝時代のもので、創建当時のものといわれておりますが、幾度かの改修が行われております。
創建当時の作庭者については不詳とされており、東と西の大小二つの池(東池、西池)がつながり、滝、出島などが配されております。東池の出
島、滝付近には、作庭当初の石組が一部残されているといわれております。
書院と方丈の間の間
書院から方丈に向います。
本堂前庭(東庭、淵黙庭)は、枯山水式庭園になっており、創建当時、鎌倉時代に造営されたとみられております。 鉤型鱗敷きの石畳(敷石)と立
石、白砂、青苔地、楓、松、椿などの樹木で構成されており、南北に据えられた石畳(延段)は、正門から本堂に続きます。苔地に、切石と四角、菱
形の畳石が組み合わされており、これらも、創建当時に造営されたとみられております。
どこの夜間拝観もそうですが、6時の開門に行きますとお客さんが多く、ゆっくり見ることが出来ませんが、閉門まじかに行きますと写真を撮りたい
方などには空いていてお勧めです。
天授庵前の南禅寺山門
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