目黒治療室ブログ

当治療院における治療内容や症例報告です。どこそこのらーめん屋さんに行った等の記事は一切ございません。

眼瞼下垂の鍼治療

2012年04月16日 | 眼瞼下垂
当院でおこなっている眼瞼下垂に対する治療方法、症例等をご紹介していきます。


-眼瞼下垂とは-

眼瞼下垂が起こる原因は様々です。
まぶたを持ち上げる眼瞼挙筋やその筋肉を動かす動眼神経という神経の働きが悪い、まぶたの皮膚がたるんでかぶさっている、病気やケガなどで眼球が小さくなったり陥没したりしている、などの状態が眼瞼下垂を引き起こします。
生まれつきの先天性眼瞼下垂には、眼瞼挙筋の働きが弱いもの、眼瞼挙筋を働かせる神経に異常があるもの、まぶたの形に問題のあるものなどがありますが、最も多いのは筋肉の働きが弱いものです。
それ以外の後天性眼瞼下垂では、挙筋腱膜がのびてしまい眼瞼挙筋が瞼板から離れてしまうものやまぶたの皮膚がたるんでものが多いと言われています。
コンタクトレンズを長期間使用している方、まぶたをよくこする方、目やその周りのケガ、手術をした方などに起こることもあります。
他の病気に関係したものでは、顔の筋肉を動かす神経が働かなくなった顔面神経麻痺や眼球を動かす神経が働かない動眼神経麻痺、筋肉が疲れやすく弱くなってしまう重症筋無力症、骨折による眼球陥没、眼球が小さくなる病気によるものなどがあります。

▼ 眼瞼下垂の診断
リラックスした状態で正面を見た時に、黒目の中心からまぶたの縁までが2mm以上近づいていれば眼瞼下垂の疑いがあります。
眉毛の上を押さえて動かないようにしてから目が開けるかどうかでも判断できますが、眉間にシワを寄せたままで目を開けてみるやり方でも構いません。
他の病気が無いかどうかも同時に調べますが、物が二重に見えたり、筋肉が疲れやすかったりする場合は、他の神経や筋肉の病気がある可能性があります。
特に重症筋無力症の診断のための検査がいくつかあります。血液検査の他に、注射薬や目薬で筋力が回復するかどうかをみたり、筋肉の働きを電気的に調べる筋電図を取ったりしますが、重症筋無力症は2万人に1人くらいの稀な病気です。



-治療法-


まず、患者を座位にさせ、患側の胃経のツボ、胃ユ、内庭、陥谷等の圧痛の有無を診る。圧痛が認められると同時に、眼裂の拡大が認められるものは、非常に治療効果が出やすい。
ただ、高度な腱膜性眼瞼下垂症(老人性眼瞼下垂症)では、この反応が現れにくく、鍼治療の効果も劣る。

治療部位は、眼輪筋部(眉毛の下縁に沿って3センチほど水平に刺入)、睛明穴(眼窩に3センチほど刺入)。この2か所が最も重要な部位で、そのほかに太陽や陽白、和髎などの眼の周りのツボを使ったりします。
以前は胃経の胃ユ、内庭、陥谷や大腸経の合谷なども使っていましたが、治療効果にあまり違いが見られなかったので、今ではほとんど使用していません。
ただ、以前経験した20代男性の眼瞼下垂の症例で、もともと胃弱で、胃の具合が悪くなると余計に瞼が重くなるという方がいました。この様な症例の場合は、胃の調子を整えることが重要になるため胃ユ、内庭なども使います。

20代~40代で、朝は比較的調子がよく、午後から夕方にかけて瞼が重くなるというような方で、重症筋無力症やホルネル症候群などの疾患でない限りは、高い治療効果が期待できますが、50代半ば以上の腱膜性眼瞼下垂症の場合は、全く効果が出ない場合もあります。

以前経験した珍しい症例では(40代女性)、都内の某美容形成外科で、おでこのシワ取りのためボトックス注射を打ったら、眼瞼下垂になってしまったという方を治療したことがありました。
数日前に注射を打ったばかりで眼裂が2ミリ程しかなく、ボトックスの効果が切れるまでは3カ月ほどかかるとのことでした。
この方は、三か月も待ってられないということで、藁をもすがる気持ちでインターネットで調べ、当院に来院されました。
ボトックスで眼輪筋が麻痺しているので、効果は期待できないということを伝え、とりあえず一回治療してみましょうということになりました。
びっくりしたことに、足にある陥谷というツボを圧してみると、眼裂が4ミリ程に拡大しました。
このような反応が出れば、治療効果も期待できそうなので、続けて眼輪筋部と睛明穴(眼窩部)、陥谷を中心に治療したところ、さらに眼裂の開大が認められました。
結局、2週間のあいだに10回の治療をおこない、ほぼ9割がた回復しました。