2017年1月13日(金) 2:00pm トリフォニー
アイヴズ 答えのない質問 7′
バーンスタイン 交響曲第2番 不安の時代 17′19′
ピアノ、江口玲
(encore)
ガーシュウィン ブルー・ララバイ 2′
Int
コープランド ファンフェア・フォ・ザ・コモン・メン 3′
バーンスタイン ウエストサイド・ストーリーより シンフォニック・ダンス 24′
(encore)
ストラヴィンスキー サーカス・ポルカ 4′
ヤク・ファン・ステーン 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
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アメリカものをずらっと並べたプログラム、壮観です。
オランダの指揮者ステーンお初で聴きます。大柄でエネルギッシュな棒。金曜午後2時開演で、3階席はほぼうまっているものの、2階は3割ほど、1階は5割弱の入り。ものともせずに精力的でさえた棒。プログラムビルディングの見事さが光ります。
シリアスな音楽のモードは前半プログラム。この日のメインは明らかに、バーンスタインの不安の時代。演奏会全体としてはウエストサイドを後半に置くと座りが良くなるといったところか。
1曲目の答えのない質問。2015年に聴いたカンブルラン&読響に続きまたこうやって聴くことが出来るのは望外の幸せ。
正面後方、オルガンレヴェルの左側にフルート4名、右側トランペットソロ。トランペットはオルガン方向に横向きで吹いたり、後ろの壁に向いて吹いたり。ミュートなしの素の音ですのでステージ上の弦との強弱の兼ね合いを考えたものだろう。右左の位置関係で、問いと答えをわかりやすく表現。響きも明確に分離する。この曲はインストゥルメントが色々な位置で演奏可能で、ステーンはこのようなわかりやすいポジショニングでの表現。
音が有るようで無い。無いようで有る。微弱に奏でられる音により場の静寂を感じることが出来る。問いはトランペットの赤い線。答えはフルートによる白い塊り。弦楽器のモノトーンに色による変化をつけている。息の詰まる音場。解放はない。
オーケストラの少しザラ味のある肌触り、ステーン共感の棒。
バーンスタインの不安の時代。この日のメインディッシュです。まぁ、何度聴いてもやにっこい曲です。この曲聴いてだいたいいつも思うのは、ジャズのアドリブの部分、即興の部分で、ある極小な短いフレーズがどんどん拡大していっていつのまにかそれがメインで響き渡ってる、バーンスタインのこの曲て、その拡大したほうのパッセージだけが最初から最後まで鳴っている感じ。中心を見せないまま周りだけが鳴っている感じ。見えないブラックホールを周りの気配から感じる。そういった周りの部分の音楽のように聴こえる。
ステーンの解釈は非常に丁寧で折り目が際立っている。コクのある解釈ですね。このやにっこい曲を自分のものとして消化。そしてオケに移植。プレイヤーたちの理解は深く、共感しての演奏。やにっこいながらも実にわかりやすい。
中心的な役割のピアノ、江口さんのピアノはよく溶け込んでいる。ステーンとの呼吸があっていて、ジックリと進んでいくもの。肩の力が抜け豊かな表現力。すばらしいプレイ。
楽章につけられた標題は音楽のイメージを助ける。バーンスタインの太鼓の扱いは個人的にあまり好きではないけれども、全体としてはそれも含め、緊張感が持続したいい演奏でした。曲の理解も一段と深まった気がする。でかい曲でした。
プログラム後半は前半とはだいぶ違うモード。
ファンファーレとウエストサイドの組み合わせプログラムは、2009年にヤルヴィPとシンシナティ響が来日した時にやりましたね。あのときはプログラム前半でやっていました。
コープランドのファンファーレはアメリカオケには無い柔らかい演奏。ブラスの柔軟な響きとパーカスの呼吸、息があったいい演奏、ステーンのお見事な棒でした。
ウエストサイドは、これまた非常に丁寧な演奏。先走りしない抑制のコントロール、オーケストラがきっちりと激しいカオスを一歩ずつ前進。奥ゆかしさとカオスが綯い交ぜになった表現で、ウエストサイドが一段と深くなる。重くも清らかな悲劇が見事にきまる。いい演奏でした。
ステーンは不安の時代、ファンファーレ、こういった曲では振り向きフィニッシュ、どや顔エンドしますね。もちろんこの日のアンコールでそれが一段と。
おわり
1階は4割、3階も後ろ半分は皆無
金曜の方が入るのですね
ちょっとビックリの空席具合でした
そうでしたか、プログラムがアメリカ物だとさっぱりでしょうかね。金午後、土午後の企画が広がっていけばいいですけどね。どうも2階の入りが良くないですね。値段設定のせいもあるような気もします。