碓井広義ブログ

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週刊新潮で、仏「痩せすぎモデル禁止法」をめぐってコメント

2015年04月26日 | メディアでのコメント・論評



フランス「痩せすぎモデル禁止法」! 
日本でアウトはこの有名モデル

フランスで「痩せすぎモデル禁止法」が可決された。美のお手本が不健康に痩せていてはダメだというのだが、翻ってニッポン。フランス式に取り締まれば、このモデルも、あのモデルも引っかかるようで――。

美しくなりたい。それは古今東西変わらぬ女性の願いだろう。若い女性がきれいなモデルに憧れるのは、もっともな話だが、そこに待ったをかけたのがフランスだった。

「この国では痩身のモデルに憧れた若い女性が拒食症になるケースが多い。そこで、BMI18未満の痩せすぎモデルを雇用した事務所に、7万5000ユーロ(980万円)以下の罰金か、6カ月以下の禁固刑を科すという法案が、下院社会問題委員会で可決。今月中に下院を通過しそうです」(パリ在住ジャーナリスト)

ちなみにBMIとは、体重を身長の2乗で割って算出する体格指数で、日本人の平均は22。18未満云々なんて、メタボに苦しんでいる諸兄には縁遠い話に聞こえるかもしれないが、そんなことはないという。

「日本人の摂取カロリー量は近ごろ、戦後間もなくの水準にまで戻ってきています。ダイエットブームが背景にあると思われ、女性はBMI18・5以下の“痩せ”に分類される人が全体の20%にのぼるとも言われる。日本女性は過度に痩せているのです」

医師で医療ジャーナリストの森田豊氏はそう語るが、では、痩せすぎるとどんな影響が生じるのか。

「特に女性は、カルシウム不足で骨粗鬆症になったり、鉄分が足りずに貧血になったりする。視床下部に悪影響をおよぼし、生理が止り、不妊症になってしまうこともある。若い女性たちが痩せすぎの危険性を認識しないのは非常に問題です。40代でBMIが18以下の人は一番寿命が短い、というデータもあるのです」

■痩せた体型の“一神教”

若い女性が危険な「痩せすぎ」を志す背景に、「“痩せ”が美と同義とされる現状がある」と森田氏は指摘するが、芸能ジャーナリストの平林雄一氏も言う。

「痩せ=キレイでかわいい、という考え方は、日本の芸能界にも浸透し、一般女性の痩せ志向にも影響を与えています。現に、女性が選ぶ“なりたい顔”ナンバーワンの北川景子もすごく細身。今や女性の間で“巨乳”や“グラマー”はデブと同義。昔はグラマラスな体型で売っていた優香にしても、今じゃスタイルの良さをウリにしています」

そこで、メディアに頻出するモデルや女優のBMIを計算してみると、いやはや、若い女性が真似しては危険な数値がズラリ並ぶのだ。一例を挙げれば、15未満が河北麻友子(23)、桐谷美玲(25)、あびる優(28)。16未満が鈴木えみ(29)、坂口杏里(24)、菜々緒(26)、17未満が戸田恵梨香(26)、高橋みなみ(24)。そして18未満が蛯原友里(35)、水原希子(24)、道端アンジェリカ(29)、藤井リナ(30)……。

「美しさにはいろんな形があっていいし、多様性があってしかるべきなのに、メディアの影響によって、痩せた体型こそ美しいという“一神教”のような状態になってしまっているのが問題だと思います」

そう語るのは、上智大学の碓井広義教授(メディア論)。


上に挙げたような女性たちを若い女性が教祖のように仰ぐかぎり、日本女性の罹患率は上がり、少子化もさらに進むってこと?

(週刊新潮 2015.04.23号)

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