碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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演技のうまい女優は誰か? 「週刊現代」でのコメント

2022年05月21日 | メディアでのコメント・論評

 

 

【最新版】

抜群に演技のうまい女優は誰か?

令和のイチの「ヒロイン」

ベスト50をランキング

 

いまやってるドラマのあの子は抜群に綺麗だし、先日見た映画の主演女優の演技も圧巻だった……。魅力に満ちた令和のヒロインたち、誰が頭一つ抜けるのか。ドラマ好きたちが選ぶ最高の女優は誰? 

広瀬すずの眼差し

「昭和、平成と移ろいゆくなかで、時代を彩る女優像も変わってきました。元号が改まって丸3年が経ちますが、令和の時代も個性的な女優たちで百花繚乱です」(社会学者の太田省一氏)

女優は時代の花だ。週刊現代は今回、いままさに咲き誇る一流女優たちのランキングを作成した。ドラマや映画、芸能全般に造詣が深い識者にアンケートを実施し、女優たちについて5つの要素を各10点、50点満点で採点してもらい、令和最高のヒロインを決定する。

ランキングを見ると、20代前半の若手女優の台頭が目立つ。その筆頭が、総合4位にランクインした広瀬すず(23歳)だろう。美貌点8・8で1位を獲得した顔の造形、特にその吸い込まれそうな瞳は唯一無二のものだ。『みんなの朝ドラ』の著者でフリーライターの木俣冬氏が言う。

「彼女にしかない澄んだ眼差しは美しいだけではなく、観ている側に深遠な『ドラマ』を想像させる力がある」

同志社女子大学メディア創造学科教授の影山貴彦氏は、広瀬が是枝裕和監督の『海街diary』('15年)に出演した頃から、その才能の片鱗を見せていたと語る。

「同作中で、広瀬がサッカーをするシーンがあるのですが、はつらつとした躍動感が凄い。野性味がありながらも、清潔さや透明感も持ち合わせていた。

当時はまだ10代半ばでしたが、大きな存在感を放ち、持っているものが違うと感じた。是枝監督も撮影時に『広瀬にはあまり台詞指導をしなかった』と言うくらい、その資質を信頼して自由にやらせたと言います」

抜群のルックスだけでなく、演技面でも天性のものを発揮する広瀬は女優界における次世代の旗手と言えるだろう。

『カムカム』女優たちの躍進

同じく若手で広瀬を追いかける存在が15位の浜辺美波(21歳)である。「美貌」では8・7点と広瀬に次ぐ2位につけた。

「浜辺さんは演技力の面では今後の成長が期待されますが、清楚で品のある美貌は誰にもひけをとらない。代表作『君の膵臓をたべたい』('17年)で演じた難病を抱えた役柄には、『愛と死をみつめて』('64年)で主演だった吉永小百合を彷彿させる儚げな美しさがありました」(影山氏)

若手世代のなかで、昨今最も躍進が目覚ましいのが、広瀬と同い年の上白石萌音(24歳)だ。今回は7位にランクイン。

元上智大学文学部新聞学科教授でメディア文化評論家の碓井広義氏が言う。

「上白石さんの芝居を見ると、不思議と応援したくなる。視聴者を引き込む『健気さ』を持つ女優だと思います。加えて演技力も高い。『カムカムエヴリバディ』('21年)では夫の戦死の知らせが来て、妻役の上白石さんが泣きながら外に出ていって街をさまようシーンがありました。

『稔さん、稔さん』と夫の名前を13回連呼するんですが、1回ごとに夫の名前を叫ぶニュアンスを変えていたんです。感情の揺れ動きをここまで仔細に表現できるというのは、とてつもない才能です」

『カムカム』で上白石と一緒に主役を演じた深津絵里(49歳)と川栄李奈(27歳)も26位と29位にランクインした。

「深津さんは昔はボーイッシュなイメージが先行していましたが、『カムカム』で10代の少女を演じたように役にも幅が出ている。若い頃からドラマや映画だけではなく、舞台でも培ってきた演技力がここにきて発揮されていると感じます」(ライターの近藤正高氏)

川栄はAKB48出身で昔はおバカキャラで売っていたものの、NHKに重用され、ついにヒロインの座を獲得。アイドルらしい透明感と等身大の魅力が両立する稀有な存在になりつつある。

8位の満島ひかり(36歳)も川栄と同じくアイドル出身だ。彼女のキャリアのスタートは「Folder5」というグループからだったが、もはやその過去を誰も口にしないほど女優業が板についている。

「満島さんの民放での初主演作『Woman』('13年)の演出家だった水田伸生さんから聞いた話ですが、『彼女は自分がこうだと思ったら絶対に譲らない。ぶっとい線が一本通っている』と。ある意味、監督や演出家泣かせの所もありますが、それだけ演じることに真剣なんです。だから彼女の演技には感情移入してしまう」(影山氏)

令和のいま、輝きが増している日本の女優はまだまだいる。そのランキングの結果などを引き続き後編の『【最新版】いまもっとも輝いている「令和イチの女優」のベスト50を大公開…! 』でお伝えする。

 (『週刊現代』2022年5月14・21日号より)


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