碓井広義ブログ

<上智大学教授のメディア時評> 見たり、読んだり、書いたり、話したり、時々考えてみたり・・・

「黄昏流星群」中山美穂の“自分探し”は、ツッコミどころ満載

2018年11月08日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評


「黄昏流星群」中山美穂の“自分探し”は
ツッコミどころ満載

ずいぶん懐かしい素材を持ち出したものだ。フジテレビ系「黄昏流星群」である。弘兼憲史の原作漫画は20年以上前の作品だが、基本的な物語はあまり変わっていない。リストラされた元銀行マンが旅先(スイス!)で出会ったすてきな中年女性に恋をして、帰国後に偶然再会した2人が接近していくナイスなお話だ。

なんじゃ、それ! と言うなかれ。主人公の瀧沢完治は佐々木蔵之介。ひと目ぼれした相手、目黒栞が黒木瞳。そして完治の妻・真璃子には中山美穂を導入。リストラ世代の願望をかなえる「不倫ドラマ」というより、ほろ苦な「自分探しドラマ」として成立している。

特に佐々木の誠実な演技が見ものだ。組織から切り捨てられたことへの憤り。出向先で煙たがられ、孤立することの悲哀。妻には言えない思いを栞に語るうちに、これまでの自分を見直し始める。

また完治の出向先で「食堂のおばちゃん」として地道に働く栞も、母親の介護に費やしてきた人生から一歩踏み出したいと思い始めている。そんな2人が、これからどんな選択をしていくのかが、このドラマのキモだ。

一方、ちょっと困ったのが中山演じる真璃子。娘(石川恋)の婚約者(藤井流星)に心引かれる、一人の女性と化している。中山の見せ場をつくるために原作を変更した「妻の自分探し」だが、こちらはツッコミどころ満載の展開と言うしかない。

(日刊ゲンダイ 2018.11.07)