碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

人類愛と家族愛が合体した、超SF映画『インターステラー』

2015年01月04日 | 映画・ビデオ・映像



『ヒューリー』に続いて劇場に足を運んだのは、クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』です。

近未来、地球規模の食糧難と環境変化によって人類の滅亡のカウントダウンが進んでいた。そんな状況で、あるミッションの遂行者に元エンジニアの男が大抜てきされる。そのミッションとは、宇宙で新たに発見された未開地へ旅立つというものだった。地球に残さねばならない家族と人類滅亡の回避、二つの間で葛藤する男。悩み抜いた果てに、彼は家族に帰還を約束し、前人未到の新天地を目指すことを決意して宇宙船へと乗り込む。

『ダークナイト』シリーズや『インセプション』などのクリストファー・ノーラン監督が放つSFドラマ。食糧不足や環境の変化によって人類滅亡が迫る中、それを回避するミッションに挑む男の姿を見つめていく。主演を務める『ダラス・バイヤーズクラブ』などのマシュー・マコノヒーを筆頭に、『レ・ミゼラブル』などのアン・ハサウェイ、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステインら演技派スターが結集する。深遠なテーマをはらんだ物語に加え、最先端VFXで壮大かつリアルに創造された宇宙空間の描写にも圧倒される。



ノーラン監督というだけで、やはり見ないではいられません。

結果、予想以上の作品でした。

人類滅亡の危機という“大きな物語”と、マシュー・マコノヒーが演じる元エンジニアとその家族という“小さな物語”が巧みに融合されており、トータルで見ごたえのある人間ドラマになっています。

『ヒューリー』が形を変えた、もう一つの『地獄の黙示録』ならば、こちらは、もう一つの『2001年宇宙の旅』だと言ったら、またまた言い過ぎですね(笑)。

169分という堂々の長尺ですが、飽きることなく、スクリーンに没頭しました。

新作が出るたびに「うーん、これはすごいぞ!」と驚かされるのですが、毎回こんなハイレベルな作品を作り続けて、ノーラン監督、大丈夫か? 早死にしたりしないよね。



逃げ場のない“戦場”を体感する、映画『ヒューリー』

2015年01月04日 | 映画・ビデオ・映像



ブラッド・ピットの新作『ヒューリー』を見てきました。

1945年4月、ナチスがはびこるドイツに総攻撃を仕掛ける連合軍に、ウォーダディーというニックネームのアメリカ人兵士(ブラッド・ピット)がいた。カリスマ性のあるベテラン兵士である彼は、自らフューリーと名付けたアメリカ製の中戦車シャーマンM4に3人の兵士と一緒に乗っていた。そんなある日、ウォーダディーの部隊に新兵ノーマン(ローガン・ラーマン)が加わることになり……。

ブラッド・ピットと『サボタージュ』などのデヴィッド・エアー監督がタッグを組み、ナチスドイツ相手に戦車で戦いを挑む男たちの姿を描く感動の戦争ドラマ。第2次世界大戦末期、戦車を駆使して敵軍に立ち向かう5人の兵士たちの過酷なバトルを追う。『欲望のバージニア』などのシャイア・ラブーフや、『ウォールフラワー』などのローガン・ラーマンらが共演。アメリカとドイツ双方が誇る戦車の激突はもとより、強い絆で結ばれた男たちのドラマが琴線に触れる。



第二次大戦中の戦車による壮絶な戦い。

激戦で米軍の僚友が全滅し、たった一台だけ残った戦車がヒューリーです。

リーダーであるブラッド・ピットの指揮が見事で、もう無理か、と思われる局面も切り抜けていく。

ピットをはじめ、それぞれの得意技をもつベテラン兵士たちと新兵の対比も絶妙です。

作品全体として、ピットたちをいわゆる英雄として描いたりせず、戦争もしくは戦場とはどんなものかを見せてくれます。

形を変えた、もう一つの『地獄の黙示録』、と言ったら言い過ぎかな?

とにかく戦場の描写がリアルで、自分が戦ったわけでもないのに(笑)、見終わったら疲労コンバイの極致でした。