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[短評]守るコーチ、加勢する親方

2007-10-01 22:17:58 | 日常生活
時津風親方、「追放」必至=相撲協会にも暴行認める-理事会で処分へ・力士死亡 (時事通信) - goo ニュース

先週、アメリカで話題になったできごとの一つに、オクラホマ州立大学のヘッドコーチ、マイク・ガンディが、
勝利した試合後のインタビューで、ものすごい激怒した、というものがありました。勝利した試合なのに、
何を怒っていたのか?オクラホマの地元紙の女性記者が書いた先発QB交代に関する記事が事実無根だとして、
その記者に向って「この記者には子供がいないからこんなことを書くことができる!」だの、「プロでも
ないのに選手を叩くのを止めろ!」などと大演説を打ちました。

どうしても見てみたい方は、こちらをどうぞ。



この記者会見は、スポーツコラムニストの間では不評でした。多くの意見が「こうした場面で話すものではない」や、
「カレッジのフットボール選手だってプロみたいなものだろ」というものでした。決して職業的な繋がりによって、
女性記者を擁護するような人はいませんでしたが、ガンディもまた「大の大人がギャーギャーだわ」みたいな
視線を送られていました。

しかし、この記者会見は一般大衆には大受けでした。おまけに女性記者のいる新聞社には、コーチ支持のメールが
たくさん寄せられたそうです。そればかりか、何人かのスーパーボウル出場コーチまでもが、ガンディに直接
電話をしてきたとも言われています。

オクラホマシティ周辺の人は別にしても、全米の人たちにはこの記事の真偽よりも、ガンディが選手のためを思い、
あれだけ怒ったということに同情をしたのでしょう。コーチは何度か「選手を非難するならコーチの私を叩け」と、
女性記者に向って怒鳴っています。カレッジフットボールのコーチは誰もが、選手に対しては、試合の勝ち負けよりも、
しっかりと卒業をし、今後の人生に役立つような人物になってもらいたいと考えています。単なるコーチではなく、
兄貴、父親、そして教育者と同然の存在であるべきと考えているのです。ガンディの記者会見は過剰すぎるかも
しれないけど、その考えを端的に示しているものだと思います。

一方、日本では時津風部屋でのリンチ事件が毎日の話題になっています。これも記事の真偽はわからないですが、
もし記事の内容がほぼ真実だとすれば、親方はなぜ17歳の序の口力士を助けなかったのかと考えてしまいます。
カレッジフットボールと違い、序の口であっても力士は一応プロです。でもカレッジの選手よりも若い17歳であって、
カレッジの選手たち以上に、親であったりそれなりの教育者を求めているはずです。それなのに、兄弟子の
行為を止めないどころか、加勢したともされるようのであれば、「親」方なんて名乗る資格はありません。

確かに、相撲のような格闘技界では、今回のような「しごき」は当たり前とも言われていますが、そうだとしても、
ある元力士の言葉を借りれば、親方は逃げ込める存在であるべきです。しかし時津風部屋の風通しは悪いのか、
17歳の力士にはそうした存在を見つけることができませんでした。

ガンディの激怒も、時津風部屋の死亡事件も、どちらも極端な結果だとは言えますが、どちらも国技と呼ぶに
相応しいスポーツにおいて、どうしてこうも相反する結果になるのかは理解できません。


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