a Rashing

散々会って段々分かって
季節迫り来て散々泣いて
君は君夢でっかく描いて
僕はここから成功願ってる

燕のいる駅ネタバレ

2005年09月09日 | 舞台の嵐!
完璧ネタバレ、ご注意あれ。




今から80年後、2085年5月、日本人居住区にある駅
「日本村四番」の駅員、高島啓治くんが相葉ちゃんです。

<ストーリー>
全ての照明が消えて電光掲示板の日付が2085年になって
藤色の詰襟制服を着た相葉ちゃんが、後姿で駅のベンチを
トンカチで叩いているところからこの舞台は始まります。
「これで大丈夫だろう」って座ってみるんだけど
「イッテェー!」って飛びはねちゃう。ベンチから釘が出てる
よう。なんどもベンチをなでて「おかしいなぁ」って、もう一度
座ってみるとやっぱり「イテェ!」の繰り返しです。
これは最終的にパンフレットを読んで知った伏線でした。
ストーリーには直接関係無いらしいけれど、純粋な日本人は
このイスに座ると痛い人ってことらしい。

この時代には珍しい木製のベンチ。この駅はレトロな
雰囲気を残してることで乗客に人気な駅です。

駅長室の向かいの売店に努める榊原有香ちゃんとは知り合って約1年、
最初から高島君は榊原さんのことが気になって何度も誘おうとして
いるのに、それができない。二人の会話はとてもかわいい。
榊原さんはあまり高島君の話をよく聞かないので
「ちゃんと聞けよ!」なんて怒鳴ったりするけど。マイペースな
榊原さんはひらひら笑ってばかり。後ずさりしてしまう高島君、
ずんずん話しだして押され気味で。多少かみ合ってない二人が
たわいも無い話をするのが本当にかわいいバカップルって感じです。

駅のホームに燕が巣を作ったこと。ヒナが孵って親がえさを運んで
いること。「オレ、燕のお兄さんになりたいんだ」って宣言したり。
隣の駅の上に変な雲が出ていること。日光を直接浴びるのは
よくないこと。前の駅長さんは隣の駅に移動になって、その人の
娘さんと結婚しないかと勧められたことを話す高島くんに、嫉妬する榊原さん。
なぜか彼女はベンチに座っても全然平気で。高島君は「そうだ、板を
買ってきて張ればいいんだ」と気がつく。隣駅の「みどりやさん」で
きっと板が売られてるはずだから、もしヒマだったら買ってきてと
榊原さんに頼む高島君。全部の仕事が終わったら彼女を
誘ってどこかへ行こうかな…なんて考えてるけど言葉にできない。
榊原さんのほうが「どうして誘ってくれないの!」なんて
あらぬ方向にむいて大声で叫んだりして。

「今日、仕事が終わったら…」「誘ってくれてるの?」「…後でね」
ああ、今夜は何か二人の中で起こりそうっていうこの日、運命の日。

そこに一本の電話が。隣の駅で事故があり、外回りの特急電車が臨時停車する
ことになる。降りてきた乗客は、女子大生の4人組、
彼女たちは旅行へ行くらしい、大きな荷物、かしましい会話。
女性上司と男性部下の3人組。仕事熱心で少しヒステリックな上司
水口(宮地雅子)さんと
同期なのに出世を追い越されても、へらへら笑ってばかりいる情けない
部下真田(相島一之)さん。ふてぶてしくてまるでやる気のない
新入社員の鈴木(亀田佳明)さん。鈴木が犯したミスをクライアントに
謝るために電車に乗ってきた3人。
この会社は軍の武器を作って売っている会社らしく、特に人種には厳しい
らしい。「無能でも純粋な日本人ってだけで採用してるんだから(怒)」と
水口さんの言葉には、とげがあり差別発言が多い。

そして胸に赤いバッチを付けた女性が1人、純粋でないという証拠のバッチ。
差別的な言葉に怒り出し、文句をつけ彼女もヒステリック。

これらの乗客全員が白い服を着ている。
相葉ちゃんと売店の榊原さんの二人はカラフルな衣装なのに
他の出演者は全員真っ白。どうも公務員だけカラフルな衣装が許されて
いるらしい。榊原さんの友達の下可部さんの弟が逮捕されたのも
外国人を差別することに反対したためらしい。

この時代は純粋な日本人以外は区別されるために、胸にバッチを
つけることが義務になっているらしい。何度かの戦争、環境破壊による
オゾンホールの拡大。居住できる地域も限られているらしい。

乗客や高島くんの会話はそれはそれは平和で、楽しくてコメディ
なのにすぐそこにせまっている世界は暗澹たるもので。
直射日光を浴びるのが危険な世界、いいお天気で隣の駅の上にある雲を
見て、女子大生たちは「パンダみたい」と喜ぶ。
その雲は次第に大きくなっている。

高島君の親友のローレンコ二郎(猪野学)が奥さん(小西美帆)と最後の
挨拶をしに駅に会いに来る。実は二郎は純粋な日本人じゃないということで
収容所に入る事に。奥さんと分かれなくてはならないので、彼女の浮気を
心配している次郎。「オレがいなくなったら新しい男と結婚してくれ」と
言っては落ち込み、心理ゲームで奥さんを試したり。結果にいちいち落ち込み。

そして弟のように可愛がっている高島君、懐かしい話に花がさく。
「♪カエルは青い、青いは空、空は広い」と歌いながら出てくる二郎、
「ちがうちがう、♪空は広い、広いは運動場、運動場は遊ぶ、遊ぶは赤ちゃん、
赤ちゃんは泣く、泣くはカエル、カエルは青い、青いは空」(だったかな?)
身体いっぱい使って高島君は歌い踊る。二人はまるで兄弟のように仲がよく
掛け合い漫才のように早口で話す。
「二郎ちゃん、二郎ちゃん」とはしゃぐ高島君がかわいい。
「翔ちゃん、翔ちゃん」って相葉ちゃんが言うのをすぐに連想する。

電話がかかってくる。隣の駅の人身事故は高島の上司だった
知り合いで、しかも自殺したのだという。泣き出す高島。

そこへまた電話がかかってくる。なぜか次に来る電車が内回りの
最終で、今日はもう電車は動かないと。高島は乗客をせかして
全員を内回りに乗せてしまう。高島君が忙しく上の架線と下の
改札、待合室、駅長室と動きまわってる間に彼女の榊原さんは、
売店を閉めて時間ができたので黙って高島に頼まれた板を買いに
みどりやさん(隣駅方向)へ自転車で向かってしまう。

二郎の奥さんが「あなた、もう時間がないわ」と促し
「新婚旅行に行く」とウソをついて別れを言う二郎くん。
二郎が最後の挨拶で、涙ながらに土下座して
「今までお世話になりました」という。ただならぬ雰囲気に
高島はそれが単なる旅行ではないことに気付き、駅の外へ行くと
そこには収容所行きの護送車が待っている。

泣き出してしまう高島。「ぼく何も知らなかった」
二郎ちゃんは「お前、これを欲しがってただろう」と胸のバッチを
高島に渡す。「やっとこれを取ることができてほっとしてる」と
差別されていた自分の過去をそれとなく匂わせる。
「俺、二郎ちゃんが好きで憧れてたからなんでも真似したかったんだ」
もう泣きじゃくってる高島君。親友の差別についても、目を向けて
いなかったことを悟る。

どっちが先だったか忘れちゃったけどまた電話がきて
「戦争が始まった」ことを知る高島君。
女子大生たちが笑いながら話していたこと、
「今度の戦争が始まる時は、静かに始まるんですって。新型爆弾が投下され
それはタヌキの形の雲をしていて、静かに広がり下の方が黒くなり…
みんな死んでいくんですって」大学で教授が話してくれたことばは、
無邪気なおしゃべりに織り込まれて説明されていた。

そんなことを少しも知らないでいた高島くん。

最後の内回り電車はまさに隣の駅の方向、爆弾の落ちた方向に向かって
走っていってしまった。高島が自分のせいでみんなが死んでしまった
ことを知り大きな悲しみに身もだえする。榊原さんの友達の
下可部(岩崎ひろみ)さんがどんなに榊原さんが高島君のことを
楽しそうに語っていたかを伝える。カレー中毒の駅員さんが
なかなか誘ってくれないことを悲しんでいたと。そしてベンチの
修理のための板を買いにみどりや@隣駅へ行ってしまったことを知る。
「僕のせいだ」と自分を責め、ベンチを蹴り飛ばし慟哭する高島。

戦争が始まって全てが終わりに近づいている事を知り、
下可部さんが「行列にならんでいると自分がどこにいるか
わからなくなるのよ!」と。「私は弟から色々聞いていたので
この世界が間違った方向に進んでいる事に気がついていた」という。
「僕は何も知らなかった、僕だけが僕だけが」
嘆き悲しみ泣き叫ぶ高島。後半はずっと「ぜーぜー」と大きな息をする。

この日で世界は終わりを迎える。
自分のせいで多くの人を死なせてしまったと嘆く前に、その
暖かでまぶしい気持ちのいい日で人類は滅亡していくのだ。

巣から落ちていた燕を両手で抱えて泣きながら高島が正面に立つ。
真っ暗な中ピンスポットを浴びた高島の手の中で燕は元気に
動いている。暗転。終幕。



気がついたときには全て終わっていたっていうお話です。
最後のシーンで燕が生きていて動いているのを泣きながら
見つめる高島君は、どういう気持ちなんだろう。
なだれ込むように平和な風景が一気に週末を迎えるのを
最後まで知らなかった方が、知らないでいた方が幸せだったり
ずっと知って活動していた人は逮捕されていたり。差別されて
苦しんでいても、終末には全て平等に同じ運命を辿るっていうのは
ある意味平和だったりして。

電話がかかってくる度にどんどん悲しみが深くなっていくので
後半は行ったり来たり、泣きっぱなしの相葉ちゃん。
泣いている時間が長いので逆に散漫になる感じがしました。
相葉ちゃん、パンフで語ってますがどこをピークに持っていったら
いいのか、演じる側も大変だろうなぁと。

で、この舞台を見て平和とか環境とか差別とか貧困とかを慮り、
啓蒙するのが正しい見方なのかなぁ。今の世界が抱えている問題を
テーマにしているので背景はメチャ重たい。知らないでいてはいけない、
知ることから始まるんだ、って。相葉ちゃんはパンフレットの中で
言ってるんだけど、この舞台の面白いところは世界は終末を
迎えていてものすごく物騒でも、人間の会話のやりとりは
いつも滑稽で、愛し合ってる人たちは愛し合っていて、仲の良い
人たちは仲が好くて、ケンカばっかしてる人はケンカしてる。
なんかそういうことの同時進行だと思うんだけど。難しい見方を
しないで楽しそうな高島くんを楽しんで、哀しそうな高島君を
哀しそうに見るしかないなぁ。

うん、典型的日本人の日和見的なその場限りでいいじゃん体質な
私を再確認した。それじゃだめだよ、って反日本人的な意図が
脚本に隠されているのを、やっぱり見ないふりをした。
だからグローブ座の客はダメなんだって言われても、うん
私はただのジャニヲタですって、居直ります。はい。

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