中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

震災の映像と戦争の映像・・・・

2011-03-21 21:09:31 | 国際
上海でニュースを見ていると、ここ数日の報道は、日本の大地震がほとんどでしたが、その次には必ず、リビアの情勢が報道されていました。日本の地震の報道は、最初は被災地の映像がほとんどでしたが、途中からは原子力発電所の事故現場の映像と、日本から避難する中国人、留学生らの映像に変わりました。

ある赴任者が、3月16日頃に日本から上海に戻った時には、空港では、帰還?した中国人らをまるで英雄のように出迎える人々が空港で待っていたとのこと。なんか、日本が疫病神みたいですね。もちろん、心温かい中国人の方もいるわけですが、国が違えば同じ人間でも境界線ができることは仕方のないことかも知れません。

そんな中で、福島の原発は、報道を見ている限りではありますが、現場の作業員、東電の社員の必死の復旧作業で、電力が繋がり始め、冷却機能が復活しているとのこと。最悪の事態は避けられる希望が出てきました。茨城産の農作物に放射能が出たとか、農家や酪農家への影響は計り知れないようですが、うちの妻によると、牛乳を何百リットルも飲むわけではないから、影響はあるだろうけど大丈夫よ・・・と冷静なものでした。

さて、そんな中、昨日からは、多国籍軍によるリビアへの空爆のニュースがメインになりつつあります。国連多国籍軍かと思いきや、例によって一部の国家の逆襲テロみたいなもので、石油利権も多いにからんだ複雑な構造のようです。アルカイダを目の仇にしているアメリカも、実はアルカイダを利用してきた歴史があったように、超大国と発展途上資源国の関係は、今だけとらえて、やれ民衆弾圧だの独裁政権だのと言っても矛盾だらけです。

前回のブログで戦争映画に触れましたが、画面には、墜落して大炎上し黒煙を上げる戦闘機や、闇夜に飛び交う弾丸、爆発の様子が映し出されました。この人たちは、自然災害でもないのに自ら市街地を焼け野原にしたいようですが、東北の被災地に兵士と作戦本部、さらに大統領を送り込めば、即時休戦ではないでしょうか?

反戦など掲げても、戦争はなくなりません。ほとんどの原因が、石油などの資源、宗教的な対立であり、いずれも人間のエゴが原因ですから、誰もが仏にならない限り、戦争はなくなりません。が、地球の足元は、マグマであり、日本に限らず、地球規模で火山活動や異常気象は起きる可能性があります。映画のように宇宙からの侵略者が来るのかも知れません。多分、その時にでもならない限り、人類は無用な戦争、殺戮をやめようとはしないでしょう。人命尊重などと言いながら、戦争になると何人殺しても戦勝国は無罪です。原発の事故以前に、原爆を投下した国のことを急に思い出しました。

が、今はただ、早く日本に戻って、少しでも復興の力になれるよう、できることをしたいと思います。

政府批判はしたくないですが、意味不明です!

2011-03-20 21:11:10 | 政治
この状況において、誰の責任だとか、対応が遅いとか、政府や関係者を批判することに何の意味もありません。海外(中国)から日本の必死の原発対策の報道を見て、距離感はあるものの同じ思いで祈るように作業の成功を見守っているのは、私だけではないでしょう。

ただ、そんな事態の中で、なぜか仙石氏が役職に復帰、皇居で認証式だとか、自民党の谷垣氏に復興相を打診だとか、意味のわからない政治の駆け引きが行われています。原発の推進者が誰であろうと、今、責任者であり、責任政党の代表である一国の首相の考えていることは理解不能どころか、事後の保身のための布石にしか見えません。

さらに小沢氏については、総理自ら、追放寸前まで追い込んで調子に乗っていたくせに、代表経験者の力を借りたいだの、そんなことは、周りの人が自然発生的に協力をするもので、これ見よがしに人を巻き込むなと言いたいです。都合のいい時には派閥抗争、窮地に追い込まれれば連帯責任。アメリカがとりあえず仕立てたロボット総理大臣ではありますが、人間性と言うか、過去最悪の総理大臣だと私は思います。

日本の現状は、本来は東北の被災地の復興・援助が先なのですが、世界の非常事態ゆえに、福島の原発が最優先となっています。これは残念ながら仕方のないことかも知れません。が、家どころか、街ごとなくなった被災地への援助をどのような形ですればいいか?関係のないエリアの人が、わが身だけ考えて買いだめしている場合ではないと思います。中国の塩の買いだめの話もすでにふれましたが、なんと塩を10年分買い占めた人もいたとか・・・日本人の謙虚な姿が世界に賞賛されていましたが、買いだめに走る人が後をたたない現状を見ると、中国の批判などしている場合ではありませんね。

セリーグの開幕の話も、あまりにも稚拙な話題と言うか、気持ちの問題ではなく、電力の問題でしょ!

23日に日本に戻ります。原発の影響がどこまであるか、されど、必死の努力で絶望から希望へと道をつないでくれている作業員。○○シーベルトが、当たり前の言葉になっていますが、健康の不安を犠牲にした作業員は、事態が終息した暁には、実名で賞賛されるべきです。私、あるいは漢和塾として、復興に向けた段階で何をどこまで支援できるかはまだ具体的にはなっていませんが、まずは自らがしっかりと立って頑張ること、その上で、社会に対してできることを考えていきたいと思います。


事件は現場で起きている!作業員に敬服!

2011-03-19 21:13:32 | 政治
そもそも、家族もおいて一人上海にいながら、他人事のようなブログを書いている自分がどうかと思いますが、日本のニュースは、ここ上海でもひっきりなしに流れます。地震の災害のニュースは吹っ飛び、福島の原発の状況と、自国民の避難の話題に変わってしまっていますが、冷却装置への電源復活の可能性が出てきたとのこと。一縷の望みが、明るい期待に変わったように感じます。

何はともあれ、徹夜で作業している方々の努力と、危険を顧みない勇気のおかげ。このような事態であれば、本来、放射能対策用の特別チームがあってもよさそうなものですが、消防車が出動している光景を見ると、とにかく最悪の事態を避けるために、まさに必死で対応していることが理解できます。

家族に連絡をすると、妻は落ち着いたもので、計画停電の時には、蝋燭をつけて過ごしていたとのこと。携帯も充電できないから、かけてこなくていい!と逆に叱責されました。私と入れ替わりに日本に仕事のために戻ってくれた中国人スタッフも、「外国が騒ぎすぎ!こちらは不安はあるけど、冷静に働いています!」と気丈なコメントをくれました。中国人が帰国する中で、担当の中国人講師も日本に残ってレッスンを続けていただいております。一部の人が、買いだめや関西逃亡をしているようですが、この冷静さが重要だと思いました。

中国では、塩の買占めに続き、胡椒までもが買占めの対象になっているらしく、やや反応が過敏です。経済的にも、日本からの積荷の検査が始まり、中国の日系企業の中には、原材料の輸入がままならない会社も多く、船会社は、抜港と言って、日本に立ち寄らずに別の国に行ってしまうような事態も。日本国内はもちろん、中国にある日系企業も影響を受けています。

正直、この1週間、私自身が一番動揺していました。悲観的にもなりました。が、世界は様々なことを抱えながらも動いていて、私たち日本人も、ドン底を見たとしても、また明るい未来に向けて再起動できるはずです。上海での時間は、いつものように大急ぎで流れていきますが、現実、目の前にあることに全力をあげたいですね。そうでないと、危険な場所で、放水作業や復旧作業にあたる現場の人に申し訳ないですから・・・

ふと、地下鉄の画像広告で、アメリカの戦争映画の宣伝を見ました。戦闘機が街を爆破する模様が映し出され、先の三陸の街が津波や火災で廃墟になったことを想起しました。自然災害の脅威を考えれば、人間自ら戦争をして、街を焼き払う・・・いかに愚かなことか。当人が自然災害に会えば、きっと戦争なんてしないでしょうね。

猫も杓子も、中国ビジネスコンサルタント?

2011-03-18 21:15:44 | 中国
日本の家族に電話してみると、計画停電のため、蝋燭で暮らしているとのこと・・・僕だけ喧騒の上海にいて、何事もないように過ごしているのが申し訳ないですが、明るい未来を夢見て前に進むことが最大の貢献かな・・・

さて、突然、趣旨の違うテーマにしてしまいましたが、今週前半、あるコンサルタント会社が主催のビジネスセミナーに参加してきました。講師は、大手流通会社で10年以上に渡り、中国での店舗展開を取り仕切ってきた方で、5年前に独立して中国ビジネスのコンサルタントをされてらっしゃいます。講演の対象者は、これから中国で、自社の製品を売り込みたい、あるいは現在すでに進出している方々で、大きな会場は、日本の震災の影響とは関係なく、多くの日本人で埋まっていました。

講演内容は、会社設立後3年とは言え、すでにこちらで様々な手続きで試行錯誤を繰り返している私にとっては新鮮なものではありませんが、これから進出を考える方々には、基本的に重要なことでした。中でも、驚いたのは、日本の最大手流通会社が、中国のランキングでは40~50位だという現実。日本の新聞だけ見ていると、中国で華々しく活躍しているように感じてましたが、カルフールなどの欧米系、あるいは地元のスーパーと比べると、あまりにもその存在感が小さいことでしょうか。

また、会場から、「進出するならやっぱり上海ですかね?」と言う質問がありましたが、コンサルタントの方は、「もちろんです。上海は世界でも成長著しい街です。私が、ここ上海にいることを考えれば納得いただけるのではないですか?」と自信満々に説明されていました。

が、ちょっとその前にです。以前にも述べたように上海の成長率は、中国国内平均の半分程度で、ある意味成熟しつつある市場と言えます。が、そこに世界中からの投資は後を立たず、過酷な競争が展開されているのです。大手流通業の資金力、バックがあってこそ成功できたかも知れませんが、中小、個人の方が進出するのには、壁はあまりにも高すぎる。コンサルタントは、1勝9敗でも10個のお仕事を扱うことができるかと思いますが、中国の地方都市、省レベルではなく市町村レベルで展開するくらいの局地戦が必要だと私は思います。

また、残念なのが、それだけ優秀な方が大手企業をお辞めになったこと。まずは資金力のある企業で、本当に経験と能力のある人材が、引き続き頑張ってこそ、中国ランキング40位から少しでも上位を狙うことができるのでは?余計なお世話ですが、昨今急増中のコンサルタントの方々について、思うところを話してしまいました。

世界が日本を見る目が変わった・・・

2011-03-17 21:17:38 | 国際
地震発生から1週間が経ちました。ここ上海でも、テレビ、地下鉄やバスの画像で、ひっきりなしに日本の大地震のニュースが流れています。台湾が千羽鶴を折ってくれたとか、政府が何千億支援してくれたとか、暖かいニュースも流れてはいますが、福島の原発の状況が悪化するにつれ、同情、好意的な報道から、客観的、自国防衛的な報道に変わってきたように思えます。

中国人の留学生、在日中国人、その人数は物凄い数で、彼らが全員国に帰れば、まさに民族大移動になります。飛行機も通常7万円のチケットを、15万で売りつけたり、災害とは心のつながりのないビジネスも蔓延していますが、中国政府としても、日本救済から、同胞救済へと舵を切ったかのような報道が増えました。

上海市内のコンビニやスーパーでは、「塩」が売り切れ続出とのこと。聞いてみると、海の水からとれる塩、日本周辺の海が汚染されることを予測したり、塩に含まれているヨードが放射線被害に効くのではと言った噂で、早くも買いだめに走っているとか・・・。日本からの輸入品のチェックもさらに厳しくなり、日本人自体の入国でさえ制限されるようなことも考えられます。中国の若者のツイッターでは、今回の災害が、「日本沈没」という映画と同じような地震や津波の規模らしい・・・と言った話題まで蔓延。

原発からの退避距離も、日本が20キロと言っている時に、アメリカ側では80キロと呼びかけたとか・・・広い太平洋とは言え、西風に乗って直接被害を被るアメリカでは、警戒感も高まり、分析を急いでいることでしょう。

悲しいけれど、これが世界の現実です。政府や東電、関係者の苦労は、苦悩に変わり、命を失うかも知れない中で放水等、対策を実行する立場のわずかな人を除いては、誰も手立てがない・・・今の原発の状況は、過去に世界も体験したことのない非常事態です。日本の報道はあくまで沈静を呼びかけ、日本に残した妻の態度を見る限り、毅然としたものですが、国外から見る限りにおいては、日本史を塗り替えるような事態だと思います。

私の頭の中も、日本に残してきた家族や、日本自体の心配で胸が痛む自分と、それでもこの先、どのようなビジネスモデルを描くかを冷静に考える自分がいます。幸いにして中国に関係した仕事をしているだけに、これをビジネスチャンスにしなさい!と言う中国人の方もいらっしゃいますが、心は千切れそうだけれども千切れてはいけない・・・何となく矛盾と葛藤の中で、この数日を過ごしています。

近い将来で、この難局を乗り切ったことを世界に誇れるような、そんな日本人でありたいですね。