中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

3K中国日系企業は、現地化を急ぐなかれ!

2010-11-17 23:44:18 | 中国
突然、セミナー形式のタイトルになりましたが、昨日はある化学系企業で、明日は、とある流通系企業で講演なるものをさせていただく影響かも知れません。そもそも、私ごときが講師だとか、ましてや先生などと言われる筋合いにはないのですが、唯一、少し高い場所から語れる理由は、問題意識を持った上で、とにかく現場に足を運んでいるからかも知れません。よく、駐在経験10年の方や、大学での研究20年の方が「今の中国」などを語っていますが、誰一人「今」など語れない中国の市場や問題点について、多少なりとも分析と仮説を立てた上で、頻繁に現地に赴く・・・少しはお役に立てるのではないかと思います。

さて、冒頭の3Kですが、K(開拓)、K(開発)、K(改良)の頭文字をとったものです。以前にもこのブログで言及しましたが、中国のビジネスにおいて、成功の秘訣は現地化、中国人にまかせることと言った論調に反論をしたわけですが、実際に現地化はそう易々と実現するものではありません。

コカコーラ、CHANEL、あるいはジョンソン&ジョンソンなど欧米企業の中でも、ブランディングや仕組みが確立されていて、現地の企業は、一代理店として機能すればいい場合は、比較的現地化はスムーズにいきます。が、まだ先の見えない市場を開拓する、あるいは、常に日進月歩の技術開発やマーケティングが必要な段階、さらには、常に市場の動向をキャッチする感覚が必要とされる改良(あるいは改善)が求められる事業や、ミッションの部隊においては、そもそも、その会社が成功した要因でもある「本社」=「日本人」の能力が必要になります。

グローバル化と言われて久しいですが、実は、相手の土俵に乗らない戦略と言うのも、国際社会のみならず、国内でさえ重要な戦略として存在します。なぜか、国際化とけしかけられて、自らを世界の基準に合わせようとする・・・そもそも、そのスタンダードを主張する先進国自体が、衰退に向かっているにも関わらず、浮足立っては、やみくもに世界の壁にぶつかろうとする・・・もちろん、私が担当させていただいている世界戦略をもう20数年前から考えてきた一部の会社は別ですが、「おいしい中国市場」と言って、これから本腰・・・のような企業は、どうも壁の大きさを理解していないか、自らの強みを理解していないように思えます。

欧米、韓国のグローバル企業のとてつもない規模をいまさら嘆いても仕方ありません。が、日本でさえ、大企業の隙間どころか、大企業を差し置いて新しい企業が間隙を縫ってきたわけですから、世界戦においても、同じ事が言えると思います。もちろん、そのためには、オンリーワン的なノウハウや技術力、強い信念、きめ細やかなサービスなどが必要なわけで、それを実現できるのは、日本の企業であれば、やはり日本人のほうが有利なわけで、彼らが、日本の強みを理解した上で、世界を体感し、あらたなヒントを日本に持ち帰る・・・持ち帰って変化をもたらせることのできる人こそ、これからの世界に求められているのではないでしょうか?

中国で販売代理店を拡大・・・ちょっとその前に!

2010-11-14 21:06:20 | 中国
久々のブログ・・・今日、日曜日は千葉の勝浦でハーフマラソンに参加してきました。上海マラソンの練習もかねての参加ですが、房総半島は海も見えますが、山が迫っており、アップダウンの激しいコースで、制限時間内には走ったもののヘトヘト・・・ハーフでこんな状態じゃあ、上海のフルマラソンは生きて帰れるのだろうか?

ま、それでも、何事も完走というのは気分がいいものです。が、ふと、気分の悪い話を思い出しました。弊社に頻繁にかかってくる「ソフトバンク代理店」の回線セールスの電話です。以前にも、アポ取り電話攻勢の非常識さに警笛を鳴らしていましたが、先物取引と並んで、もっとも悪質なのが「ソフトバンクの代理店」です。ソフトバンクの孫正義氏は、尊敬すべき経営者ではありますので、私ごときが小さな矛先を向ける筋合いにはありませんが、尊敬すべき経営者だけに、あえて言わせていただきます。

まずは、アポイント(訪問)欲しさに、詐欺まがいの嘘を言うのはやめてください。「御社の現在ご使用のお電話の基本料がお安くなりました。つきましては手続きに伺います!」って、公共機関でもあるまいし、順序が違うでしょ!「ソフトバンクのサービスに切り替えていただくと、基本料金が安くなります、つきましてはご説明に伺います!」ではないですか!最近はさらに悪質で、ソフトバンクと言うと断られるからか、回線工事の請負のものですとか、NTTも扱っていますとか、まともな人には嘘八百にしか思えません、孫正義氏のこれまでの努力も実績も、このような低次元の代理店を大量に使っていると、必ず将来につけがまわってくると思います。拡大せんとする強烈な販売戦略は私には真似ができませんが、嘘、ごまかしの積み重ねでは、砂の城ではないですか?

代理店の「代理」とは、広義では、誰かに代わってある行為をすることですが、私は、「理念を代弁すること」と解釈しています。経営者、あるいは親会社の経営理念も理解せずに、ただ販売だけする・・・中国市場の販売戦略においても、現地の代理店は重要ですが、彼らにどこまで、本社の意向を理解してもらっているか?短期の売上欲しさ、あるいは技術の模倣、リストの転用など、「裏切られた」と言った後悔はよく聞きます。これは、どっちもどっちで、理念も理解せずに販売をする代理店にも問題がありますが、本社、本部が、代理店に対して自分の言葉で伝えきれていないことが問題です。そもそも理念が、ただただ拡販であれば、閉口するしかないですが。

ふと、漢和塾の業務委託で活躍いただいている中国語講師、その何人が理念や本質を理解してレッスンをしているか、また、私自身がどこまで本気で熱意をこめて彼らに伝えているか・・・まだまだ力不足は否めません。眠れぬ夜も、歯がゆい思いも、結局は時間をかけて、伝えるべき人に伝えていく・・・そんな当たり前の努力が毎日積み重なっていくのだと思います。

中国語学習・・・「了」を科学する!

2010-11-07 01:07:07 | 中国
中国語学習初期段階はもちろん、けっこう上達したと思える時期でも、中国語の「了」のニュアンスに苦しんだ人は意外に多いのではないでしょうか?私はその一人です。過去かと思えばそうでもない、さらに語気助詞なる言葉まで出てきて、結局はネイティブの話す語感をまねることでやり過ごしていました。

今日は土曜日、午前中は普通に仕事をしていましたが、午後からはせっかくの上海出張機会を利用して、一年ぶりに、一念発起して中国語のレッスンに通いました。自分の会社で勉強するわけにもいかないので、漢和塾のビジネスパートナーの学校で3時間のレッスンを受けました。

その学校は、上海に数多くある、先生が素人の語学スクールとは違い、大学で教鞭をとっていた老教授が直々に教えてくれたり、また、その弟子に当たる中国語教育を専門にしている研究生が講師です。いわゆるプロ集団ではありますが、大学と違って、半官半民の組織なので、平日夜のレッスンはもちろん、週末もアレンジ可能です。さらに、漢和塾との提携によって、ビジネスマンに必要なカリキュラムの導入や、漢和塾・上海スタッフによる事前のカウンセリングや手続き、途中の学習相談まで可能。品質と融通が同居した学校です。

今日は、久々の中国語しか使わない学習と言うことで緊張しましたが、あらためて語順の整理をしていただき、さらには、わかっていたようでわかっていなかった「了」の用法について説明を受けました。講師はまだ若い女性ですが、プロ意識十分、その中でも、以下の「了」の説明がわかりやすく印象に残りました。

用法① 文末に用いる。状況の変化や、すでに発生した状況だが、必ずしも完了していない場合もある。
例) 我今天去南京东路买东西了,但是没买到我喜欢的鞋子。
 (私は今日南京東路に買物に行きましたが、私の好きな靴が買えなかった。)

用法② 動詞の後に用いる。ある動作が完了、完成したことを表すが、過去でも現在でも未来でも可能。
例) 明天我吃了午饭就去跳舞。(私は明日昼食を食べたらダンスに行きます。)

用法③ 語気助詞。文章を終了させるために文末に用いる。用法②の文章を終わらせたりする。
例) 我今天吃了午饭了。(私は今日、ご飯を食べた。)

余計、ややこしくなりましたか?すみません。私なりの理解ですが、暇を見つけては例題をいっぱい自分なりにも整理してみます。何年も前からずっと停滞していた中国語・・・今日からでも地道に始めたいと思います。


『語学力も仕事力』・・・国力と言語の必要性!

2010-11-06 00:25:53 | 中国
最近、大手英会話学校までもが、「語学力より仕事力」などと言い出しています。かねてから、私も同じ言葉をこのブログでも書いていますが、よく読んでいただけるならば、語学力より仕事力が基本、されど必要な語学スキル・・・というメッセージのはずです。単純な不等式でどちらが大事だと断定することではなく、どの国とどのようなビジネスを誰がするかに応じて、最適なバランスがあるはずです。

英語の公用語の話も叫ばれて久しいですが、乱暴な意見としては、語学力より仕事力が大事だ!などと言いながらも、国際化人材に必要な言語は、英語で十分!と言うパターンです。国際化=英語的な発想は、誰しも感じていることかも知れませんが、確かに英語は、別にその言語が優れているわけではなく、体系の整ったラテン語系の言語と比較すれば、海賊のスラングみたいなものだと私は思いますが、大英帝国、それを引き継いだアメリカの世界戦略に組み込まれた社会では、当然、その地位は揺るぎないものになっています。

欧米の植民地政策の勢力争いの結果として、南米のスペイン語、ポルトガル語、アフリカによく見られるようなフランス語、いつぞやはアジアの一部を日本語も席捲していました。GDPの世界ランキングがわかりやすい気がしますが、敗戦後骨抜きになった日本の日本語を除いて、世界第2位、圧倒的な言語人口を誇る中国語は、EUに同化したヨーロッパ言語(フランス語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語など)を凌いで、英語と並び立つ影響力であることは、まともに経済の分析をすればわかることです。

ダイエー創業者、故中内氏の「英語、パソコン、中国語はビジネスマンの三種の神器」とのメッセージは、随分前のブログで触れましたが、20年近く前の預言は、反中感情などを掻き立てている日本のマスコミを除いては、中国語の必要性も世界の常識になっていると思います。これは、英語において絶対的優位に立つアメリカが小学生から中国語を教育していることからも明らかです。私が中国語関係の仕事をしているからではなく、中国ビジネスにおいては、英語も当然のように必要になりますが、まともにビジネスやマネジメントをする上では中国語も必要です。どの国でその母国語が必要か・・・これは世界での政治、経済の国力に比例しています。

ふと、韓国語について考えてみました。日本では、未だにサムスンのテレビは売れませんが、中国も含めて世界市場に出てみると、日系大手企業が束になっても勝てない巨大企業になっています。私自身も、韓国語の必要性など説いたこともありませんが、ふと日韓の国力の差を目の当たりにした時、韓国とビジネスする上で韓国語は欠かせない・・・そんな時代がくることも十分に予測できてしまいました。彼らも英語を話します。英語は絶対的権威ではなく、世界の保険のような位置づけです。そこから先は、国別世界ランキングの優劣によって、仕事力に欠かせない「語学」の必要性が生まれてくるものだと思います。


地球を救うのは「笑顔」かも知れない・・・

2010-11-03 18:03:20 | 中国
地球を救うのは太陽かも知れない・・・と言ったSHARPのCMをよく見かけたのは2010年、今年の正月だったような気がします。非常に的を得たメッセージだなあと思ったものです。実際、今回の出張で、上海浦東空港に着陸する際、機内から見下ろした浦東の住宅地には、どの家の屋根にもソーラー発電機が設置されていて、カメラのフラッシュがあちこちで焚かれているかのように光っていました。夏は40度以上にもなる上海、太陽を恨む前に、その膨大なエネルギーをもっと早くから活用していれば、地中の油や石を掘り起こし、それを巡って戦争することもなかったかも知れませんね。

日曜日に上海に入り、今日で4日目になります。上海にいるからと言われるかも知れませんが、反日感情や反日運動の気配もまったくないままに、中国は今日も鼓動しています。広州では、自動車の規制をかけると同時に、地下鉄を1日無料にするなど、様々な実験が行われています。不便に感じる人、得をする人、損をする人、色んな意見は13億でなくとも存在するわけですが、それなりのリーダーシップと強権を発動しないと、国の秩序は保てません。会社でさえ、リーダーシップ、トップダウンが必要なのに、国家の責任者が独断で動けないようであれば、国は右往左往するのも自明の理とも言えます。もちろんそのリーダーが優秀であればこそ、また優秀の意味は、本当に国家、人民全体を見て、決断ができるかどうかです。日本も選挙のしがらみだらけ、おらが村を背負った国会議員ではなく、本来、学歴も優秀で、当初は志も高い官僚のトップにこそ、責任と権限を与えて国を運営したほうがいいのでは?と思うことがあります。上司がレスラーや芸能人では、その実力を別のところに使ってしまいたくなるのもわからなくはないです。権限と責任、責任とは国力を上げること!それがシンプルです。

題目と関係のない話で半分以上使ってしまいましたが、言葉も不自由な状態で中国人の方とお付き合いしている中で、何よりも大事なコミュニケーションスキルは、「笑顔」だと思いました。意味もなく笑っている必要はありませんが、第一印象はもちろん、一緒に仕事をしていく上で、適度な笑顔が板についている人は、結局、まわりの人にも笑顔が伝染して、いい職場になるのではないでしょうか?日中異文化以前に、日本人同士でも言えることであり、ましてや外国人同士、笑顔もない人の百の言葉には、誰一人感銘を受けません。

以前にも、「明るいこと」が中国で重要と述べましたが、明るい人は人を照らします。人の上に立つべき人の条件として最も重要なのかも知れません。管理や制圧は暗くて残酷な人にでもできるでしょう。が、本当のマネジメント、リーダーシップを発揮できる人には、険しい表情で仕事をする「背中」と、とびっきりの「笑顔」が重要なのでは・・・たまに、疲れのせいにしてご機嫌斜めで出社をしてしまうわが身を恥じました。ここ中国で、まずは笑顔の質を高めてみたいと思いました。