西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

ムーン・マリカン物語 Part. 1

2009年10月08日 | つれづれに
Moon Mullican (2)
米国盤 Western Records-2001 Moon Mullican Seven Nights To Rock / The King Years, 1946-56

(1)Seven Nights To Rock (2)Southern Hospitality (3)Well, Oh Well (4)Grandpa Stole My Baby (5)Cherokee Boogie (6)What Have I Done That Made You Go Away (7)Tokyo Boogie (8)Shoot The Moon (9)I'm Mad With You (10)I Done It (11)Rocket To The Moon (12)Trifling Woman Blues (13)Good Deal, Lucille (14)Don't Ever Take My Picture Down (15)Rheumatism Boogie (16)Pipeliner's Blues


私はマール・トラヴィス(1917~1998年 ケンタッキー州出身)とか ここに採り上げたムーン・マリカン(1909~1967年 テキサス州出身)とかいった昔の歌手だけれどもどこかお洒落で洒脱な雰囲気を持ったカントリー歌手がとても好きです。楽器の上手い人はたくさんいますがどういうわけかこの2人のような雰囲気を持った人には現代のカントリー歌手には見当たりません、私が見つけられないだけ・・・・なのかも知れませんが。 この Moon Mullican のレコードは15年位前に偶然出会ったもので1300円位で買ったもの・・・・・ジャケット裏に Rich Kienzle という人がムーン・マリカンについて割と詳しくぎっしりと解説を書いていますので 「ムーン・マリカン物語」 という形で補足()や私の感想を加えながら3回に分けて訳して載せてみたいと思います。けっこう一般の辞書には載っていないようなslang(俗語)が出てきます---そのままの形で載せましたが判り次第訳文に変える予定です。人名も沢山出てきてそれぞれ country music 界の歴史的な人達なんでしょうが煩雑になることを避けるため最低限の補足にとどめました。

<ムーン・マリカン物語 Part.1>

1981(昭和56)年の初夏の頃 ”the Killer ”と異名をとる Jerry Lee Lewis (1935年~現在 ルイジアナ州出身のカントリー、ロカビリー歌手) の伝記本2冊のうち1冊目が出版されようとしていた。ジェリーの従兄弟にあたる Micky Gilley (1936年~現在 ミシシッピ州出身のカントリー歌手)はこの世界では最も人気のあるカントリー歌手の一人ですし、もう一人の従兄弟で聖職者の Jimmy Lee Swaggart は広く人気のあるテレビ巡回牧師です。3人には一つの共通点があります・・・・それはたたきつけるような、ほとばしるような Country/ Boogie / Blues のピアノ奏法で、いずれもルイジアナ州 Ferriday にいた子供時代に習い覚えて以来やってきたピアノ奏法です。幾人かのピアニストが彼らに影響を与えています・・・・ひとりはナッシュヴィル出身の最も有名な黒人ピアニスト Cecil Gant 、それにサンジェゴ出身の Country Boogie whirlwhind の Merrill E. Moore() 、もう一人の hillbilly boogie のチャンピオン Roy Hall 、そしてこのレコードの主人公で the King of the Hillbilly Piano Player と云われた Aubrey "Moon" Mullican です。

ムーンは今日に至るまでCountry music pioneer(先駆者)として認識されてきませんでした。同じカントリー仲間のだれからも tribute album は有りませんし彼についての伝記や音楽について詳細な研究もありません。彼がこれまでにレコーディングしたあらゆるテイクや曲の膨大なディスコグラフィーからのレコード再発もありませんでした。そうしたことにもかかわらずムーンの偉業にゆるぎはないのです。

第一に ピアノを弾きながら歌う-ということでは恐らく彼が初めてのカントリーピアニストでしょう。ムーン以前の country pianist はバックアッププレーだったり western swing band でのリードプレイだったり でした。当時のカントリーシンガー達の持ち楽器はギターであってピアノではなかったのです。
第二にムーンは黒人ブルースや barrelhouse piano style の影響を示した初めての白人カントリーピアニストの一人でした。全てが Merrill Moore から Jerry Lee Lewis や Ronnie Milsap(1945年~現在 ノースカロライナ州出身の盲目のカントリー歌手) 、Gary Stewart() といった人達に道を拓く先駆けとなったのでした。

Aubrey Mullican は1909(明治42)年 3月29日テキサス州 Polk County(郡)の Corrigan にある小さな村に生まれました、ヒューストンとビューモントの北60マイルにある辺りです。東テキサス地方は松が生える森林地帯で、そこは伐採に従事する黒人労働者の材木キャンプが点在するところでした。キャンプには安酒場があって、それは黒人 blues や barrel house music が取り混ぜになって酔っぱらいと喧騒の荒っぽい安酒場でした。そんな酒場では Buster Pickens とか Cowboy Washington といった派手な名前ながら無名のピアノ奏者連中が幅を利かせていてlocal legend として活躍していました。彼らの名声がキャンプ以外の地に広がらなかったのは不思議なくらいです。そんな音楽に親しんだひとりに Joe Jones がいました。彼は Mullican farm の小作人で8才の頃のムーンに blues guitar を教えた人でした。
同じその頃にムーンの父親が20ドルの pump organ を買ってきたので彼の娘達は教会でオルガンを習い覚えたのでした(当時Mullican家は週に3日教会に通っていたそうです)。父親は自分の息子が材木キャンプの安酒場のピアノ奏者達がやっているような類の音楽をオルガンを使って無断で練習し始めるのを嫌ったものでした。しかしムーンはやり続けます、pump organ を blues と boogie style に応用して chugging で infectious な”pumping piano style” の先駆者になるべく習い覚えたのでした。
14才の時 Corrigan の北方にあるテキサス州 Lufkin という町のあるカフェでのことはいまや伝説になっています・・・・2時間ピアノを弾きっぱなしでポケットが40ドルのチップでいっぱいになったといいます。そうしたことがあっても父親の機嫌をよくすることにはつながらず、結局多くの喧嘩のすえ切れてしまったムーンは 16歳になった時農場を後にヒューストンへと飛び出していったのでした。そこでの数年間はカフェや cathouse で演奏しましたが、どこにいっても 何故か”Moon”というニックネームがついたのでした・・・・・それについてある人は彼がいつも夜仕事しているからだろう-と言い、別の人は例えば Cliff Bruner() が自らを” Moonshine ”と呼んだと同じように同時代の人とみなされたんだといいます。今となっては正確な由来についてはおそらく永遠に判らないでしょう。

1930年代中頃までには Milton Brown(1903-1936 テキサス州出身 Western Swing 創設者の一人) と Bob Wills(1905-1975 テキサス州出身 Western Swing の王者) の2人は テキサスやオクラホマでラジオ、レコードあるいはダンスホールで Western jazz music の演奏活動をやり始めていました。勿論、Milton Brown は1932(昭和7)年に自分のバンド The Musical Brownies(=ミルトンが the Light Crust Doughboys をやめて結成したバンド) に Fred ”Papa”Calhoun というピアノ奏者を加えてピアノをリード楽器としてカントリーに用い始めたパイオニア的人物でした。このカルホーンのピアノ演奏は the Musical Brownies によく合ってバンドにとって必要不可欠な音になったのでした。この original Brownies は1936(昭和11)年にMilton Brown が交通事故死してバンドが解散になるまで続きました。しかし、ピアニストのFred Calhoun はミュージシャンではあっても歌手ではありませんでした。
the Brownies が解散してフィドル奏者(カントリースタイルのバイオリン奏者)の Cliff Bruner とスティールギター奏者の Bob Dunn が自分達のバンド(バカヴォンズのことか・・・)を結成しました。その頃ムーン自身は the Blueridge Playboys というバンドに在籍していましたが、Cliff Bruner が新しいバンド the Texas Wanderers を結成してピアノ奏者を雇うべくオーディションをした時に ムーン よりもずっと優秀なプレイヤーがいたのにもかかわらずMoon Mullicanを採用したのでした。  続く

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