西部劇「チャトズ・ランド」を見た
これは私的には優れた西部劇だと思っている1972年(昭和47)の作品です。監督はイギリス人のマイケル・ウィナー、以前にバート・ランカスター主演の「追跡者」という西部劇を載せていますがそれにも感心しましたが 今回の「チャトズ・ランド」もなかなかいい。
チャトは白人とアパッチインディアンとの混血という設定、チャールズ・ブロンソンが寡黙で渋いインディアンを演じています。
出だしのシーンがいい、ハットをかぶったチャトが酒場のカウンターで酒を注文する…例によってバーテンダーは" インディアンに出す酒はない" と断わる。そこへ来合わせた保安官がさらにチャトにいちゃもんをつけて拳銃を抜こうとした瞬間 チャトの拳銃が先に火を吹き保安官を倒す。
居合わせた男が町の顔役と思われるクインシー(チャック・パランス)に駆け込んで”保安官がインディアンの男に撃たれて死んだ”と告げる。クインシーは元南軍の将校で、どこか南北戦争時代の栄光を引きずっているような男だ。彼はおもむろに南軍の軍服を取り出して着用、彼を中心に10数名の追跡隊が結成されて逃走したチャトを追うことになった。”見つけて吊るしてやる”と息巻く男たちによるインディアン狩りの様相を呈してくる。
ここで面白いのが、”保安官が撃たれたんだぞ” と追跡隊に加わるように告げても”えらそうにしているからだ”・・・と断る者がいること。こんなシーンはどこか現実味があって映画の雰囲気に色どりを添えていると感じる。
さて追跡隊....インディアン一人くらいすぐにと高をくくっていたが、日数が経つにつれだんだんと見えない敵に苛ついてくる。荒野では欠かせない水の入った革袋がいつの間にか切り裂かれていたり、移動に欠かせない馬が銃撃で倒されたりしてどんどん困難な状況に追い込まれてゆく。元々統率のとれていないバラバラ集団だけに仲間割れがあったりで追跡隊は一人また一人と倒されていく……そう 荒野はアパッチ族チャトの領域(Chato's land)なのだ。
始めのうちはチャトには追跡困難の状況にしていけば追跡隊は諦めて帰るだろうと思っているふしがあった。だが、住処を襲われ妻を輪姦され、身内のインディアンが撃たれて火あぶりにされて殺されたのを見たことから復讐心に変わっていき、一人一人仕留めていく・・・そして最後には・・・といった展開。
追跡隊にひとりメキシコ人がいる。白人達には蔑みの目で見られているが荒野に精通し、チャトが一番警戒している男だとわかる・・・・しかし。 てなわけで異色の西部劇だけどずっと緊迫感が漂っていて実に面白い
インディアンが髭を・・・なんておかしいといった批評も見たことがあるけれど 白人との混血という設定だから問題ないのでは。 ”ウーン!マンダム”なんていう男性整髪料のコマーシャルがテレビで流れていた頃のチャールズ・ブロンソンかなあ(smile) 今見ても古さを感じさせない作品だ