西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

ロイ・エイカフ ハンク・ウィリアムスを歌う

2011年08月14日 | ハンク・ウィリアムスを歌う
 
Roy Acuff (1)

米国盤 Hickory Records LPS-134 Roy Acuff Sings Hank Williams


(1)Hey, Good Lookin' (2)Why Don't You Love Me (3)Mansion On The Hill (4)Your Cheatin' Heart (5)You Win Again (6)Kawliga (7)Jambalaya (8)There's Be No Tear Drops Tonight (9)Cold, Cold Heart (10)I Can't Help It (11)Take These Chains From My Heart (12)I'm So Lonesome I Could Cry


前回 「 Tribute Album の楽しさ 」 について述べたので、さっそくですが King Of The Country Music として有名だったロイ・エイカフ(1903~1993年 テネシー州出身 )の 「 ハンク・ウイリアムスを歌う 」アルバムです。ロイ・エイカフという人は Hank Williams からするとカントリー ミュージックの大先輩で、ハンク自身がアイドルとした人でもあったようです。長い間 Grand Ole Opry (現在でもある古い伝統を誇るカントリーミュージックショウ)の大番頭みたいな存在で、自身のバンド The Smoky Mountain Boys を率いてオールドタイム マウンテンソング~カントリーソングまで Good Ole Country Music の香りをいつまでも保って活躍した人でした。 戦前からの人なので 残したレコードアルバムも膨大な数にわたるようですが、その割りに日本ではあまり人気がある方とは云えなくて オムニバスアルバムなんかにもそれほど登場しない・・・・・という印象です。 この人には何となく頑固で気難しそうなイメージがあるんですね-これは本場のカントリー歌手達も似たような気持ちを持っていたのではないかなあ、機嫌をそこねると大変だぁ、無難に接しておこう-みたいな・・・・・(あくまでも私個人の意見ですよ)。 実際は後進の歌手達にはとても面倒みのよかった人のようです。

さて、ジャケット裏にインタビュー形式の解説が載っています・・・・・面白いので訳して載せておくことにしました(私なりに少し補足を加えました)・・・・・・・以下解説。

<これはテネシー州ナッシュビルの Broadway 通りにある Roy Acuff Museum で録音されたロイ・エイカフとのインタビューの一部です。インタビュアーは Larry Womack です>

Larry: ロイ、ハンク・ウィリアムスに初めて会ったのはいつですか?
Roy: そうだね、ずっと昔としか言えないよ。でもオズワルドは今でもカブ スカウトの頃だと言っているよ(笑)、冗談だけどねラリー。 [ カブスカウトはボーイスカウトの年少組のこと、オズワルドはロイ・エイカフの盟友でバンドの中では Dobro Guitar を弾いてロイの歌に何ともいえない哀愁を添えている名プレーヤーBashful Brother Oswald のこと・・・コメディアンも兼ねている ]
ハンクはNeil McCormick と一緒に仕事していたからずっと昔だね。その後ハンクに会ったのかな、正確に思い出すとすればハンクが自分のバンドを組んでアラバマ州 Montgomery 辺りで演奏し始めた頃といえるね。

Larry: 当時ハンクとは何度も会いましたか?
Roy : そう、会ったよ。 私は Montgomery 辺りで何度も公演したからね・・・・ ハンクと妻君のオードリーは私のショウを見に来ていたよ。公演が終わるとハンクが出ているダンス会場やショウに行って彼の演奏を見たものさ・・・ハンクは常に最上の歌手だったよ。

Larry: ハンクについて一番いい想い出は何ですか?
Roy: これだっていうのはないけど とっておきの話があるよ。 ハンクはよく私の出演の時に訪ねて来ては楽屋にフラリと入ってきてね(普通皆はイスに腰掛けるのに)彼は部屋の隅っこの方にハットをあみだにかぶって居てね、2人であれこれ色んなことをしゃべったり 時には新しい曲だといって1~2曲歌ってくれたりしたもんだよ。その後も何度か楽しい時間を共に過ごしたものさ。

Larry: いままでハンクの曲をたくさんレコーディングしましたか?
Roy: いや、たった1曲だけだよ。ずっと以前に ” I Saw The Light ” をレコーディングしただけさ。 Grand Ole Opry のステージでは ” Mansion On The Hill ” を何度か歌ったけどレコーディングはしていません。

Larry: ハンクの曲をレコーディングしてこなかったのは何故なんですか?
Roy:(クスクス笑いながら)そんなこと聞かないでくれよ・・・・・先日も同じことを聞かれたんだから。 僕はね、ずっとハンクの曲は好きだったし、これまでにない優れた作曲家だと認識していたんだよ。(私の)アルバムを聴いてくれたかい?
Larry: はい、聴きました
Roy:(クスクス笑いながら)ちょっとチェックしてみてよ

Larry: ちょっとつけ足さして下さい、アルバムは楽しいものでしたよ、ロイ。
Roy: どこで聴いたのかな?
Larry: ウェスリーの事務所です( Wesley Rose はロイ・エイカフと共同経営する Acuff-Rose 出版社の社長 )。

Roy: 最初にウェスが ” ハンクを歌うアルバム ” を作ったらどうか-と私に持ちかけてきた時はちょっと気が進まなかったんだよ。
Larry: それは何故ですか?
Roy: さっき言ったように 私はこれまでハンクの曲をあまり採りあげてこなかったし それを正当に演る自信がなかったからなんだよ。

Larry: ではこのアルバムを作ることになった心境の変化のきっかけは何でしょうか?
Roy: そうだね、それを(Hank を歌うアルバムを作ること)考えれば考えるほど本当にいい企画だな-と思えるようになったことかな。実際、正直いってエキサイトしてしまったよ。 前に言ったように、僕はハンクの曲が好きで、 Country Music に多大な恩恵をもたらしてくれた彼にいささかでも敬意を捧げる機会である-と確信したということなんだよ。
Larry: よく判りました、ロイ。

・・・・・・・・・・以上解説でした。
ところで このレコードを聴いた感想ですが、ひとことでいうとロイ・エイカフをすっかり見直してしまいました・・・・・こんなことをいうと往年の大御所に対して失礼千万なんでしょうが、普段あまり聴く方ではないので 正直な感想です。 とても感情を込めて歌う人なのでハンクの哀歌がとてもよく似合うと思いました。先のインタビューによるとハンクの歌はほとんど歌ってこなかったようなんですが、考えてみると20才も歳が離れているし、Country Music Hall Of Fame に選ばれたのもハンクの方が早いんですよね( Hank は1961年、Roy Acuff は1962年 )・・・・こんなところに先輩としての意地みたいなのがあったのかも知れないですね(私の推測)。
個人的には特に(3)Mansion On The Hill 、(4)Your Cheatin' Heart 、(5)You Win Again 、(8)There's Be No Tear Drops Tonight 、(9)Cold, Cold Heart 、(10)I Can't Help It が素晴らしかったです。
ロイのバンドの特徴であるハーモニカ、フィドル( Country-style のバイオリン )、ドーブローギター( 電気増幅を使わないスティールギター類似の楽器 )伴奏がハンク・ウィリアムスの曲にマッチしていてなかなか Good でした。 けっこう歌い方が難しいと思っている(6)Kawliga が意外なよさで さすがは The King Of The Country Music と納得しました・・・・・・中古で買ったものでしたので(4)Your Cheati' Heart と(9)Cold, Cold Heart が一番パチパチ(ノイズ)度が強くてそれだけ聴かれたということなんでしょうね(でもこのパチパチ度 僕はぜんぜん気になりません)。
このアルバム もしCDになっているんだったら是非欲しいな
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カントリーミュージックの別な楽しみ方

2011年08月14日 | つれづれに
 
Tribute Album は楽しい!!


僕は 「 Tribute Album 」 や 「 A Sings B 」 といったレコードがとっても好きだ ( tribute=尊敬のしるし、ささげる等の意味 ) 。
カントリー&ウェスタン音楽には昔からそうしたアルバムがたくさんあって 別な形での楽しみのひとつになっている。 「 ~ジミー・ロジャースを歌う 」 とか 「 ~ハンク・ウィリアムスを歌う 」、「 ~ボブ・ウィルスに捧げる 」、「 ~カーター・ファミリーを歌う 」 等は特に楽しくて、本家本元の歌や演奏が気に入らなくてもこうした他の歌手が歌っているものを聴くことでビックリするくらいにいい曲、いい歌だったりして見直される経験がしばしばある。 日本ではカーター・ファミリーの歌などは「 高石友也&ナターシャセブン 」 の演奏で初めて覚えた-なんて人達も多かったのではないでしょうか。メロディはそのままにして歌詞を日本語に訳し替えたりしてアルバムも出ていましたから これなんかも別な楽しみ方になるんだと思います。

畑違いの歌手が 「 ~カントリーを歌う 」 なんていうのも曲への解釈が違っていたり趣きが違ったりして楽しいものです・・・・・カントリーが好きになった人にはぜひ奨めたい楽しみ方です。 ただ、残念なのはこうしたアルバムがなかなかCDになっていなかったりで探すのに苦労することでしょうか・・・・・自分が持っているのもほとんどレコードなのでちょっと難しいのかも知れません。 日本のレコード会社もありきたりのCDアルバムを出すよりか こうしたものをシリーズみたいにして出してくれるといいのにな・・・・・と思うことがあります。でも実際はレーベルが違ったりするから色々難しい問題があって無理なんでしょうね、カントリー自体が興味を持たれないのでまず採算がとれないことも目に見えていますから・・・・・個人的には足を棒にして探さないといけないのは昔から変わりません。

ずらずらと載せた写真は これまでに私のブログでとりあげた「 ~を歌う 」 アルバムの一部です。 カントリーにはこうした楽しみ方もあることを知って欲しくての紹介でした・・・・・今後もこの楽しみは続けるつもりです。
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