●主人公のモデルでもある原作者・高樹のぶ子氏
「この映画には、自分の子ども時代の家の周囲360度の風景
が、記憶どおりに再現されている」
●試写を見た元・防府在住者
「映画の中で今、自分が東西南北どの方向を向いているのか、
描かれた山の形を見るだけで、すぐにわかった。なつかしい」
●ロカルノ国際映画祭で松竹・鈴木忍プロデューサーは一言こう紹介した。
「この監督はハード・リサーチャーだ」
以前、『アリーテ姫』という映画の企画中にこんなことを考えました。
「少しばかりリアリティを感じさせてヨーロッパの中世の生活感を描き出せないかな?」
同僚からは,
「無理無理。学者じゃないんだから考証しきれないって。無理。やめとき」
と、いわれつつ。
『アリーテ姫』は、パリのフォーラム・デ・ジマージュ(イメージフォーラム)で上映する機会に恵まれました。上映後に質問を受け付けると、とあるフランスの青年がこんなことをいいました。
「なぜ日本の人がフランスを舞台に映画を作ろうと思ったのですか?」
あれれ? フランスの観客の目には自国が舞台と写ってるようだぞ。ちょっとはリアリティを感じてもらえたということなのかしら。
フォーラム・デ・ジマージュの責任者カワ=トポールさんの本職は中世史研究だったのですが、意外なことに、
「この映画のヨーロッパ中世の表現は、結構出来てると思うよ、そこら辺のフランス製映像と比べても立派」
とおっしゃるのです。
畏れ多いことです。
『マイマイ新子』の映画化企画が動き出したとき、じゃあ、同じことを日本を舞台にしても出来ないかな、と、またまた考えてしまいました。
今度の映画には舞台としてふたつの時代が登場します。
ひとつは昭和30年。時代だけとれば、昭和35年生まれの自分にも近い実感があるので、まだしもなんとかなりそうな気もします。
けれど、それが「昭和30年の山口県防府市国衙」と来るのですから。
自分自身行ったことも見たこともない町の50年前。どうすればそれを再現できるのでしょうか。だけど、実際に手にとって眺められないものを再現するのこそ、アニメーションの役回りなんだぜ、と心にいい聞かせ。
制作に着手したのは、その前に手がけていた仕事がひと段落つきかけてきた2006年12月。ひと段落しそうでも完全に終わったわけではなく、監督という立場、図書館までも出歩けません。まずは、机の上でそれらしいキイワードでインターネット検索して、古書店にかたっぱしから注文をかけてみました。
ええ、中身見ずテンで、いきなり注文です。
どうなってしまうのでしょう。
ちなみに山の名前は、
北=「多々良山」「矢筈ヶ岳」
東=「大平山」
南=「江泊山」「向島」
南西=「桑山」
北西=「天神山」「西目山」「右田ヶ岳」
そのいくつかは、高樹文学の中にも登場します。
「この映画には、自分の子ども時代の家の周囲360度の風景
が、記憶どおりに再現されている」
●試写を見た元・防府在住者
「映画の中で今、自分が東西南北どの方向を向いているのか、
描かれた山の形を見るだけで、すぐにわかった。なつかしい」
●ロカルノ国際映画祭で松竹・鈴木忍プロデューサーは一言こう紹介した。
「この監督はハード・リサーチャーだ」
以前、『アリーテ姫』という映画の企画中にこんなことを考えました。
「少しばかりリアリティを感じさせてヨーロッパの中世の生活感を描き出せないかな?」
同僚からは,
「無理無理。学者じゃないんだから考証しきれないって。無理。やめとき」
と、いわれつつ。
『アリーテ姫』は、パリのフォーラム・デ・ジマージュ(イメージフォーラム)で上映する機会に恵まれました。上映後に質問を受け付けると、とあるフランスの青年がこんなことをいいました。
「なぜ日本の人がフランスを舞台に映画を作ろうと思ったのですか?」
あれれ? フランスの観客の目には自国が舞台と写ってるようだぞ。ちょっとはリアリティを感じてもらえたということなのかしら。
フォーラム・デ・ジマージュの責任者カワ=トポールさんの本職は中世史研究だったのですが、意外なことに、
「この映画のヨーロッパ中世の表現は、結構出来てると思うよ、そこら辺のフランス製映像と比べても立派」
とおっしゃるのです。
畏れ多いことです。
『マイマイ新子』の映画化企画が動き出したとき、じゃあ、同じことを日本を舞台にしても出来ないかな、と、またまた考えてしまいました。
今度の映画には舞台としてふたつの時代が登場します。
ひとつは昭和30年。時代だけとれば、昭和35年生まれの自分にも近い実感があるので、まだしもなんとかなりそうな気もします。
けれど、それが「昭和30年の山口県防府市国衙」と来るのですから。
自分自身行ったことも見たこともない町の50年前。どうすればそれを再現できるのでしょうか。だけど、実際に手にとって眺められないものを再現するのこそ、アニメーションの役回りなんだぜ、と心にいい聞かせ。
制作に着手したのは、その前に手がけていた仕事がひと段落つきかけてきた2006年12月。ひと段落しそうでも完全に終わったわけではなく、監督という立場、図書館までも出歩けません。まずは、机の上でそれらしいキイワードでインターネット検索して、古書店にかたっぱしから注文をかけてみました。
ええ、中身見ずテンで、いきなり注文です。
どうなってしまうのでしょう。
ちなみに山の名前は、
北=「多々良山」「矢筈ヶ岳」
東=「大平山」
南=「江泊山」「向島」
南西=「桑山」
北西=「天神山」「西目山」「右田ヶ岳」
そのいくつかは、高樹文学の中にも登場します。