メイキング・オブ・マイマイ新子

映画「マイマイ新子と千年の魔法」の監督・片渕須直が語る作品の裏側。

マイマイフランス便り(5)

2010年02月13日 02時08分27秒 | 日記
 2月12日。
 パリのホテルをチェックアウトする日。
 移動に使う映画祭スタッフ ルカさんの車は小さく、昨日までの経験からスーツケースをいくつも積み込めるかどうか危ぶまれましたが、ルカさんが縦にしたり横にしたりした挙句、なんとか押し込んでくれて出発。

 近郊のイヴリー市(Ivry)へ移動して、その町の映画館で上映されている『マイマイ新子と千年の魔法』が終了後、子どもたちの前に立って質疑応答を行いました。今回は中学生の観客も多数。
 質疑応答を終わってみると、縄田さんが「日本人の方々がいます」というので座席を見てみると、ほんとだ。日本人の女性ふたりと、小学生くらいの男の子と女の子。この町に住んでおられるとのことでした。大人のおふたりはこのブログで下調べしてこられたとかで、「ホテルはお湯が出ましたか?」とたずねられてしまいました。

 シネ・ジュニア映画祭への参加はとりあえずこれで終了。カミーユさんたちに別れを告げ、次の映画祭イマージュ・パル・イマージュから出迎えの車に荷物を積み換え、ゴネッス市(Gonesse)へ移動。しかし、呪われてるくらい頭ボケボケで、いろいろ忘れ物してきてしまったようで、結局、カミーユさんのご迷惑に。

 次に参加するイマージュ・パル・イマージュは、パリの北西地方の20か所くらいの上映会場をつないで展開されるアニメーション映画祭で、方式的にはシネ・ジュニアと同様、引率されてやってくる学童が観客の主体になります。名誉代表を勤めるのはあのジャン=フランソワ・ラギオニであるとのこと。
 オタワ国際アニメーション映画祭にまで『マイマイ新子と千年の魔法』を追いかけて行った縄田さんが、「オタワの入選作7作のうち、マイマイも含めて3作が上映されるたあ、ミニ・オタワですなあ」と、感心していました。どうもプラグラムを見ると1ページ丸まる割いて「片渕須直監督特集」みたいな扱いになってしまっているようでした。これはまた光栄な。
 最初に訪れた映画館は団地の中に建つ劇場でしたが、その名も「ジャック・プレヴェール劇場」。『やぶにらみの暴君』のシナリオを書いたあの詩人の名がとられています。
 ラギオニのシナリオライターであるアニク・ル=レイさんや、映画祭スタッフ、劇場スタッフといっしょにランチを食べる段になって、「サラダにソースがない」という事件だか事故だかが発生してしまったのですが、たまたま自分がお土産用に買ったドレッシングを持っていたので、スーツケースから取り出して提供して切り抜けました。

 そうこうするうちに、観客の小学生たちが到着、8歳から10歳くらいが4クラス分くらいいました。
 上映前の舞台挨拶では、
「君たち、テレビがない暮らしを思い浮かべられるかな?」
 という感じで投げかけてみました。すると、横に立つ映画祭の陽気な男性スタッフが、
「知ってたか? テレビがなくても生きられるんだぞ!」と。
 上映後に質問を取ってみると、
「その後、テレビはちゃんと発明されたんですか?」
 テレビがないのがよほど不安だったらしいです。
 そのほか良くある質問として、
「結局あの金魚はどうなっちゃたの? ○○なの? ××なの?」
 この質問への答えはこちらも決めていて、
「じゃあ、君は金魚が○○なのと××なのとどっちがいいの?」
 子どもたちの答えは決まっていて「○○のほうがいい」。
 そこで大きくうなづいてあげるわけです。
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