メイキング・オブ・マイマイ新子

映画「マイマイ新子と千年の魔法」の監督・片渕須直が語る作品の裏側。

桑畑、もうすぐ五十郎

2009年11月25日 03時10分42秒 | mai-mai-making
 そろそろ畑には、ひょろひょろした麦苗が生え始めています。この映画を作り始めてから、麦が芽生え、育ち、麦秋を迎える周期を何度も見てきました。麦畑を取材に行こうとしても、季節外れだと何も見ることができないわけで、自然、季節のサイクルに敏感になってしまうのです。そういうもので季節を感じるようになっていました。ときにそれは、移ろう季節がスケジュールといっしょになって追っかけてくる焦りであったりもしましたが。

 われわれにとって、『マイマイ新子と千年の魔法』における三大植物は、「麦」「桑」「ウツギ(卯の花)」でした。
 桑もまた、眺めに行こうにも、季節外れには葉っぱがついていませんし、実も実っていません。それ以前に、「桑畑ってどこにあったっけ?」という日ごろの不注意っぷりです。

 とりあえず、2007年の春、片渕と浦谷で休みのたびにグルグル回って偵察を繰り返していたのですが、秩父のほうにロケーションのよさそうな場所を見つけ、4月15日(日)、美術監督の上原さんを誘ってもう一度出かけてみました。日曜日にプライベートでロケハンで出向いているあたりに、奥ゆかしさを感じていただければ幸いです。
             
 ここは多々良山の山すそを思わせる扇状地で、そのまま防府で取材した風景にはめ込める利点がある場所でしたが、いかんせん、肝心の桑に葉がありません。
             


「桑っていったら、群馬じゃないかな?」
 黒澤明『用心棒』で三船敏郎が「名前はそう、桑畑三十郎・・・・・・もうすぐ四十郎だがな」と名乗った頃から、桑といえば上州と決まっておりましたので(?)、この日はさらに関越道を飛ばして群馬まで足を伸ばしてみました。さすがに広い桑畑が広がっています。葉がないことに変わりはないのですけれど。いや、とにかくここは広すぎました。
             


 上原さんは上原さんで、いずれ描かなければならない桑のことに注意を払わねば、と思い始めたようで、5月半ばの日曜日に家族連れで群馬を再訪しています。どうも、確信がもてないロケハンは、日曜日の家族旅行の形を借りて、ひっそり個人的なものとして行われることが多いようです。この5月13日には、さすがに桑の葉が出てきていたのですが、まだ見るからに「若葉」で物足りません。上原さんは、そんな桑の木の前に小学生の娘さんを立たせて写真を撮ってきました。
             
 翌週の日曜日は、今度は、片渕が小手指のあたりに出かけ、やはり桑の木の下に娘を立たせて写真を撮っています。
             
 桑の木の高さが小学生をどれくらい隠すか、それが気になっていたわけです。桑の木に覆われた中に、新子たちの「ひみつの空間」を作ろうとしていたものですから。

 5月28日は月曜日。桑の葉の様子ももういいだろう、と思えてきたので、メインスタッフ一同を、最初の秩父の場所に引率しました。葉っぱが出揃ったので、取材もオフィシャルになった、というところです。
             
             


             
 この最後の写真の桑畑を、防府の佐波神社の石段と組み合わせると、
             
 こんなふうに完成します。
             
 ついでに、ネギ畑も秩父からもってきちゃいました。
             
 



 

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