メイキング・オブ・マイマイ新子

映画「マイマイ新子と千年の魔法」の監督・片渕須直が語る作品の裏側。

風にうねる麦の海を求めて

2009年10月26日 06時08分16秒 | mai-mai-making
●取材するたびに麦は伸びてゆく。
 やがて稔って刈られてしまう前に、どこまでも広がる麦畑を見つけ出したい。
 心に焼き付けて、もはや存在しない景色を描き出すために



そこへいっても、あの連なる白い雲はまだあっても、その空のもとにかつて青々と広がっていた麦畑は今はもうありません。
国衙の地に広がっていた青麦畑をイメージしたい、そう思ったわれわれは、われわれの近隣にそれを求めていきました。

これが3月に国衙で撮った麦です。
真正面に見えているのが大平山です。
             
こんなふうに、ほんの何条かの畑が残っているにすぎません。
あの茫漠と広がっていたはずの麦畑はどこへ行ってしまったのでしょう。
             

ロケハンの取材写真ホルダーも、こんな具合に溜まってゆきました。

  麦畑(3月10日)山口実験農場
  麦畑(3月10日)大麦 国衙史跡公園東
  麦畑(3月11日)山口 上原撮影分
  麦畑(3月12日)小麦 東久留米
  麦畑(3月31日)新山口付近
  麦畑(4月 1日)国衙史跡公園東
  麦畑(4月 5日)東久留米
  麦畑(5月 4日)東久留米
  麦畑(5月 6日)大麦 佐賀麦
  麦畑(5月 9日)小麦 東久留米
  麦畑(5月 9日)小麦 東村山
  麦畑(5月 9日)六条大麦 東久留米
  麦畑(5月13日)大麦、小麦 前橋
  麦畑(5月18日)大麦、小麦 東久留米
  麦畑(5月21日)大麦 佐賀麦
  麦畑(5月22日)大麦 佐賀麦
  麦畑(5月28日)小麦、ビール麦 埼玉美里

『めぞん一刻』の舞台にもなった東久留米には大きなパン工場などもあって、都下ではわりと小麦畑が残っている土地です。たまたま、自宅からマッドハウスへの行き帰りの途中だったので、車を停めては日ごとに麦が伸びてゆくさまを眺めていました。けれど、ここは住宅地のあいだの麦畑です。
             
演出・香月さんの故郷の佐賀からは、香月さんの友人の方が広がる麦畑の写真を撮って送ってきてくれました。ですが、真に必要だったのは、われわれ自身がそよぐ麦の畑の中に立って、そのすべてを味わうことでした。

そうして、やがて、とうとうたどり着いたのが、埼玉県美里の広大な麦畑でした。
ここのことは、もうひとつの課題、桑畑の取材に群馬方面に出かける道すがら発見しました。

             
             
この日は風もあってちょうどよく、広がる麦がうねっています。
             
             

5月末ともなればもう麦秋も近く、この時期を逃せば、この景色に出会えるのはあと一年後ということになってしまうところでした。
映画のスケジュールに限りのあることを考えれば、まさに一期一会の風景だったのでした。
             

こうした風景から得たイメージを、防府で見た山々や雲の浮かぶ空と合体させて、昭和30年の国衙を作り出そう。
われわれがロケハンを繰り返すのは、もうどこにも存在しない風景を思い浮かべ、描き出すためなのです。


と、ここで、90秒PVをあらためて見ていただけるといいかな。
          http://www.mai-mai.jp/movie03.html
イメージのクレヨン画の家々がにょきにょき生えるカットで、後ろにそびえてるのが大平山です。
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