定年 再就職とシネマの日々(旧かんちゃんSr.のオヤジな日々)

あと3年で70の大台です。再雇用の職場も定年、パート仕事をしています。映画と写真を愛しているオヤジです。

人の魂に迫る

2018年07月02日 19時51分41秒 | 日記

川越スカラ座で、鋤田正義のドキュメンタリーを観る。国内外の名だたるアーティストを撮った説明不要の写真家であるが。
被写体の魂を愛することで、撮り終えた人物を丸っと虜にする人となりがよく理解できた。

出世作は若き日のデヴィッド・ボウイのポートレイト。少年時代、母親に二眼レフを与えられて、
初めて撮ったのは、祭り装束の母親の横顔。
80歳の現在、撮影した写真の中で1枚だけ選べと言われれば「母親の横顔かも」と本人は語る。

ドキュメンタリーの中で、同郷のリリー・フランキーがいみじくも「お母さんの写真の中に、その後の労作のエッセンスが見て取れる」と語っている。
人たらしというと下品になるが、惹かれずにはいられない魅力ある人間を余すところなく描いた作品。
映画館のそばに、こんなスタバが出現。

難儀な男

2018年07月02日 00時00分51秒 | 日記

ポスターを初見するだけでは、二の足を踏むタイプの2017年アメリカ映画。だがマニアックな人たちの間で、ウケるタイプの作品である。

1950年代のロンドン、老年にさしかかってなお独身の仕立て屋が主人公。貴族夫人からドレスを依頼される超一流だが、成金たちからの注文は嫌うような美意識高い系の職人である。

スランプ返上のため、自分の別荘がある土地のレストランに入る。そこにいたのは、いい身体をしたウエートレス。いやらしい意味ではなく、自分が作る服が映える体型に一目惚れ。

早速、ロンドンの屋敷兼仕事場に住まわせる。元ウエートレスには、次第に独占欲が芽生えるわけだが、仕立て屋に結婚の意識はなく、甘えん坊の裏返しで、プライベートでは気難しい注文をつけ続ける。

ポスターの文言を借りれば、新たなミューズが現れるかもと思い続ける男と、ひたすら男を思う女の温度差。女はその温度差を埋めるべく、禁断のアイデアを実行に移すのだ。

この作品で強烈に印象的だったのは、言葉以上に雄弁な音楽の効果だ。冒頭の劇伴から強烈な惹きつけがある。そして画像が美しい作品でもある。